名著17冊の著者との往復書簡で読み解く 人事の成り立ち の商品レビュー
日本の人事の歴史を概観。 職務無限定で誰でも階段を上る、日本の雇用システムの構造の変遷。 ・欧州の入職までの公的職業訓練制度。欧米のインターンシップの違い。 【黎明期】戦争と復興動乱が生んだ奇跡 ・戦前の身分制、戦中の職工協同、戦後の経営刷新の混乱、左翼解放による過激な労働争...
日本の人事の歴史を概観。 職務無限定で誰でも階段を上る、日本の雇用システムの構造の変遷。 ・欧州の入職までの公的職業訓練制度。欧米のインターンシップの違い。 【黎明期】戦争と復興動乱が生んだ奇跡 ・戦前の身分制、戦中の職工協同、戦後の経営刷新の混乱、左翼解放による過激な労働争議を経て、労使協調、誰でも階段を上がる社会へ。 ・当時一部だった「三種の神器(終身雇用、年功序列、企業内組合)」の発見、目指すべき方向とされた流れ。 ・職能資格制度:仕事(ジョブ)を構成する小さな課業(タスク)に必要な能力を調べて積み上げたものを職能要件として評価。絶対評価、降格もありとし「発揮される」能力とする。 ・職種別労働組合が存在する欧州とは異なる企業内能力。 【完成期】欧米信奉の呪縛からの解放 ・能力主義≠実力主義:給料を職務ではなく人の能力で決める。ポストのことなど考えず(それは無尽蔵に生まれてくるから)、能力研鑽に応じて給与も役職も付与できる夢のような時代だった。 →アメリカが学び「コンピテンシー」として逆輸入 ・ジェネラリスト育成に整合 【順風期】安定成長が生んだ万能感 ・1回目のシフトチェンジ期(80年代前半まで):高度成長から安定成長、大卒者の増加→企業規模拡大によるポスト創出が望めない→職能資格のよる昇進、給与差最小の平等化で乗り切る ・2回目のシフトチェンジ期(バブル崩壊後の90年代前半):無策、失墜。
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日本型雇用の仕組み・流れについての解説とそれにまつわる本紹介の本 本を紹介していく系の中ではかなりしっかりと書かれている。日本型雇用というものについて説明してそれに合うように本を選んでいる。 メンバーシップ型による社内人事の流動性のメリット、教育のしやすさや採用のしやすさ、配分...
日本型雇用の仕組み・流れについての解説とそれにまつわる本紹介の本 本を紹介していく系の中ではかなりしっかりと書かれている。日本型雇用というものについて説明してそれに合うように本を選んでいる。 メンバーシップ型による社内人事の流動性のメリット、教育のしやすさや採用のしやすさ、配分が容易となる 中には優しいけど外には厳しい、レール外にも厳しい。 評価ではメンバーシップ採用のほう能力の成長を見る 人事活性化五大施策①採用②異動③教育④小集団⑤イベント
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
・日本的雇用vs欧米的雇用の軸に沿って、どちらも一長一短だよ、日本的雇用の問題は要するに運用の問題だよということを歴史とデータから丁寧に解説していただき大変理解が深まる。 ・ただ「年齢にかかわらずという能力主義」と「新卒一括採用の便利さ」という二律背反に対する解法の糸口が見いだせなかった。 ・結局は、試行錯誤と葛藤という苦しみをいかに深ぼっていくかということか。 ・戦後動乱の葛藤に比べて、現在はトレンドに右往左往で人事部に「思い」が足りないのではないか、華奢に薄っぺらになっていないかという疑念を覚えさせる。 ・一方で現場は、ひーこら言うて人も時間も足りんという状況だとするなら、優先順位として何をあきらめるべきかという問題もあるような気もする。 ・答えがあるような雰囲気を出しつつ、当たり前だけど答えはない。ならばもっと檄を飛ばすか励ますかしてほしい(甘えだけど)。 ・青空が見える労務管理、誰もが階段を登れる、メタファーは大切。
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日本の雇用問題・人事課題について、歴史の「縦軸」、国際比較の「横軸」、そしてさまざま学際学派の「奥行き」を3次元的にアプローチすることで、網羅的かつ立体的に浮かび上がらせた名著。これさえ読んでおけば、日本の雇用問題の全体像を概略的に理解することができると思う。経営や人事に関わる人...
日本の雇用問題・人事課題について、歴史の「縦軸」、国際比較の「横軸」、そしてさまざま学際学派の「奥行き」を3次元的にアプローチすることで、網羅的かつ立体的に浮かび上がらせた名著。これさえ読んでおけば、日本の雇用問題の全体像を概略的に理解することができると思う。経営や人事に関わる人はもちろんのこと、すべての労働者が教養として読んでおくとよさそうな一冊。 あえて幾つか未解決の疑問をあげるとすれば…「欧米」としてフランスの例が度々引かれているけれど、例えばイギリスやドイツはどうなの?とか。よりミクロな目線、即ちキャリアに対する各国それぞれの労働者の価値観、その前提となる宗教観や社会通念はどうなの?とか。この辺りの「横軸」はやや弱含みなので、個人的宿題になりそうです。
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この本は人事に関わる仕事をしている人には是非読んでもらいたいですね。できれば、経営者や管理職にも読んでもらいたい。多くの人が人事の成り立ち、元となる理論や考え方を知ると、きっと日本社会はもっと良くなると思います。時代が変われば人の生活や価値観も変わるので、人事制度のポリシーは押さ...
この本は人事に関わる仕事をしている人には是非読んでもらいたいですね。できれば、経営者や管理職にも読んでもらいたい。多くの人が人事の成り立ち、元となる理論や考え方を知ると、きっと日本社会はもっと良くなると思います。時代が変われば人の生活や価値観も変わるので、人事制度のポリシーは押さえつつも、具体的な制度設計はより柔軟に変えていく必要がある。でも、それを実現することは難しい。何でだろう?税制や社会保障制度、退職金・退職所得控除・扶養控除・第3号被保険者・・・何だかんだ言っても行き着く先は、損得勘定かな?
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日本における人事制度の変遷を各々の時代背景を踏まえて考察し、日本型人事制度の本質的な強みと弱みを浮き彫りにした本。過去の人事系(人と企業のあり方を提起した)著書を紐解き、欧米と日本企業、それぞれの国、文化、歴史からの考察を行いながら、日本の強みと弱み(もっと言うと歴史背景などから...
日本における人事制度の変遷を各々の時代背景を踏まえて考察し、日本型人事制度の本質的な強みと弱みを浮き彫りにした本。過去の人事系(人と企業のあり方を提起した)著書を紐解き、欧米と日本企業、それぞれの国、文化、歴史からの考察を行いながら、日本の強みと弱み(もっと言うと歴史背景などからくる構造的特徴)を理解した上での人事施策の導入を提唱している。 働かない幹部社員問題や労働過多問題、女性や高齢者の参画問題、非正規雇用者の格差問題などに対し、終身雇用や年功序列などの日本的人事制度を否定し、ジョブ型や成果主義、コンピテンシー評価制度などの欧米型の人事制度を肯定するような安易な主張=点(うまくいってるように見える欧米の施策を導入しよう)ではなく、線(これまでの歴史や文化、社会情勢により構成された制度の変遷からみえる構造的な強みと弊害)と面(ファクトをもとにした諸外国企業の人事制度の比較からの洞察)による考察はとても興味深い。
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日本企業の人事制度がどのように作られたか、歴史を追いながら理解できる。各時代の名著をまとめているので、エッセンスだけを理解できる。
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日本型雇用・人事システムを、戦後から2010年代の時代背景とともに17冊の名著で振り返る!日本の人事みんな読んでくれ・・。事単一的に職務主義、総合職採用いけてないと批判しない。日本型雇用がもたらしたメリットと弊害を、調査データで紐解いていくのでスカッとする。一読だけで理解はできて...
日本型雇用・人事システムを、戦後から2010年代の時代背景とともに17冊の名著で振り返る!日本の人事みんな読んでくれ・・。事単一的に職務主義、総合職採用いけてないと批判しない。日本型雇用がもたらしたメリットと弊害を、調査データで紐解いていくのでスカッとする。一読だけで理解はできていませんが、たまに見返して自分の血肉になればいいな!
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自分にとっては、「目からウロコ」の画期的な本。 いままでモヤモヤしていたことが解明してくれる、ためになる本でした。 時代を代表する17冊の名著の紹介をしつつ、著者との往復書簡と言う形で、日本の雇用の歴史を語る。 日本の会社、社会が戦後の経済成長からバブル崩壊、失われた10年、...
自分にとっては、「目からウロコ」の画期的な本。 いままでモヤモヤしていたことが解明してくれる、ためになる本でした。 時代を代表する17冊の名著の紹介をしつつ、著者との往復書簡と言う形で、日本の雇用の歴史を語る。 日本の会社、社会が戦後の経済成長からバブル崩壊、失われた10年、現在まで、どのような経済状況背景に、雇用の形をどう変えてきたかが理解できる。 自分が普段当たり前だと思っていること、疑問に思っていることが、当たり前ではなかったり(例えば、欧米と比べて)、どのような経緯でそのような制度ができたか、今の時代になぜマッチしていないのかが分かる。 また色々な方が、エポックメイキングになるような雇用に対する提言を行って、その積み重ねで現在の状況ができてきているということがよく分かった。 人事といっても人事考課、査定などの小さい話ではなく、会社と雇用、人材をどのように活かしてきたかを明快に斬る。 昨今特に感じるが、従来の日本型の年功序列、誰もが階段を登れる社会は、崩れてきている。 そして、人材不足の中、条件の良い転職をして会社を出ていく人も数知れず。 一つの会社に居続ける、一つの会社に頼り頼られ続ける、ということに皆価値を感じなくなってきてしまっている。 日本経済が発展期にない今、誰もが階段を上がるというのは企業側のコスト構造的にも難しい。また人口構成的にも年功序列は難しくなっている。 その中で、以下が昨今の人材の考え方の基礎を作ったのだなとしみじみ感じた。 『人材マネジメント論』(高橋俊介著)1998年 →人材フローマネジメント ・現業分離型 (現業部門の人材フローを本社から切り離すやり方) ・自然淘汰型 (現場で好業績を上げた人材が一定数、本社の管理職に登用されていく) ・一貫キャリアパス型 (販売現場において高度なプロは必要なく、本syはでは業務の標準化が徹底的に行われる。) 『コンピテンシー人事』(太田隆次著)2000年 『新時代の「日本的経営」』オーラルヒストリー 2015年 →雇用ポートフォリオ ・長期蓄積能力活用型グループ ・高度専門能力活用型グループ ・雇用柔軟型グループ
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日本型雇用(メンバーシップ)と欧米型雇用(ジョブ型)の違いについて、アカデミックな分野を横断した17冊の人事関連の名著から丁寧に紐解いた傑作。これほどまでに分かりやすく、日本の雇用に対するメリデメを整理した本は他に見ない。
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