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地面師 の商品レビュー

3.4

48件のお客様レビュー

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2019/07/15

「地面師」という言葉を初めて聞いたのは、2018年の積水ハウスの事件の時だった。業界トップクラスの大企業が、「地面師」なるものに騙されて、55億円もの巨額の損失を被ったというのだ。しかしニュースを聞いていても、なぜ大企業がコロリと騙されてしまったのか、犯人らがいったいどんな風に何...

「地面師」という言葉を初めて聞いたのは、2018年の積水ハウスの事件の時だった。業界トップクラスの大企業が、「地面師」なるものに騙されて、55億円もの巨額の損失を被ったというのだ。しかしニュースを聞いていても、なぜ大企業がコロリと騙されてしまったのか、犯人らがいったいどんな風に何をやっているのかさっぱりわからなかった。 地面師とは「他人の土地を自分のもののように偽って第三者に売り渡す詐欺師(大辞林)」のことをいうのだそうである。土地に特化した詐欺師であり、他人の土地をあたかも自分の所有物であるかのように見せかけ、他者に売りつける。 本書はこの「地面師」を追ったルポである。 地面師は、社会の混乱期や、地価が激しく上がる時期に暗躍してきた。 古くは戦後間もない頃。空襲などで土地の所有者一家がそろって命を落とした例も少なくなかった時代である。街は瓦礫の山と化し、役所の書類も焼失しているともなれば、どこが誰の土地だったか確かめようもない。縄を張って「ここは俺のもの」と主張したもの勝ちである。 次にはバブルの時代。地価が狂ったように上がるとなれば、悪い奴がそこに目をつけないはずはない。東京や大阪など、大都市で、組織だった地面師の事件が頻発した。 2つの時代に加えて、現代もまた、地面師の事件が増えている時代である。 地面師は得てして、組織的犯罪であるという。 所有者のふりをする「なりすまし犯」、なりすまし犯を見つけ出し演技指導もする「手配師」、なりすましの偽造書類を用意する「印刷屋」、銀行口座を用意する「銀行屋」、法的手続きを担う弁護士や司法書士の「法律屋」。そうしたさまざまな役割を担う者たちを束ねる主犯格のボスがいる。 狙われるのは、高齢で病気がちであったり、一人暮らしであったり、外国で暮らしていたりしている地主、そして一等地を持っているが、それを積極的に活用するつもりがないような持ち主である。こういった手薄でめぼしい土地に目をつけ、パスポートを偽造するなどして、持ち主になりすますのだ。弁護士などが同席し、本人証明書類を見せられれば、騙されても不思議はない。 そもそも、多くの手が加わって複雑なのが地面師絡みの事件なのだが、時には間に善意のまったくかかわりのない仲介業者が入り、転売が重なって、元々のなりすましが見えにくくなる場合もある。極端な話、なりすまし犯以外は、「自分も騙された」「詐欺なんかするつもりではなかった」と強弁することもできなくはないのである。 本書では、積水ハウスの事件を含めて何件かの事件の概要を追い、何人かの地面師に迫る。 巨額の金が絡むだけに、持ち主になりすますばかりではなく、あるいは持ち主を殺してしまったのではないかと憶測が飛ぶような物騒な事例もある。 売買の過程で詐欺行為があったとしても、その後、所有者が何度か変わり、直近の契約自体に不備がなければ、エンドユーザーに罪を問うわけにもいかない。 一律に白黒をつけられない、不動産特有の曖昧さも事件をややこしくする。 全国に空き家問題が増えつつある昨今。放置されたような、持ち主がはっきりしない土地も多い。 あの手この手で他人の土地を餌に一儲けする地面師が暗躍するには、格好の時代なのかもしれない。

Posted byブクログ

2019/06/18

おもしろそう、と思って読み始めたのですが、やっぱり苦手なノンフィクション。途中で挫折しました。世の中、ちょ~っと狂ってるなってときには、必ず怪しげな人たちが登場してきて荒稼ぎしていく。テレビなんかにも出てたり、本を出版してるような人たちも、スレスレか実は犯罪者じゃないの?って人も...

おもしろそう、と思って読み始めたのですが、やっぱり苦手なノンフィクション。途中で挫折しました。世の中、ちょ~っと狂ってるなってときには、必ず怪しげな人たちが登場してきて荒稼ぎしていく。テレビなんかにも出てたり、本を出版してるような人たちも、スレスレか実は犯罪者じゃないの?って人もいたりして。しかし、それぞれの分野にプロフェッショナルがいて、一つの事件にこれだけ細かく大勢の人が複雑に絡まってると、警察は完璧に犯人を挙げるって難しいだろうな。

Posted byブクログ

2019/06/01

読んでいて胸糞は悪くなった。 悪漢は悪漢らしく罪の意識というか 良心の呵責を無いことは分かっていながらも 少し期待してしまうが 当たり前だがそんな意識は微塵もない それよりもむしろ大きなプロジェクトを淡々とこなしていて それが偶々、捕まるからその対価を払い 捕まっても4-5...

読んでいて胸糞は悪くなった。 悪漢は悪漢らしく罪の意識というか 良心の呵責を無いことは分かっていながらも 少し期待してしまうが 当たり前だがそんな意識は微塵もない それよりもむしろ大きなプロジェクトを淡々とこなしていて それが偶々、捕まるからその対価を払い 捕まっても4-5年か保釈金的なお金で解決できるから 出てきてもまた続ける。 地獄だな ただ地面師が目をつけてる物件が 都会の 親子仲が不仲、連絡が疎遠 複雑な人間関係(愛人、子供の親が複数) 地域とコミュニケーションをとっていない 取り残されている人など良く調べてその隙間をうまいこと出し抜いていたのは悲しい

Posted byブクログ

2019/06/01

新聞報道などでその存在を知った地面師。表題にもあるとおり、「他人の土地を(地権者になりすまして勝手に)売り飛ばす闇の詐欺集団」のことである。「闇」ではあるが、最近はドラマに取り上げられることも多いようだ。その実態を知りたくて本書を読んだ。驚いたことに本書で書かれている事件のほとん...

新聞報道などでその存在を知った地面師。表題にもあるとおり、「他人の土地を(地権者になりすまして勝手に)売り飛ばす闇の詐欺集団」のことである。「闇」ではあるが、最近はドラマに取り上げられることも多いようだ。その実態を知りたくて本書を読んだ。驚いたことに本書で書かれている事件のほとんどが未解決(という書き方はおかしいのかな?)で、実態も解明されていないらしい。それだけ複雑で警察も手を焼いているのか、犯人達がよほどの切れ者なのか……。コンゲームは好きだけど、現実はおそろしい。

Posted byブクログ

2019/05/12

裁判での書面や著者が接触できた関係者へのインタビューを通して、話題の地面師について追ったノンフィクション。 丹念に追っているが、ラスボスから話を聞けていないので、それぞれの事件についての全貌はもちろんわからない。 それを補うべく小説の形にした、とかフィクションを交えました、とかい...

裁判での書面や著者が接触できた関係者へのインタビューを通して、話題の地面師について追ったノンフィクション。 丹念に追っているが、ラスボスから話を聞けていないので、それぞれの事件についての全貌はもちろんわからない。 それを補うべく小説の形にした、とかフィクションを交えました、とかいうこともないので、どこまでが本当なのかわからない一橋文哉氏の著作などと比べると面白みは欠ける。 でも、これはこれであり、というか現況で表の世界の人間が知りうる限りの闇の一端ということで了解したい。 地面師グループの頭目とされる人々、これだけ頭が回るのなら普通にビジネスをやってもそれなりの成果を出せると思うのだが、不動産は儲かるのでそれだけでは満足しなくなってくるのでしょう。 それに、地上げ屋と地面師の境目もあいまいで、地上げがうまくいかなってから地面師の仕事が企画されるケースもあったりするとか言われると、不動産業界だからな、さもありなん、で納得してしまう自分もまた怖い。 役所はお役所仕事だし、司法書士とか処分を受けた元弁護士が、食い詰めた弁護士を抱き込んで相手を信じ込ませ、法の抜け穴を突くんじゃ、本人確認とか無理だよね。 認知症を患う弁護士とか、地面師の仕事と知りつつ代理人の仕事を受ける弁護士とか、法曹界隈もひどいことになっているのだなと再確認。 それから、坂東忠信氏や深田萌絵女史の本に出てくる背乗りの話にも通ずるのだが、性善説に基づく制度設計とか、抜け道の有りすぎる現状とか、なんとかならないものか。

Posted byブクログ

2019/05/11

裏社会の詐欺師軍団の話。つかみはとってもよかったのだけれど、ただ事件の被害者の話を繰り返すだけになってしまって惜しい。まあ、それだけ闇の住人は一筋縄ではいかないのだということだけれど。警察ってなぜ真剣にやらないのかねえ。そこにも何かわけがあるんじゃありませんかねえ。

Posted byブクログ

2019/05/11

とても興味深い闇の世界のお話だった。 なかなか警察が逮捕できない、逮捕しても起訴されない、実刑を受けても割と短い期間で出てくる、といったところが、同じような事件がなくならない原因になっているのだろう。 詐欺師って何を考えてるんだろう。大金をだまし取ったら、その大金で幸せになれそう...

とても興味深い闇の世界のお話だった。 なかなか警察が逮捕できない、逮捕しても起訴されない、実刑を受けても割と短い期間で出てくる、といったところが、同じような事件がなくならない原因になっているのだろう。 詐欺師って何を考えてるんだろう。大金をだまし取ったら、その大金で幸せになれそうなものなのに、幸せでもなさそうな感じがする。もっと後ろにいる存在に吸い取られているのか。 それだけの詐欺ができるなら、全うな仕事でも成功しそうなものだろうに。ビョーキみたいなものか。騙される方はたまったものではない。

Posted byブクログ

2019/05/03

土地取引の実情は承知していないが、なりすましはまだしも、印鑑証明書の偽造や何でもありの印象を持った。取材力が凄い。

Posted byブクログ

2019/05/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

複雑な詐欺なのはわかるけど、もう少し分かりやすく整理して書けば、もっと面白い読み物になるのになぁと残念な感じ。 ただ、本人確認、登記制度、公証人、警察の捜査、、、ずさんなものが多いなぁと再認識。 マイナンバーで全て一括管理!なんて、夢のまた夢。

Posted byブクログ

2019/04/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

昔から「詐欺は引っかかる方が悪い」と言っているが、あの積水ハウスが引っかかるか!というのが正直な感想だ。 引っかける方がよっぽど上手いんだろうなぁ!と感心することしきり…。 100坪程度の我が家に地面師が目をつけることもないだろうが、とにかく注意するに越したことはない。

Posted byブクログ