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給食の歴史 の商品レビュー

4.4

21件のお客様レビュー

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2024/01/20

NDC分類 374.94 「学校で毎日のように口にしてきた給食。楽しかった人も、苦痛の時間だった人もいるはず。子どもの味覚に対する権力行使ともいえる側面と、未来へ命をつなぎ新しい教育を模索する側面。給食は、明暗が交錯する「舞台」である。貧困、災害、運動、教育、世界という五つの視...

NDC分類 374.94 「学校で毎日のように口にしてきた給食。楽しかった人も、苦痛の時間だった人もいるはず。子どもの味覚に対する権力行使ともいえる側面と、未来へ命をつなぎ新しい教育を模索する側面。給食は、明暗が交錯する「舞台」である。貧困、災害、運動、教育、世界という五つの視覚から知られざる歴史に迫り、今後の可能性を探る。」 目次 第1章 舞台の構図 第2章 禍転じて福へ―萌芽期 第3章 黒船再来―占領期 第4章 置土産の意味―発展期 第5章 新自由主義と現場の抗争―行革期 第6章 見果てぬ舞台 著者等紹介 藤原辰史[フジハラタツシ] 1976年、北海道旭川市生まれ、島根県横田町(現・奥出雲町)出身。2002年、京都大学人間・環境学研究科中途退学。京都大学人文科学研究所助手、東京大学農学生命科学研究科講師を経て、京都大学人文科学研究所准教授。専門は農業史。著書に『ナチスのキッチン』(水声社、河合隼雄学芸賞、2012、2016=決定版、共和国)、『ナチス・ドイツの有機農業』(柏書房、日本ドイツ学会奨励賞、2005、2012=新装版)など

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2023/04/30

学校給食の歴史の中から関係者達の苦労や問題点を探っている。「全ての子供に対し心身ともに健康な食事を提供する」理念が貫かれている。 終戦後のアメリカによる給食用食材の提供には数々の思惑が絡んでいたことは以前他の本でも読んだ。国内外問わず、産業界の利益を優先した結果発生した問題も多...

学校給食の歴史の中から関係者達の苦労や問題点を探っている。「全ての子供に対し心身ともに健康な食事を提供する」理念が貫かれている。 終戦後のアメリカによる給食用食材の提供には数々の思惑が絡んでいたことは以前他の本でも読んだ。国内外問わず、産業界の利益を優先した結果発生した問題も多かったようだ。そして貧困によって食事を安心して摂れない子供達は現在でも多く、「食べられない」だけでなくそれによる感情面のダメージも非常に大きく、何があっても学校給食は平等に与えられなければならないことが繰り返し強調されている。 コロナ前に書かれた本なので「黙食」の話題は出てきていない。みんなで楽しく食事ができる機会が減ってしまったことも、今後は大きな課題になるだろう。

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2023/01/31

参考文献の引用の丁寧な書き方、最初に本全体の概要、 流れを説明し、章ごとに深掘りしていき、 きちんとそれまでを振り返りまとめて終わり、という本の構成が好みで、読んでいて満たされました。 自分語りや、表立った感情論はなく、根拠として事実関係の引用を用いて自分の意見の方向性を述べると...

参考文献の引用の丁寧な書き方、最初に本全体の概要、 流れを説明し、章ごとに深掘りしていき、 きちんとそれまでを振り返りまとめて終わり、という本の構成が好みで、読んでいて満たされました。 自分語りや、表立った感情論はなく、根拠として事実関係の引用を用いて自分の意見の方向性を述べるところが読みやすかったです。 給食の恩恵は受けてきたけれど、その当時は子供だったため、どれほどの苦労や思いがあってのものか露知らず。年齢的には、今度は親になって給食に関わる段階でしょうがいまだその機会はないため給食はテレビで報道される異物混入の報ぐらいでしかほぼ触れることがなくなっていました。「おいしい給食」というドラマに出会い、面白く楽しんで見ていましたが、そんな風に楽しむだけで、取り立てて真剣に、真面目に大事な問題として給食に思いを馳せるという概念がなく、この本に触れて初めて、給食の歴史、政府、保護者や栄養教諭の活動などを見て、多くの人の尽力で成り立っているんだなと感心しました。 この本に出会わなければ、知ることもなかったです。 この本を手に取ったのは「ゼロからの資本論」に引用されており、興味を持ったからです。 効率化、コストカットなど、利便追求をしてしまうと大事なものを見落としてどんどん味も温度もなくなっていくんだなとしみじみ思わされました。 生きる上で欠かせない身近な「食」に関わることだからその危機感がわかりやすかった気がします。 資本主義に飲み込まれ振り回される世の中で、効率優先ではない体制がまだ残っていること、それが給食だということ、盲点というのか灯台下暗しというのか。 失われず残っていってほしいし残していかなくてはならない。 給食に対して絶対にブレてはならないこと、貧困児童のスティグマとならない。はい。 この視点、心に刻んで生きたいです。

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2022/09/27

とても良かった。日本で生まれ育った日本人は、学校で給食を経験しているはずである。もちろん海外にも同様の制度はあるが、本書では日本で給食が始まった理由、進化の過程、さまざまな葛藤、今後の課題と給食の持つ役割が論理的に書かれており、興味深く学ばせてもらった。本書を読めば日本の給食の成...

とても良かった。日本で生まれ育った日本人は、学校で給食を経験しているはずである。もちろん海外にも同様の制度はあるが、本書では日本で給食が始まった理由、進化の過程、さまざまな葛藤、今後の課題と給食の持つ役割が論理的に書かれており、興味深く学ばせてもらった。本書を読めば日本の給食の成り立ちから意義からすべてがわかる。 日本の給食は江戸時代終盤ごろ始まったとされるが、その意義は常に貧困家庭の子どもの救済にあった。その過程で常に、助けを受ける子どもが恥をかかないように、との細心の配慮がされてきた。 戦後はGHQが給食の復活を強く推し進めたことも初めて知った。もちろん、アメリカの意図としては、日本の子どもたちの健全な発育以外にもアメリカ製の食材を売りたいという下心があったわけだが、結果として子どもたちが救われた側面もあったようだ。 給食職員(今は給食教諭と呼ぶらしい)の人たちや、母たちの働きかけで制度や法律がどう変わっていったのかも知る意義がある。 小学校時代の給食を思い出しながら読んだ。本書で出てくる、脱脂粉乳やクジラ肉やソフト麺は経験したことがない。中学と高校は弁当だったが、当時働いていた母の負担を考えると、給食があったらよかったと思った。

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2022/07/25

戦後の占領政策の一環として語られることが多い学校給食。本書では戦前まで遡る給食の萌芽から現代に至るまでの給食の歴史が語られるが、そこには占領政策という単純な構図ではなく弱者救済、スティグマの回避、効率化の弊害、供給側のやりがい、イデオロギーとの関係など多様なドラマが織り込まれてい...

戦後の占領政策の一環として語られることが多い学校給食。本書では戦前まで遡る給食の萌芽から現代に至るまでの給食の歴史が語られるが、そこには占領政策という単純な構図ではなく弱者救済、スティグマの回避、効率化の弊害、供給側のやりがい、イデオロギーとの関係など多様なドラマが織り込まれている。 コッペパン、ソフト麺。先割れのスプーン。給食といえば想起されるこれらがどのような経緯で生れ出づったのかという経緯は興味深いし、昨日の命を明日へ繋ぐ指名としての給食のナラティヴには胸打たれるものがある。

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2022/02/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 戦後アメリカの占領により、学校給食ひいては日本人の食生活は大きな影響を受けた。ただし、戦前から一貫して、貧困と災害に対する備えとして発展を遂げている。  私は一貫して自校給食だったが、センター方式に対する抵抗運動についても知ることができた。

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2022/01/08

センター給食しか知らないので、市内の自校給食の学校がずっと羨ましかった。今、娘は自校給食の学校に通っているが、かなりきめ細やかに対応してくれていて、本当にありがたい。それが当たり前のことだとは思わずに、感謝の気持ちで次の世代に繋いでいきたいと思わせられる本だった。

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2021/09/12

揚げパン、カレー、ソフト麺に冷凍みかん…。給食の様々なメニューが思い出される。私の通っていた小学校は自校方式で、給食室があり、ガラスケースにはその日の献立が飾られ、赤の食品、黄色の食品、緑の食品に分類されていた。著者の藤原さんは給食にあまりいい思い出がないというが、同世代の私には...

揚げパン、カレー、ソフト麺に冷凍みかん…。給食の様々なメニューが思い出される。私の通っていた小学校は自校方式で、給食室があり、ガラスケースにはその日の献立が飾られ、赤の食品、黄色の食品、緑の食品に分類されていた。著者の藤原さんは給食にあまりいい思い出がないというが、同世代の私には逆に悪い思い出はない。ああ、懐かしい。 本書は誠に労作で、とても面白く読み通した。学校給食の歴史、考えたこともなかったが、政治、利権、運動史とも無関係ではないということがよくわかった。よく戦後の給食はアメリカによる「小麦戦略」「味覚の欧米化」の狙いがあったと言われるが、実はそんな単純な話ではないという。 戦前から給食はあり、当初からパン食、牛乳の導入が検討されていたのは興味深い。また池田隼人が、給食は生徒が同じものを食べることを強制する「社会主義だ」と批判したことも初めて知った。 とはいえ、給食の最大の意義は貧困生徒の救済にある。それはこの制度開始当初から変わらない(それがまた凄い)絶対不変のテーゼである。 コロナ禍にあって学校閉鎖が行われた際、学校関係者や貧困問題の研究者等から懸念されたのは、給食がなくなることだった。給食が唯一の食事だという貧困家庭の子どもが少なからずいるという。つい先日、横浜の新市長が完全給食を実施すると報道された。今も昔も、給食の存在意義は変わらない。 給食にいい思い出がある人もそうでない人も、どちらも興味深く読めると思う。本書読了後、思わず自分の小学校のホームページで給食を確認してしまった。私の昼食よりよほど豪華だった。

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2021/05/19

こんなに給食について考えたのは、給食をいただいていた小学校以来どころか35年の人生初だと思う。 私の中の給食の思い出に強烈に残っているのは小学2年時、イワシか何かのマリネがどうしても食べられなくてベランダに机ごと出されて食べ終わるまで放課後ずっと残されていた…という苦い記憶。 ...

こんなに給食について考えたのは、給食をいただいていた小学校以来どころか35年の人生初だと思う。 私の中の給食の思い出に強烈に残っているのは小学2年時、イワシか何かのマリネがどうしても食べられなくてベランダに机ごと出されて食べ終わるまで放課後ずっと残されていた…という苦い記憶。 そんなような感じで、少なからず各々の給食の思い出を呼び覚まさせる新書。 が、本書の意義や趣意はもっと広範で、戦時下の強兵育成というところから始まりアメリカによる小麦・ミルク市場としての給食、中曽根首相時代の新自由主義方針と給食の変容、と新たに知った事・考えさせられた事が沢山。まさかソフト麺や先割れスプーンにこんなに背景があったなんて! 「学校給食感謝の日」についてはもっときちんと広めた方が良いと思う。 本書参考文献の『ナチスのキッチン』、フレーベル館『日本全国給食図鑑』とみすゞ書房『味と雰囲気』は一度読んでみたい。 1刷 2021.5.18

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2021/02/20

大学の感想レポートに。 とてもいい意味でタイトル通り。 牛乳が嫌いで苦痛だったなあという単純な動機とは裏腹に、事細かく書かれていて面白い。

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