三ノ池植物園標本室(上) の商品レビュー
この作者さんは「言葉の園のお菓子番」を追っている途中だが、また別の本に行ってみる。 職場で心身をすり減らし会社を辞めた風里が、偶然見つけた古い一軒家に導かれるように住むことになり、近くの三ノ池植物園標本室でアルバイトとして働き始める、というところから進む物語。 そこから「らんま...
この作者さんは「言葉の園のお菓子番」を追っている途中だが、また別の本に行ってみる。 職場で心身をすり減らし会社を辞めた風里が、偶然見つけた古い一軒家に導かれるように住むことになり、近くの三ノ池植物園標本室でアルバイトとして働き始める、というところから進む物語。 そこから「らんまん」の牧野富太郎博士みたいに植物研究にのめり込む話かと思ったらまったく違って、この作者さんらしく、刺繍、陶芸、恐竜の骨、武蔵野の自然と、色々と話題が広がっていく。 苫教授と院生の小菊さん、イラストレーターの日下さんや編集者の並木さん、不動産屋のノムさんに工務店のゲンさんなど、周囲の登場人物も個性的で、その人たちとの付き合いの中で、人間関係が不得手な風里が自分が思うように生きる術を見つけていくというのも良かったが、庭の井戸の過去の話にはいささか面食らった。 お話としては面白く読めたが、何が主題か、これまでのところは全体としてはやや散漫な印象。下巻でどのように収束していくのかしらん。
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ブラック企業(気味?)を退職して、自然の豊かな町の古い家に引っ越して、大学の付属組織の研究室で植物の標本づくりのバイトをするようになった主人公が、みずみずしい感覚を取り戻していくお話・・・と思って読んでいたのだけど、あれっ?ちょっと、違うのかも・・・
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手で作品をつくる人間としてとても前向きになれるお話であった、また手を使うことでしか生み出せない、恐怖のようなものも感じてしまった でも、いいものは新しい何かに引き継がれていくのかもしれない 下巻でどうゆう結末を迎えるのか。
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三ノ池植物園の近くの家に導かれたように移り住み、植物園で働くことになった風里。葉の話になった時、え?誰?突然ゆって思ったが、それがこう繋がるかーなるほどなぁ。風里の周りがみんな素敵だし、いいなー、物を創り出せるって…と羨ましくも思う。下巻も読むぞ。
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理系小説かな? 梨木香歩「沼地のある森を抜けて」を思い出す。 とりあえず上巻のみなので、まだ何も語れず。 下巻への期待の予感は大♫
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どう考えても、ブラック企業と思われる会社で身も心も費やして働く主人公・風里が、体調不良で病院に行った後、遅刻して会社へ出勤。しかし、そこで風里は誤った階のボタンを押してしまい、無くなった会社のフロアの偶然迷い込む。 何もないフロアで、高層ビルから見える青空をゴロゴロしながら見てい...
どう考えても、ブラック企業と思われる会社で身も心も費やして働く主人公・風里が、体調不良で病院に行った後、遅刻して会社へ出勤。しかし、そこで風里は誤った階のボタンを押してしまい、無くなった会社のフロアの偶然迷い込む。 何もないフロアで、高層ビルから見える青空をゴロゴロしながら見ているうちに眠ってしまい、気が付いたら、日が傾ていた… このシーンにガッツリ心を掴まれた。 自分も人もいない、家具もないオフィスフロアでゴロゴロしてみたいなぁ、と思ってしまった。 それはやはり風里と同じく、仕事に疲れているからだろう。 そこから仕事を辞めて、ふらっと散歩に出かけた先で、古い洋館に出会い、さらに散歩した先で植物研究室の標本作りのバイトを見つけ、多忙な日々で忘れていた刺繡と言う才能を取り返していく姿は、とても羨ましく思えた。 登場する不動産屋さんのノムさん、バイト先の苫教授、小菊ちゃんなどもとてもいい人たちで、心が温まるのだけど、ところどころに描かれる夢の謎。 そして、一章だけ別視点で描かれた「葉」と言う少女の記憶。 この内容が下巻で、どう繋がるのか、ちょっと難しいところだけれど、上巻は全体的にほんわかしていて、個人的には好きな感じだったけど…
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
会社に疲れ、退職した風里。 散策中に古い一軒家を見つけ、そこに住み、植物園標本室のアルバイトをすることに。 新たな環境、新たな人間関係の中で、時には刺繍に没頭し、充実した日々を送る。 刺繍の技術と不思議な夢。そもそも古い一軒家に住むことになったところから、全て繋がっているようで、面白い。 最近読書熱が少々冷めていたのだが、この本には引き込まれた。このまま下巻へ。
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物語は過去と現在、さらに夢の中を行き来する。しかも登場人物が多く、読むうちにこんがらがってしまった。 (一度に何冊も並行して読む癖があるのでそれもいけないのだと思う。) そこでまず、登場人物を書き出した。20人以上登場する!(ミステリの要素があるので、人物紹介を載せるのは難しいだ...
物語は過去と現在、さらに夢の中を行き来する。しかも登場人物が多く、読むうちにこんがらがってしまった。 (一度に何冊も並行して読む癖があるのでそれもいけないのだと思う。) そこでまず、登場人物を書き出した。20人以上登場する!(ミステリの要素があるので、人物紹介を載せるのは難しいだろうな) とても時間がかかったけれど、再読すると、よくできている物語で、面白さがやっとわかった。風里の持つ「ある種の力」の働きと、「救い」が、今後、多くの人の人生に関わっていく。
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詩集、植物、夢と夢の中の少女、女の血筋、いろいろな要素が詰まっています。挫折と立ち直りの物語ですが、主人公の住む家や職場となる植物園の雰囲気がいいです。こういう生活は自分にはできないですが、憧れはありますね。
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とてもいい感じだった「恩寵」を改稿してとのことだったので,楽しみに読み始めましたが,記憶力がさっぱりでどこが変わっているのかわからずじまい.でも全体に漂う静謐な緑の空気はそのままで,美しい刺繍も鮮やかなままでした.上巻はこの舞台を丁寧に作り上げているような感じ,ミステリーで言うと...
とてもいい感じだった「恩寵」を改稿してとのことだったので,楽しみに読み始めましたが,記憶力がさっぱりでどこが変わっているのかわからずじまい.でも全体に漂う静謐な緑の空気はそのままで,美しい刺繍も鮮やかなままでした.上巻はこの舞台を丁寧に作り上げているような感じ,ミステリーで言うところの伏線張りまくり状態.下巻が楽しみです.
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