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ブルーバード、ブルーバード の商品レビュー

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27件のお客様レビュー

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2024/07/04

アメリカはテキサス州北東部の州の人口200人にも満たない小さな町。そこで起きた2件の殺人事件。黒人男性の死体が上がり、続いて白人女性が。その順序が問題だという。普通は白人が殺され、みせしめに黒人が殺されるのだと。 テキサス・レンジャーの黒人男性ダレンは大学時代の友人で今はFBI...

アメリカはテキサス州北東部の州の人口200人にも満たない小さな町。そこで起きた2件の殺人事件。黒人男性の死体が上がり、続いて白人女性が。その順序が問題だという。普通は白人が殺され、みせしめに黒人が殺されるのだと。 テキサス・レンジャーの黒人男性ダレンは大学時代の友人で今はFBIのヒューストン支局に務めるグレッグに探りを入れるよう頼まれる。ヘイト組織のしわざか?とダランは考えるが、事件の芯は小さな町の縦横に絡まった強い人間関係と愛憎関係だった。・・でもその愛憎関係はけっこう使い古されている、とも感じた。 またやはり黒人と白人の関係もこの物語の大きな要素。町はジェファソン一家が作ったプランテーションで作られた。レンジャーのダレンの先祖は奴隷解放後、主人の農場をもらい受けて裕福。おじは大学教授。今は農場の管理を白人に任せている。・・と裕福な白人と黒人、貧しい白人と黒人を登場させる。時代設定は2016年。 また自然描写が興味深かった。ダレンは結婚してヒューストンに住んでいるが、生まれはその少し北のサン・ジャシント郡、事件のあったのはさらに北東のシェルビー郡。死体があがったのは「バイユー」と呼ばれるところ。水路のようなものらしい。バイユー? CCRの歌に「ボーン・オン・ザ・バイユー」があったなと思い出す。 検索してみると、低湿地を流れる小川、だそう。そしてヒューストンは「バイユー・シティ」として知られるとあった。 <ウィキ> ルイジアナ州ニューオーリンズを中心に、テキサス州ヒューストンからアラバマ州モービルまで、ガルフ・コースト(米国南部のメキシコ湾に接する地域)一帯に広がる「バイユー・カントリー」は、ケイジャン(フランス語を話すアカディア人)とクレオール(フランス人とアフリカ人、インディアンの混血)の文化に最も密接に関連している。テキサス州ヒューストンは「バイユー・シティ」として知られ、ぬかるんで距離の長いバッファロー・バイユーが、この米国で4番目に大きな都市をうねりながら通っている。 題名の「ブルーバード、ブルーバード」はアメリカを代表するブルースマン、ジョン・リー・ブッカーの曲「ブルーバード」からとったものだと解説にある。作中にもいろいろな曲が挿入されていて、なによりジェニファーの人生にブルースは重要なものなのだが、詳しくないのでよくわからなかった。 著者のアッティカ・ロックは1974年ヒューストン生まれの黒人女性。シナリオライターだったが2009年に「黒き水のうねり」でデビュー。 2017発表 2018.12.15発行 図書館

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2023/05/08

想像以上に読みやすく面白かった 人種問題を絡めながらもそれ以前の人間関係の問題、そして全てが綺麗に解決する訳ではない展開なのが良かった。主人公は決してスーパーマンじゃない。読みやすかった

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2023/03/05

旅先三重の本屋さんで、たまたま出会った本。 誰が二人を殺したのかという謎を追いながら、白人社会と黒人社会の複雑な関係を描き出す。 既得権益、とは簡単に言えるが、あいつらがいなければ…という行き場のない怒りは普遍的であり、避けて通れない。

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2023/01/06

解説、吉野仁より  ブラック ライブス マター の理解 南部のスモールタウンを舞台としたミステリ ひとつの大きな家族だった アメリカの縮図 秘められた愛による犯罪 通底低音、ブルース ジョン リー フッカー ブルーバード  ライトニン ホプキンス ブルーバード、ブルーバー...

解説、吉野仁より  ブラック ライブス マター の理解 南部のスモールタウンを舞台としたミステリ ひとつの大きな家族だった アメリカの縮図 秘められた愛による犯罪 通底低音、ブルース ジョン リー フッカー ブルーバード  ライトニン ホプキンス ブルーバード、ブルーバード 相似系、逆転のケースが、繰り返される 表面の写生で終わらない厚み 白人と黒人、夫と妻、親と子 反転 過去の回想がドラマとして物語に挿入 highway59 楽しみ

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2022/05/06

テキサスの田舎町で2件の殺人事件が発生する。1件目はテキサス外からやってきた黒人の男性弁護士のマイケル。2件目は地元の酒場でウェイトレスをしている白人女性のミシー。白人至上主義の犯罪組織のABTが集う酒場に関わった人が事件に巻き込まれている。事件の調査をしているのはテキサス・レン...

テキサスの田舎町で2件の殺人事件が発生する。1件目はテキサス外からやってきた黒人の男性弁護士のマイケル。2件目は地元の酒場でウェイトレスをしている白人女性のミシー。白人至上主義の犯罪組織のABTが集う酒場に関わった人が事件に巻き込まれている。事件の調査をしているのはテキサス・レンジャーのダレン。ダレンも黒人であり、家族とは問題を抱えている。マイケルがなぜ殺害されたのか。ABTが何らかの理由で殺したのか。白人のミシーが殺された理由は? 人種問題にからんだ事件かどうかさえ確信はないままダレンは捜査をする。終盤になると犯人はこの人くらいしかいない感じになるので、謎解きとしては深くはない。ただし、物語の背後に隠れている人の生き方などのドラマを読むべきなのだろう。

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2021/05/19

 2018年エドガー賞最優秀長編賞受賞作です。 日本人の環境では分からないが、肌の色で社会が別れているのはこの現代でも変わってないのでしょうか。  テキサス州警察のレンジャー・ダレンは友人のマックが殺人事件の容疑者となりダレンも巻き込まれて停職中の所に、FBIの友人グレッグか...

 2018年エドガー賞最優秀長編賞受賞作です。 日本人の環境では分からないが、肌の色で社会が別れているのはこの現代でも変わってないのでしょうか。  テキサス州警察のレンジャー・ダレンは友人のマックが殺人事件の容疑者となりダレンも巻き込まれて停職中の所に、FBIの友人グレッグから小さなハイウェイ沿いの街で起きた連続殺人事件の調査を依頼される。  1人目の被害者は、弁護士のマイケル・ライト。年齢が近く、同じ大学の法学部で同じ肌の色をした黒人という事にダレンは被害者に親近感を感じた。  2人目は、白人ウェイトレスのミシー。  マイケルは、ハイウェイ沿いの黒人が屯するジェニーバのカフェとミシーが働いていた酒場に寄って、店沿いに流れているバイユー(小川)で溺死していた。ミシーはジェニーバのカフェからバイユー沿い反対側にあるジェフの酒場のウェイトレスで彼女もまた、バイユーで溺れて亡くなった。  彼女の夫は、白人至上主義ギャングの一員で刑務所帰りだ。  人種差別が残る小田舎街で起きた事件。舞台は黒人が集まるジェニーバのカフェと白人至上主義者や白人が屯する酒場だ。動機はヘイトクライムなのか。  殺された黒人弁護士マイケルの叔父とジェニーバの息子リトル・ジョーはミュージシャンで一緒に行動していた時期が有った。更にリトル・ジョーは2件目の被害者ミシーと浮気を重ねていて、妻に殺害されていた。  また、6年前にジェニーバの夫は、カフェで3人の白人の強盗に襲われて亡くなっていた。  容疑者は、   ・妻の浮気を疑い弁護士と妻を殺害した白人至上主義者で前科者のキース。   ・ジェニーバのカフェに集まる黒人へのヘイトクライムで容疑者は白人至上主義者が集まる酒場の白人。  ストーリーは200人に満たないハイウェイ沿いの小さな街で人種差別が絡んだ事件として捜査が始まるが、カフェの創業者が強盗で殺されたり、その息子はウェイトレスのミシーとの浮気発覚で妻から銃殺させられ、と現在進行中の事件に関連性が不明な過去の忌々しい事件も明らかになり、犯人像や動機がぼやけて来るがダレンの執着で解決に向かう。  とても読み易く、筋も分かりやすいが人種差別に馴染みのない読み手としてはこの現代でもこれ程の差別が未だに存在するのかと感じた。

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2021/07/01

そんなふうに生きるのは伯父たちの世代が最後だ、変化はホワイトハウスから浸透してくるはずだ……実際には反対のことが現実になった、オバマ後のアメリカを見れば自明だった。 テキサスの都会で成功した家系に属する黒人の警官が田舎町で直面する今も昔も変わらないヘイトクライムの有り様。そして...

そんなふうに生きるのは伯父たちの世代が最後だ、変化はホワイトハウスから浸透してくるはずだ……実際には反対のことが現実になった、オバマ後のアメリカを見れば自明だった。 テキサスの都会で成功した家系に属する黒人の警官が田舎町で直面する今も昔も変わらないヘイトクライムの有り様。そして自身も絡みとられている家族のしがらみ。

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2021/01/16

うん、面白かった‼︎題名と装丁に惹かれて借りた本だったんで、あんまり内容は見ないで借りたんで、最初はちょっととっつきにくかった。終わって振り返れば、各所に必要な情景描写なんだけど、余計なものだなと思ってた。レンジャーとか保安官とか、やっぱりアメリカのそれもテキサスの生活はよくわか...

うん、面白かった‼︎題名と装丁に惹かれて借りた本だったんで、あんまり内容は見ないで借りたんで、最初はちょっととっつきにくかった。終わって振り返れば、各所に必要な情景描写なんだけど、余計なものだなと思ってた。レンジャーとか保安官とか、やっぱりアメリカのそれもテキサスの生活はよくわからないんだけど、驚くほど人種間のいわゆるヘイトが蔓延っている彼の国の現実に驚き、そしてまた悲しかった。そんなことしている場合じゃないのに、世界は。

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2020/08/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

テキサス州の田舎町で、ふたつの殺人が起こる。 都会からの黒人男性弁護士と、地元白人女性の遺体がバイユーから発見される。 停職処分中の黒人テキサス・レンジャー、ダレンは、FBIに所属する友人から、事件の周辺を探ってほしいと頼まれて現地に赴く。 そんな感じで始まる物語だけど、KKKよりあくどい集団のABT(アーリアン・ブラザーフッド・オブ・テキサス)の存在とかヘイトクライム殺人とかが疑われる。 地元保安官事務所との確執や主導権争い、被害者の妻との協力など悪戦苦闘しつつも、最後には無事解決に導く。 主人公のダレンに感情移入が出来くて、イマイチ読んでてワクワク感が無かった。 何かと酒飲んで、お前若いくせにアル中か?とか、自分の家族の軋轢とかを引きずってアレコレ悩む。 ここは仕事に集中しろよと思う処で、なんか余計なことで脱線する。物語的な破綻があるわけじゃないけど、ちょっと違和感がある。 まあ黒人にとって生き難い所なんだねテキサスって、と同情するが、もうちっと上手くやるなり、感情と折り合い付けた方が良くね?と思う。 ま余計なお世話だよな。

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2020/07/23

混迷を深める白人ナショナリズムと根深い白人至上主義によるアメリカ社会の暗部を背景に、黒人のテキサス・レンジャ—(停職処分中)が、テキサス州の田舎町で起きた連続殺人事件の調査を依頼される。黒人の殺害は当然の報いであるが、被害者が白人となると黒人が真っ先に被疑者となる社会に対して、正...

混迷を深める白人ナショナリズムと根深い白人至上主義によるアメリカ社会の暗部を背景に、黒人のテキサス・レンジャ—(停職処分中)が、テキサス州の田舎町で起きた連続殺人事件の調査を依頼される。黒人の殺害は当然の報いであるが、被害者が白人となると黒人が真っ先に被疑者となる社会に対して、正義の信念で立ち向かう黒人警官の愛と葛藤に苦悩する姿を、重厚な文面で切々と謳いあげた社会派ミステリ-の秀作。現代社会が抱える深刻な問題は、人間の深層心理を傷めつけてやまず、真犯人の犯行動機もまた差別社会の弊害の故であろうか。

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