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無子高齢化 出生数ゼロの恐怖 の商品レビュー

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2020/08/02

 少子化のスピードが早いことが気になり、網羅的に少子化の原因を知りたいと思って読んでみた。 「無子高齢化」という刺激的なタイトルと、著者が横浜副市長を経験しており、自治体の現場を知っていること、女性であることから本書を選択した。  2018年の刊行なので、平成が終わる時期。映画『...

 少子化のスピードが早いことが気になり、網羅的に少子化の原因を知りたいと思って読んでみた。 「無子高齢化」という刺激的なタイトルと、著者が横浜副市長を経験しており、自治体の現場を知っていること、女性であることから本書を選択した。  2018年の刊行なので、平成が終わる時期。映画『万引き家族』が話題になった時期の書籍である。当然、新型コロナ危機は発生していない。コロナ以前の「少子化対策の失敗の歴史」をたどることに成功している良書だ。  就職氷河期に社会にでた団塊ジュニア世代が、正社員になれなかったことで、生活が不安定になり、少子化が促進したことがデータをもとに詳述されている。本書は、重要な事実を、太ゴチックで印刷しているので、手早く要点を理解することができるのがありがたい。  私にとって発見だったのは、少子化の解決策としての移民の位置づけだった。 --- 実は1992年、旧労働省産業安定局は『外国人労働者受け入れの現状と社会的費用』で、外国人の受け入れのメリット・デメリットを研究している。 彼らが日本人と同程度の所得を得て働いた場合の納税や社会保険料などの社会的便宜と、同時に生活者として医療や教育を日本人と同じように受け、がいこくじっ向けの通訳サービスや日本語教育などを整備した場合の行政コストの、いわば「入り」と「出」の試算である。 50万人の外国人労働者を受け入れた場合、単身では「入り」の方が多いが、配偶者が来た場合はコストが便益の倍になる。さらに学齢期の子どもが二人いると,教育費や居住対策費が必要になり、扶養家族が増えるにつれ、税収も下がるため、1年でメリットの4.7倍にあたる約1兆4000億円ものコストが発生するという。 ---  日本政府は、外国人の定住移民の増加を拒否している。国民もそれを批判していない。    著者は、少子化対策のために必要な施策を提案しているが、その実現のためには,政治家の決断、そしてそれを支持する高齢者中心の有権者の政治決断が求められる。  これまでの少子化失敗の歴史をみるかぎり、実現の可能性は低い。  国内で子どもが増える可能性は低い。  移民で子どもを増やす政治決断はしない。   日本の少子化対策はきわめて悲観的、という分析の書である。 2020年の新型コロナ危機、さらに気象変動による大水害の続発で、国も自治体の予算は枯渇しつつある。  さらに少子化は進むだろう。著者が指摘するように、それは、子どもがいない=無子、の社会に日本が向かっている。

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2020/01/05

◯これまでの国の子育て施策を総括し、これからの少子化対策をいかにすべきかを語る。 ◯移民施策、とりわけ近年議論されていた新たな在留資格を導入した場合の社会保障施策に対する検討もされており、新しい。 ◯とはいえもはや少子化対策は一朝一夕には解決しないものであることが確実であるため、...

◯これまでの国の子育て施策を総括し、これからの少子化対策をいかにすべきかを語る。 ◯移民施策、とりわけ近年議論されていた新たな在留資格を導入した場合の社会保障施策に対する検討もされており、新しい。 ◯とはいえもはや少子化対策は一朝一夕には解決しないものであることが確実であるため、これ以上少子化が進ま無いように、できれば盛り返すためにはどうするかを考え続ける必要がある。

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2019/06/29

まず、「無子高齢化」というタイトルを見て、私は、「やられた」と思った。 そう、これから日本が直面する最大の加田は、「少子」ではなく、「無子」なのである。 この本が、他の「少子化本」と一線を画しているのは、著者の前田氏が横浜市副市長という経歴の持ち主であることから、行政的な立場か...

まず、「無子高齢化」というタイトルを見て、私は、「やられた」と思った。 そう、これから日本が直面する最大の加田は、「少子」ではなく、「無子」なのである。 この本が、他の「少子化本」と一線を画しているのは、著者の前田氏が横浜市副市長という経歴の持ち主であることから、行政的な立場から「少子化」の解決策についてのアプローチを試みている点である。 実際、本書で著者は、その対策案として、行政的な視点から5つの案を提起している。 その提起された5つの案から、私は、非正規社員や外国人労働差の増加、奨学金の返済問題、家事・育児時間の増加など、様々な要因が重なり合い、我が国は少子化が進展してきたことを改めて認識させられた。そして、少子化対策は、行政において、子育て担当部署のみならず、経済振興、教育委員会、そして男女共同参画や国際を担当する部署が連携をして対策を講ずる必要があるのではと感じた。まさに、あらゆるエビデンスを得て著者が主張するように、まず、少子化対策とは、若者が経済力をもつような基盤整備が求められるのではないだろうか。 2017年の合計特殊出生率は、1.43である。このままだと、早くも3世代目の時点で、日本で生まれる子供の数は半分になってしまう。 無子高齢化時代の予兆は、すでにわが国で始まっている。生産年齢人口の減少に伴い、外食産業やコンビニエンス業界では、人手不足により、営業時間の短縮などに迫られている。 今まで当たり前と思っていたサービスが受けられなくなる。著者は、このまま日本の農家の減少と高齢化が進めば、畑が急な傾斜にあって、機械化も難しいミカンが食べられなくなるのではと危惧している。 「無子高齢化」時代の到来。我が国は、他の諸国と比較し、いち早く、その時を迎える。 その時を変えるべく、私たちは、行動を起こさなければならない。 本書を読んで、いま、始めるべきことを始めなければと思った。

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2020/10/26

なかなか衝撃的なタイトルだが、内容も歯に衣着せぬ表現で、現在の人口問題について分かり易く解説している。育児支援や保育政策が専門の大学教授が、現在の苦境を招いた原因を、政策対応を時代の経過とともに説明しながら、問題点を指摘している。バブル崩壊による経済の低迷と、政府が適切な対策が取...

なかなか衝撃的なタイトルだが、内容も歯に衣着せぬ表現で、現在の人口問題について分かり易く解説している。育児支援や保育政策が専門の大学教授が、現在の苦境を招いた原因を、政策対応を時代の経過とともに説明しながら、問題点を指摘している。バブル崩壊による経済の低迷と、政府が適切な対策が取られなかったことが致命症になったが、生まれない子供を気に掛けることは難しく、頭ではわかっていながら問題の本質を見ないようにした「無視」が「無子」をもたらしたのだろう。そもそも、どうやって人口減少社会を乗り切るかというビジョンがなく、人口増加をベースにした昭和の考え方をあきらめきれないところに問題の本質があり、微修正で場当たり的なことが繰り返されてきたのだろう。「平成は少子化が加速度的に進んだ時代として記憶されることになる」との著者の指摘は妥当だと思うし、令和はその影響をまともに受ける時代になり、諦めることが多くなると予想する。決して明るい新時代とはならない可能性が高い。この難局を乗り切る著者の提言も披露しているが、政策による実行は難しいだろう。それを理解した上で、個人で対策を講じるしかない。その覚悟を強固にしてくれる本と言える。

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2019/03/29

なかなか厳しいタイトルである。本文もタイトルが与える印象そのままに、厳しい現状、見通せない未来を綴る。 著者は横浜市副市長として行政に携わった経験を持つ。現在は早稲田大学マネジメント創造学部教授。 但し、そこに至るまでには家庭との両立に苦労もあった。男女雇用機会均等法施行前に就...

なかなか厳しいタイトルである。本文もタイトルが与える印象そのままに、厳しい現状、見通せない未来を綴る。 著者は横浜市副市長として行政に携わった経験を持つ。現在は早稲田大学マネジメント創造学部教授。 但し、そこに至るまでには家庭との両立に苦労もあった。男女雇用機会均等法施行前に就職し、出産退職。子供を保育園に入れられずに駆け回ったこともある。 一方で、2010年以降、現在まで、多くの学生と接し、彼らを取り巻く厳しさもつぶさに見てきた。 本書では、多くの統計データを示しつつ、日本が少子を通り越して無子高齢化社会に向かっていることを示す。その結果、(特に就労年齢層の)人口が急速に減少し、現在可能であるようなサービスやセーフティネットが機能しなくなると予測している。 各章の扉に各セクションの見出しが列挙され、例えば第1章では 少産多死ニッポン 人口が減ると何が起こる?   日本は少産多死の国   毎年500の学校が閉校している   合計特殊出生率1.44で何が起こるか・・・(後略) といった具合。本文中でも強調される部分は太字で示され、著者の言わんとするところは非常にストレートに伝わってくる。 いささか煽っているように感じなくはないのだが、引用データを見れば、なるほど生産人口が急速に減りつつあるのは間違いないのだろう。 少子化の要因は ・結婚しない人が増えていること ・晩婚化が進み、出産年齢も上がっていること ・夫婦による出生児数が平均して減少していること であると言われる。 著者は、未婚化が進んでいるのは、非正規雇用者が増えているためであるとしている。低収入が原因で、結婚・出産に踏み切れない人が多いのだ。 1971年には第二次ベビーブームが起こり、当時はむしろ人口増加による問題が危惧されていた。現在のような出生率低下と高齢化率の増加は予想されていなかった。 フランスやスウェーデンでは出生率低下を危惧し、子育て支援政策が早いうちから採られていたが、日本では、家庭が福祉の基礎とされて、そうした政策への着手はなかなか進まなかった。縦割り行政により、広い視野で長いスパンの策を打ち出せなかったことも大きい。 結局のところ、結婚・出産は「自己責任」であり、個人がどうにかするべきだという風潮が続くことになった。 その後、バブルの崩壊やリーマンショックで、かつてのような新卒者の終身雇用モデルが崩れ出す。だがそうなり始めてからも、「ひきこもり」や「パラサイトシングル」、「ニート」といった言葉で表されるような生き方は、個人の責任であるかのように見なされてきた。それらが、個々人ではどうしようもない、社会構造の問題であったにも関わらず。 著者は極端な少子化を食い止めるには、婚活支援などより、雇用の安定化や若年層への社会保障の充実が必要だと述べている。 人口が減っていく中で、今まで通りの公的サービスを続けていくことは困難な部分も出てくるだろう。 「社畜」のような働き方を見直して、共働きで子供を育てていきやすいように制度を整えることも重要だろう。 有効な解決策を見出すのは容易なことではない。 本書でも起死回生の一手が示されるというものではないのだが、問題提起の1冊として読み応えは感じた。

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2019/03/21

日本の人口構成の変化を丁寧に追った本。 あとから振り返ると見えてくるものも、真っ只中にいるときは、なかなか見えないものなのですね…。 それはさておき、日本の人口構成は、これからどうなるんでしょうね。 日本の社会の在り方とともに、真剣に考えていかないと、とんでもない未来がや...

日本の人口構成の変化を丁寧に追った本。 あとから振り返ると見えてくるものも、真っ只中にいるときは、なかなか見えないものなのですね…。 それはさておき、日本の人口構成は、これからどうなるんでしょうね。 日本の社会の在り方とともに、真剣に考えていかないと、とんでもない未来がやってくることでしょう。 昔に比べて、日本人は長生きするようになりましたし、元気なお年寄りも多いですが、未来を作っていくのは若者なので、その若者たちが、明るい未来を描けるように、ある一定以上の年齢層の人たちは、自分も含め、若者たちに、より良い形でバトンタッチできるよう、がんばらないといけないですね。

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2019/01/07

今まで少子高齢化の本で読んだ内容プラス外国人労働者についての内容で、少しがっかり。 人口、労働人口減少というよりは結婚しても産まない夫婦について読みたかった、

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2019/01/02

『少子化』問題へ「戦略対応」=構造転換が出来なかった 97年橋本改革にもそれだけの構想力は無かった バブル崩壊で個別の問題対応に追われてしまった 不良債権も後回し 結果的に若者を切り捨てて乗り切りを図った 短期的なつじつま合わせ 非正規労働者 出生率の低下 母体の急減 復活には2...

『少子化』問題へ「戦略対応」=構造転換が出来なかった 97年橋本改革にもそれだけの構想力は無かった バブル崩壊で個別の問題対応に追われてしまった 不良債権も後回し 結果的に若者を切り捨てて乗り切りを図った 短期的なつじつま合わせ 非正規労働者 出生率の低下 母体の急減 復活には2世代50年を要する 社会構造は変えられなかった   旧態依然 男が終身雇用・年功序列  第三次ベビーブームは来なかった その場限りの個別対処は、タイタニック号と同じ運命

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2018/12/18

2040年に人口一億を割るとされる超高齢化社会は、人口減少を上回るスピードで生産年齢人口が減少(1日あたり人口減約1100、生産年齢人口減は約1500)する社会であり、合計特殊出生率が2.07となっても人口減が50年以上止まらないという恐るべき社会である、一刻も早く若い世代への支...

2040年に人口一億を割るとされる超高齢化社会は、人口減少を上回るスピードで生産年齢人口が減少(1日あたり人口減約1100、生産年齢人口減は約1500)する社会であり、合計特殊出生率が2.07となっても人口減が50年以上止まらないという恐るべき社会である、一刻も早く若い世代への支援などの的確な対策をとらなければならない、とする警告と具体的提言からなる書。 この現実を前に、どのような社会にしようとするのか、国民みながしっかりと議論し、選択し、行動しなければならない時が来ていますね。

Posted byブクログ