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むこう岸 の商品レビュー

4.6

51件のお客様レビュー

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    32

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2023/06/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

オビにある通りイッキ読み だいぶ心を動かされた 自分が登場人物のどの立ち位置にもなり得る ような読み方ができる 誰にとっても なくせない優越感とか優位性とか 人間社会で生きていく限りゼロにはできないような感情 社会のいろんな人の立場から見た風景 主人公が中学生であるところで まだ、希望を持ててよかった 法律の美しさを見る山之内がすばらしい 彼は法律家になるだろうと思いました (知らんけど)

Posted byブクログ

2023/04/08

『むこう岸』というタイトルに惹かれて手に取った本。 難関私立中で落ちこぼれ公立中に転向してきた和真と、生活保護を受けながら母と妹の三人で暮らす樹希が、出会うことからこの物語は始まる。 広くて深い川の向こう側とこちら側。 「貧しい生活レベルの人」「恵まれた家で育ってきたくせに」と...

『むこう岸』というタイトルに惹かれて手に取った本。 難関私立中で落ちこぼれ公立中に転向してきた和真と、生活保護を受けながら母と妹の三人で暮らす樹希が、出会うことからこの物語は始まる。 広くて深い川の向こう側とこちら側。 「貧しい生活レベルの人」「恵まれた家で育ってきたくせに」と反発する二人がどうなっていくのかとハラハラしながらページをめくった。 二人を繋げる「カフェ・居場所」があって良かったと思う。世話焼きなマスターがいて、先生と呼んでくれるアベルくんにも出会えた。樹希にとっても唯一安らげる居場所がここ。穏やかに時間が流れる空間にいると、人は落ち着いた気持ちになり心を開いていくように思う。 「生活保護家庭の子は、大学に行っちゃいけないの!」不条理な制度に納得がいかず自分で調べ始めた和真を応援したくなった。 「生活保護制度には例外や裏技がある、理解しづらい制度も知らなければ損をする、生活保護法は無差別平等」だと和真から教えて貰い、樹希は家族と将来の自分のために動き始める。 生活保護だけでなく、ヤングケアラー、いじめ、人種差別、格差などの問題を抱える本作だが、児童書なのでわかりやすい。光が見える終わり方にも好感が持てた。 「生活保護法 第一章 第二条『すべての国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等に受けることができる』」これを読んだとき、ぼくは人間を信じてもいい気がしたんだ。 和真の言葉が心に響いた。

Posted byブクログ

2023/03/08

生活保護、貧困、ヤングケアラー、現代の色々な問題を詰め込んだ児童文学。 生活保護を受けている側がなぜ、そういう状況になったのかもしっかりと描写されていて分かりやすい。 貧困のループって身近にいないと分からないし考えないですよね。 そういう人を見下してはいけない、いつも娘に言い聞...

生活保護、貧困、ヤングケアラー、現代の色々な問題を詰め込んだ児童文学。 生活保護を受けている側がなぜ、そういう状況になったのかもしっかりと描写されていて分かりやすい。 貧困のループって身近にいないと分からないし考えないですよね。 そういう人を見下してはいけない、いつも娘に言い聞かせています。 弱き人を助ける、主人公のかずまくんは立派です。 勉強が出来ることは素晴らしい、でも弱き人に手を差し伸べられるそんな人はもっと素晴らしいです。

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2024/07/02

生活保護を受けて暮らす樹希の家庭環境・苦悩を知り、生活保護についての見方が変わった。 こどもの力だけでは貧困生活から抜け出すことも大学に行く事も夢を抱くことも容易ではない。そんな不自由な生活の状況下でも、クラスメイトからは、「生活保護って書いたTシャツ着ればいいんじゃね?みんな...

生活保護を受けて暮らす樹希の家庭環境・苦悩を知り、生活保護についての見方が変わった。 こどもの力だけでは貧困生活から抜け出すことも大学に行く事も夢を抱くことも容易ではない。そんな不自由な生活の状況下でも、クラスメイトからは、「生活保護って書いたTシャツ着ればいいんじゃね?みんなに養ってもらってるんだから、それくらいしないと不公平じゃん」と心無い言葉を浴びせられたりする。 生活レベル・学歴・容姿・出身地など似た者同士に対しては仲間意識を持ち、相反する者には敵対意識を持つ。そういう線引きを無意識に誰もがした事があると思う。心当たりのある人は、樹希と和真の言葉が心に刺ささったり、胸を締め付けたりすると思う。 特に印象に残った言葉は、 ・哀れんでいるものは、自分の放つ匂いに気づかない。哀れまれているのもだけが、その匂いに気づくのだ。 ・みんな、高い月謝の受験塾に通わせてもらって、夜の弁当なんか作ってもらって、塾が終わると車で迎えに来てもらって、合格してバンザイバンザイと喜ばれて、また私立中学の高い月謝を払ってもらえるんだろ?ーー中略ーーおもしろくないんだ。ものすごくお腹がすいている横で、美味しそうなパンをまずそうに食べてるようなやつらが。 当たり前と思っている事がそうではない事を改めて痛感させられた。全体を通してとても考えさせられる一冊だった。

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2022/10/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

衝撃がもうね。 「生活保護受けてるやつは、生活保護って書いたTシャツ着ればいいんじゃね?」 それに「そうだね」と返し、自分の体操服に油性ペンで「生活保護」、背中側に「ありがとう」と書きなぐり着用する樹希。 フィクションだとわかってても心が抉られます。 樹希ほどインパクトのあるリアクションができる子はなかなかいないでしょうが、こういう言葉を簡単に吐いている性根腐れ少年少女はザラにいる。そしてそういう子たちはそれなりのオヤに育てられている。 斎藤くんの母親の感じもすごくリアルで。樹希をあんな目に合わせた元凶ではある。普通は、拾ったカード持つ意味や誰のものかなんて子どもには言わない。でも、アベルをかばう正義感も持っている。100%のクズってほんとはなかなかいないんですよね。 そんなオヤも子も樹希にとっては「むこう岸」。 そして脳内実写化のび太くんこと山之内くんだって「むこう岸」。 貧富の差がある以上、両者を隔てる川は流れているわけで、生活保護という制度があろうがなかろうが、やはり彼らは「むこう」と「こっち」なんでしょう。 ただ、この物語の何が刺さるって、やっぱり「生活保護」っていう制度の「概念」について。 本来はエマちゃん叔父さんの言っていることが軸であり、そういう性質の制度なんですよ。 条文を知って、山之内くんが感じた美しさを持つ制度。 なのに叔父さんの解説を読んだときに少なからずハッとした私も、生活保護受給者を「ナマポ」と呼ぶ匿名ネット民たちの概念に染まっていたんだろうなと引き攣りました。「施し」のにおいがするものだと思っていたんでしょうね。 ただ、これは「生活保護」に限らずあらゆることに言えちゃうことなんでしょうが、同等以上の罪が、その枠に入りながら不正をはたらく者たちにも多分にあるのではないかなと。 やはり人の目はそこに注視されるもので。 制度を利用しているはずなのに高級車に乗り、毎日パチンコに通っている人。 制度を利用できず、ギリギリの暮らしをしている家庭の子どもに、どう見ても不正受給をしている家庭の子どもが「おまえ服も頭もいつも汚くて臭いぞ!近寄るな!菌がうつる!」とイジメる。 受給者のイメージを彼らが背負っちゃってるところもあるんですよね。 かといってケースワーカーさんたちの過酷さはもう周知のとおりで、無理に不正受給を減らそうとすることが、本当に必要な人弾いてしまったりもする。 この制度の実態が100%その性質通りになることなんて多分なくて。 それでもやっぱり支える側も支えられる側もその美しさを持つ努力はしていかなきゃだよなあと考えさせられた1冊でした。

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2022/08/19

YAコーナーで見つけた一冊。 とても読み易くて、2人の中学生の気持ちが溢れてそのまま文章になっている。 穢れなき2人の思いは、ひしひしと伝わってきて思いのほか感動し、涙する。 私立中学へ入学したものの、そこから落ちこぼれて中学3年で公立中学へ転校した山之内和真。 父を亡くし、...

YAコーナーで見つけた一冊。 とても読み易くて、2人の中学生の気持ちが溢れてそのまま文章になっている。 穢れなき2人の思いは、ひしひしと伝わってきて思いのほか感動し、涙する。 私立中学へ入学したものの、そこから落ちこぼれて中学3年で公立中学へ転校した山之内和真。 父を亡くし、鬱病で働けない母と3歳の妹の世話をして生活保護を受けている佐野樹希。 2人が唯一、共有できる「カフェ・居場所」 そこで得られるのは自由な時間だけではなくて、お互いのことや自分のことを見つめ直すとても大切なものだった。 生活保護法について必要にならなければわからないことも知ることができた。 だが、みんなが知っているわけではなく深く追究しないと知らずに苦労している人もいるだろうと思った。 中学生から読めるので、ぜひ多くの人に読んでほしい本である。

Posted byブクログ

2022/08/13

児童書とは思えない濃い内容だった。無知や分断って、とてもこわい。子は親を選べないし、逆もまた然り。気がつかないだけで、「むこう岸」は自分の周りにもたくさんあるのかもしれない。

Posted byブクログ

2022/05/28

生活保護過程でお先真っ暗な樹希と難関中学で落ちこぼれた和真.同級生として出会った二人の化学反応,中学生のたくさんの悩みが散りばめられ,大人はこんなふうに関わったらいいのかというヒントもある. そして喫茶店の居場所という名前もマスターも素敵だ.

Posted byブクログ

2022/01/17

いろんな環境でいろんな悩みを抱えながら、人は成長するんだなあと感じます。と、こんな高みからのコメントをする立場に自分はいるのか?恵まれていることに感謝です。

Posted byブクログ

2022/01/03

中学生なのに偉いなあ…という感想をもつ自分が情けない。率直に、もっとしっかり生きていかなければと思った。知らないことがいけないのであって、知っていれば何とかできることができる世の中にはたくさんある。

Posted byブクログ