私以外みんな不潔 の商品レビュー
当時言語化できていれば楽になったのかますますもやっとしたのか。子ども、ではなく小さい人と表現した渡辺一枝さんを思い出した。 頭の中ではできているのに体ではできない苛立ち、考えていることを他者に伝えるには足りな過ぎる語彙の量。 かかわる仕事をしているので、目の前にいる小さい人の中で...
当時言語化できていれば楽になったのかますますもやっとしたのか。子ども、ではなく小さい人と表現した渡辺一枝さんを思い出した。 頭の中ではできているのに体ではできない苛立ち、考えていることを他者に伝えるには足りな過ぎる語彙の量。 かかわる仕事をしているので、目の前にいる小さい人の中で 渦巻いているものがあることを忘れないようにと自戒。
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住み慣れた町を離れ、一家で祖母の家に越した「私」たち。転入先の幼稚園でのヒリヒリするような日々を、聡明なる5歳児の視点で描いた「私小説」。 私自身が筆者の能町みね子さんと同郷(北海道)で生まれた年も同じという事もあり、読み始めた直後から猛烈にシンパシーを抱いてしまっていたのです...
住み慣れた町を離れ、一家で祖母の家に越した「私」たち。転入先の幼稚園でのヒリヒリするような日々を、聡明なる5歳児の視点で描いた「私小説」。 私自身が筆者の能町みね子さんと同郷(北海道)で生まれた年も同じという事もあり、読み始めた直後から猛烈にシンパシーを抱いてしまっていたのですが、本書でその慧眼を如何なく発揮する主人公「私」にしてみれば、こういう所こそ「無理やり共通点を見出してこちらのテリトリーに土足で踏み込んでくる不躾な大人」って感じだよな……と後々冷や汗が止まりませんでした。 40歳を目前に控えた今振り返る自分の「幼稚園時代」って、特に大きな事件もなく、ただただのっぺりとした輪郭しか思い出せないのだけど、多分それって川の下流のに転がっている石が丸っこいのと同じなのかも。 三十数年分の月日の流れの中で摩耗しちゃっただけで、元々は幼児なりの、そして幼児ゆえの悲しみや苦しみや葛藤や軋轢や恥辱でデコボコギザギザガビガビだったのではあるまいか。 いや絶対そうだよ。だってあの時だってさ……って突然記憶のタガが外れたようになって、今まで思い出しもしなかったようなあれやこれやが自動再生されてしまい、読みながら身悶えすること頻り。 子どもの頃、何と表現すればよいのかすら解らず漠然と抱いていた感情が、本書によっていきなり最適な言葉を与えられたような、ものすごい読書体験でした。 うちにはあと半年で5歳になる娘がいるんですけど、この子の頭の中にもこんな感じの世界がぎゅうぎゅうに詰まってるのかな、と思うと、不思議すぎて頼もしすぎて愛おしすぎて笑っちゃう。
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