私以外みんな不潔 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
久保みねヒャダが好きで、能町さんのエッセイも一応大体は読んでいます。 この本は、能町さんの半自伝的小説らしいので、そう思って読んでいました。 読んでいると苦しくなってきて、何回か、途中で読むのをやめようかと思いました。最後まで読んだけど。 私も子供時代、頭はそんな良くなかったけどとにかく敏感な子供だったので、幼稚園にはあまり適応できず、そういう自分の子供時代の色々なことを思い出して、辛くなりました。 こんなに自意識がある子供だったら幼稚園は辛いでしょうね。こんなに大人びているのに、おもらしだけはしてしまうというのも、とても可哀想。 花川先生が、最後にとても良くて、そこに救いがありました。「小学校ではお勉強がんばってね」と、全員に言ってるのかもしれないけど、この子にとってはとても励みになったことでしょう。 多くの友達ができなくても、ほんの少しだけでも信頼できたりホッと出来たりする相手や場所がある、そのことが命綱となってなんとかやっていける。 小学校に上がってその後どうなったか、というのも読みたいな。 あと、コピー機が欲しいという子に対してプリントゴッコを与える親、というのはなんかいいな、と思います。 「私以外みんな不潔」というタイトルはキャッチーで人目を引きますが、私としては「おゆうぎの部屋」の方が合っていた気がします。
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早熟な子が周囲と馴染めないときに「不潔」と思うことによって自己防衛する感じが、思いあたる節があってむずむずした。
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「にっぽりは茶色、きたせんじゅはパステルカラーの水色」「黒鍵の音は白鍵の音よりもとんがって押し返してくるような音」など、子供ならではの独特の感性が、淡々とした大人口調で綴られていて、そのチグハグな感じが面白かった。 子供であることを馬鹿にされているような気がして「さん」をつけら...
「にっぽりは茶色、きたせんじゅはパステルカラーの水色」「黒鍵の音は白鍵の音よりもとんがって押し返してくるような音」など、子供ならではの独特の感性が、淡々とした大人口調で綴られていて、そのチグハグな感じが面白かった。 子供であることを馬鹿にされているような気がして「さん」をつけられるのが嫌い・ごはんは三食食べる、などの「そうなっていること」について抵抗するつもりはない・友達というものがよくわからない、遊びはなによりひとり遊び・触られるのがイヤなど、同世代の子供とはまた違った視点でものごとを考えている捻くれた子だけれど、絵を褒められた時に素直に喜ぶ姿や、卒園時に泣いてしまうなどの子供らしい一面にも好感を持てた。
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能町さんすごい。こんなにも幼稚園の時のことを記憶してるなんて! 僕はサクラ組だったような気がする。幼稚園嫌いで、行くのが嫌だったなあ。
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5歳の男の子を主人公とした小説。 という形を借りた私小説ではないか、と言われているが、言われてみればそんな感じ。 5歳とは思えない大人びた単語選択ながら、幼い故の知識の限界・大人との基準感覚の違いも描かれている。 「非凡な子」は確かに描かれている。 非凡であるが故の不安や恐怖の自...
5歳の男の子を主人公とした小説。 という形を借りた私小説ではないか、と言われているが、言われてみればそんな感じ。 5歳とは思えない大人びた単語選択ながら、幼い故の知識の限界・大人との基準感覚の違いも描かれている。 「非凡な子」は確かに描かれている。 非凡であるが故の不安や恐怖の自覚と、苦痛の自覚・表現、その対処の継続に共感してしまい、読了時には意外と心が動く(正直を言うと、読む前・読みながらも、少し高を括っていた...)。 平仮名が多めなので最初の出だしは読み辛く感じたが、直ぐに慣れた(ほぼ同時並行して、普通の小説などを読もうとすると、なかなか頭に「文章の意味」が入ってこなくて意外。結局は同書を優先して読み切った)。
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「私小説です、たぶん」と帯にあり、確かに私小説だとは思うけど、幼稚園時代のみを描いているという点で特殊。 そしてまた、ホントによく覚えていて、それを文章で再現する能力の高さに恐れ入った。ああ、そんなことがあった、と読みながら自分の記憶の蓋が何度も開いた。トイレの床のタイルの目地に...
「私小説です、たぶん」と帯にあり、確かに私小説だとは思うけど、幼稚園時代のみを描いているという点で特殊。 そしてまた、ホントによく覚えていて、それを文章で再現する能力の高さに恐れ入った。ああ、そんなことがあった、と読みながら自分の記憶の蓋が何度も開いた。トイレの床のタイルの目地に溜まった水の汚らしさ、おゆうぎ室の床の冷たさ、折り紙の金・銀のびらびらと音のするワクワク感といった場所や物についてだけでなく、子どもの気持ちの表現ときたら! 読んでいて、この子の賢さは(観察力の鋭さ)女の子の賢さで、これくらいの時期の男の子は賢くてももっと一点集中で、自分の中に向かっているような気がする。なのに男の子として生まれついてしまったことが、この後の人生でどうなるのかもぜひ書いてほしい。
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私はあまり繊細な性格ではないので、色々なことを深く考えて辛く感じたりする人のことを気の毒に思ってしまったりする。理解ができないわけではないけれど難儀なことやね、と少し呆れて少し羨ましい。ピアノの先生はなんで機嫌が悪かったんでしょうね?汲み取り式のトイレはホント怖かったなあ。
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「雑誌の人格」が好きで、フォローしていました。一度久保みねヒャダイベントにも行ったのですが、SNSでの印象よりもずっと物腰が柔らかく、というか単純になんか可愛らしい人で、グッと惹かれた覚えがあります。 そんな能町さんの私小説(たぶん)。 まず題が、良い。潔癖で繊細な尊大さが濃縮...
「雑誌の人格」が好きで、フォローしていました。一度久保みねヒャダイベントにも行ったのですが、SNSでの印象よりもずっと物腰が柔らかく、というか単純になんか可愛らしい人で、グッと惹かれた覚えがあります。 そんな能町さんの私小説(たぶん)。 まず題が、良い。潔癖で繊細な尊大さが濃縮されている。私以外みんな不潔、口にしてみると、虚しいカタルシスが広がります。 有り体な言葉を使えば、世界の解像度が高すぎて、生きづらい、息をしづらい、5歳の一人称による物語。たぶんきっと、自分にもこういうところはあって、でもそれをここまで具に書き起こせるのは凄まじいことだ。なんでもかんでも忘れ去ってしまう自身に置き換えて、その文圧に圧倒されてしまいました。 ただ、確かに覚えているのは、幼少期、主に大人に自分の考えや気持ちが理解されなかった時、「私はきっと後年、●歳現在のこの考えを忘却してしまうだろう。それでも、今理解されなかった悔しさや、●歳なりの理屈を汲める大人になりたい、そうであってくれ」と、未来の自分に託していたこと。 その期待に応えられているのか、問い質してみる。
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幼稚園の中で 5歳の彼が自分らしく振舞えるわけもなく また 子供として 大人の手を借りないと 恐いトイレに行けないし 周りにも合わせなきゃいけない そんな 葛藤が克明に書かれています
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勝手に他のつまらない子供に、私のなかに入ってこられるのはごめんである-。か弱くも気高い5歳の「私」の日常を描く、能町みね子初の自伝的私小説。『小説幻冬』連載を改題して単行本化。 5歳の子の話なんだけど,すごく分かるっていうか・・・。
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