ソロモンの白いキツネ の商品レビュー
2018年初版。美しい挿絵が入っています。60ページほどの短編です。子供向けの絵本かなあと思いながら読みましたが、大人向けと言っても、いいかもしれません。主人公は2歳で母を亡くした少年ソロモン。登場人物は、父親・母方の両親・ホッキョクキツネ。それぞれに辛い思いを抱えながら生きてい...
2018年初版。美しい挿絵が入っています。60ページほどの短編です。子供向けの絵本かなあと思いながら読みましたが、大人向けと言っても、いいかもしれません。主人公は2歳で母を亡くした少年ソロモン。登場人物は、父親・母方の両親・ホッキョクキツネ。それぞれに辛い思いを抱えながら生きています。その辛さをキツネをキッカケにして癒していきます。イジメや妻を亡くした夫の苦悩・原住民差別。読んでいて辛くもなるのですが、読後感は爽やかです。挿絵が美しい。とても良い本。
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シアトル港に現れた白い北極狐。少年は不思議に思いながらも距離を縮め,罠にかかった狐を助けようと奮闘。白狐を故郷へ帰すため訪れたアラスカで,親子は本来の姿を取戻す。清涼な空気を感じる暖かい話。
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シアトルの波止場でいるはずのない野生の白いキツネに出会ったソロモン。それがきっかけとなって、お母さんの死で身動きができなくなっていたお父さんと一緒に、おじいちゃんおばあちゃんのいる故郷のアラスカまで、キツネを帰してやるため、そして自分たちの人生を取り戻すために旅に出る。短いお話な...
シアトルの波止場でいるはずのない野生の白いキツネに出会ったソロモン。それがきっかけとなって、お母さんの死で身動きができなくなっていたお父さんと一緒に、おじいちゃんおばあちゃんのいる故郷のアラスカまで、キツネを帰してやるため、そして自分たちの人生を取り戻すために旅に出る。短いお話ながらとても濃厚。母の死、故郷、受け継がれるもの、野生動物、アラスカの部族と歴史など、いろんなものがこの一冊に詰まっている。悲しみと静謐さと強さ。素晴らしかった。絵もいい。同じ判型で同じ画家さんの「親方と神様」もよかった。これは短編をこういう形でシリーズとして出していく感じ?だったらいいな。期待してます。
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シアトルの波止場に現れたホッキョクギツネが、主人公とその父を、キツネと父子それぞれの故郷であるアラスカへと導く。 59ページと小品ながら詩情は豊かで、59ページの小品らしく軽いロードムービー的なハイライト感がある。 訳者の千葉氏の後書きでは登場人物たち各々の悲しみについて触れら...
シアトルの波止場に現れたホッキョクギツネが、主人公とその父を、キツネと父子それぞれの故郷であるアラスカへと導く。 59ページと小品ながら詩情は豊かで、59ページの小品らしく軽いロードムービー的なハイライト感がある。 訳者の千葉氏の後書きでは登場人物たち各々の悲しみについて触れられているけれど、私はあまり悲壮感は感じなかった。 悲しみという感情が忌避すべきものでなく、受け入れて自身と和解するものとしてアラスカの空気の中に描かれていると感じました。 往きて帰らぬ物語。 逃げるか立ち向かうかという二元論でなく、居場所はあるべきところにあるもので、向こうからやって来ることもないけれど、勝ち取ったり奪い取ったりするものでもない。そのシビアながらも大らかな存在感が今らしく、また受容の優しさに満ちていると思いました。 波止場の同僚たちのキツネへの接し方がすごくよかった。人というものは優しいのだと感じさせてくれた。 木内達朗氏の絵はとても良い、本当にとてもとても良くて、今作で好きな画家リストに加えたくらいだけれど、後書きで原作者のイラストレーターとしての活躍について触れるくらいなら、ぜひ原作のイラストのまま読んでみたかったな。 ぴんと張りつめながら温かく、静謐で美しい物語でした。
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伊集院静氏 ひとりで生きる 大人の流儀9 の中に紹介されていて読んだ本。 とても短い絵本ですが、いい話でした。 何かを始めるのに遅すぎるってことはない 私もこの言葉を忘れないように日々過ごそうと思う。
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アメリカのシアトルで暮らす12歳の少年ソルは、学校でも家でも寂しい思いをしていた。そんな時、港の方で白いホッキョクギツネを見かけたという話を聞く。ソルは夜になると港に通い、迷子の白いキツネを見つけた。徐々に絆を築いていく二人だったが、ある時キツネがわなにかかって捕まる。ソルはキツ...
アメリカのシアトルで暮らす12歳の少年ソルは、学校でも家でも寂しい思いをしていた。そんな時、港の方で白いホッキョクギツネを見かけたという話を聞く。ソルは夜になると港に通い、迷子の白いキツネを見つけた。徐々に絆を築いていく二人だったが、ある時キツネがわなにかかって捕まる。ソルはキツネを救うため、ある決意をするのだった。 静かな、でも心の強さを感じる物語。とても短いけれど深い満足感を得られる本です。
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野生のホッキョクキツネが本来いるはずのないシアトルで目撃される。どうやら知らないうちに船に乗り込んでしまったようだ。そんなキツネに自分を重ね合わせるソロモン。 母が亡くなった時に父はソロモンを連れ、北に住む祖父母の元を離れシアトルに働きに来た。ソロモンはシアトルになじめず、祖父母...
野生のホッキョクキツネが本来いるはずのないシアトルで目撃される。どうやら知らないうちに船に乗り込んでしまったようだ。そんなキツネに自分を重ね合わせるソロモン。 母が亡くなった時に父はソロモンを連れ、北に住む祖父母の元を離れシアトルに働きに来た。ソロモンはシアトルになじめず、祖父母の元へ帰りたかった。そんな気持ちを白いキツネと同じと感じ、父親にキツネを連れて祖父母の家へ行ってほしいと頼む。 ネイティブアメリカン(たぶんエスキモー)のソロモンへの学校での差別に疎外感を感じているソロモンは、キツネを北へ返すことと自分のアイデンティティを重ね合わせていたのでは。静かな物語。
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