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冷血(下) の商品レビュー

3.6

43件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    22

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2024/09/15

一気に読んだ。取り調べの「書き起こし」と主人公の感想だけで、薄いとは言えない一冊を維持できたのは、高村薫の文体が気に入っているからというほかはなく、これを初めて読んだ人の一体どれほどの割合が最後まで読み通せるのかという疑念は常に頭のどこかにあった。 日本の裁判が無駄に長い理由の一...

一気に読んだ。取り調べの「書き起こし」と主人公の感想だけで、薄いとは言えない一冊を維持できたのは、高村薫の文体が気に入っているからというほかはなく、これを初めて読んだ人の一体どれほどの割合が最後まで読み通せるのかという疑念は常に頭のどこかにあった。 日本の裁判が無駄に長い理由の一つがわかったような気がする。日本の裁判には主たる流儀があり、それを是としなければ出世できないというシステムがあり、その主たる流儀を疑うことは悪という姿勢があり、というところだった。

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2024/08/17

読んだ本 冷血 下 高村薫 20240816  上巻で、一家四人を惨殺した二人組が逮捕され取り調べを受ける。犯行については素直に自白がなされ有罪は確実な見込みだが、凶悪な事件に見合う動機が得られず、取り調べる警察官は腹落ちしない。下巻はその続きで、検察は検察なりの見解を警察にも望...

読んだ本 冷血 下 高村薫 20240816  上巻で、一家四人を惨殺した二人組が逮捕され取り調べを受ける。犯行については素直に自白がなされ有罪は確実な見込みだが、凶悪な事件に見合う動機が得られず、取り調べる警察官は腹落ちしない。下巻はその続きで、検察は検察なりの見解を警察にも望み、裁判でも淡々と殺人の事実と犯意が明らかにされていく。だけど、主人公の合田雄一郎(警察)は犯人の人間像を蔑ろにするような検察や裁判の流れに釈然としない。  死刑が確実な犯罪で、それでいいのかっていうのが主題みたいなんだけど、緊迫するような展開で面白かったんだけど、主題っぽいところに共感できなかったな。一家四人を殺した犯人の殺意の有無や真の人間像なんてあまりにも無意味で、はずみで殺したんならともかく何に逡巡してるのかなって感じで、合田雄一郎が犯人の何にひっかかって交流しようとしてるのか理解できませんでした。  それでも、この緻密なそこまで考えないだろうってくらい突き詰めていく合田雄一郎の思考は息詰まる読み応えでした。やっぱりカポーティの冷血にインスパイアされてそうなので、今度読んでみます。

Posted byブクログ

2024/06/16

「国道16号線」(柳瀬博一)で紹介されていたので、 常々、高村薫さんの本を!と思っていたこともあり。 すごいですね。 どのような結末に導かれるのか、判決以上の何かを得られるのか、不明なまま進んでいきましたが、 筆者の登場人物への愛を感じました。 初体験のオーディブルを紙の本で補っ...

「国道16号線」(柳瀬博一)で紹介されていたので、 常々、高村薫さんの本を!と思っていたこともあり。 すごいですね。 どのような結末に導かれるのか、判決以上の何かを得られるのか、不明なまま進んでいきましたが、 筆者の登場人物への愛を感じました。 初体験のオーディブルを紙の本で補って。 このことも良い体験になりました!

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2024/02/04

高村さんの作品は最初は我慢。そして気が付くと惹き込まれている。 今回もそんな感じ。 育ってきた環境は人格に大きな影響を与える。 殺人に理由など無いこともある。

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2024/01/24

90年代の髙村薫の作品が大好きなのだけど2000年代以降の作品が私には難しいです。 晴子情歌も冷血も、私には読み進めるのが困難で途中から「とにかく最後まで読もう」という使命感のみで読んでました。 戸田と井上、そして殺された一家の虚無感と孤独感と、後は自分自身が置いてきぼりになって...

90年代の髙村薫の作品が大好きなのだけど2000年代以降の作品が私には難しいです。 晴子情歌も冷血も、私には読み進めるのが困難で途中から「とにかく最後まで読もう」という使命感のみで読んでました。 戸田と井上、そして殺された一家の虚無感と孤独感と、後は自分自身が置いてきぼりになってる感覚しかなくてどう読めば良いのかしら…と戸惑いました。 あと10年くらいしたらまた読み返してみよう。もしかしたら別の感情が湧くかもしれないです。別の感情が湧くかもしれない自分に期待したいと思います。笑

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2023/12/04

第三章「個々の生、または死」 第三章「○○」のような名詞でスタートするのだとばかり思っていたので、三章のタイトルだけで何かに打たれたような思いがした。 犯人が捕まっておしまい、ではなく、その後を丸々下巻に充てた高村薫さん。 一人一人の思いにぐーっと焦点をあてていくような作風が色濃...

第三章「個々の生、または死」 第三章「○○」のような名詞でスタートするのだとばかり思っていたので、三章のタイトルだけで何かに打たれたような思いがした。 犯人が捕まっておしまい、ではなく、その後を丸々下巻に充てた高村薫さん。 一人一人の思いにぐーっと焦点をあてていくような作風が色濃く出ている。 上巻にあった、 「機械が強盗に及んだような無機質な現場の様子と、事件前後のホシ二人の様子の間の距離が、捜査が進むにつれてどんどん開いてくる感じ…………それが一段と顕著になった」 の距離を埋めるべく、戸田・井上の聴取は進む。 戸田は歯痛の治療を受けたものの、中長期的には再発の可能性ありとされる。 井上はといえば、"相変わらず机に張りついたナマケモノ"のようであり、"心身のギアはなおも一速に入ったまま"だ。 でもここへきて井上の精神疾患の有無が浮上する。 あらら…上巻から感じてた不安定で危なっかしい感じはそのせい??? どうする、合田。 それに下巻では、世間から見た被害者家族や、捜査員たちの燻された事情など、違った背景も描かれる。 正直、戸田と井上が辿る結末は予測出来てしまった。 被害者遺族の反応も然り。 そして裁判所の罪状などが慣れていないせいで読みづらく、必死で文字を辿った感じだった。 その為、下巻は☆3かしら?と思いながら読んでいた。 それが私の中でひっくり返ったのは、ラストもラスト、436ページ後半からだった。 情が厚いと言うと言葉が薄っぺらいけれど、こうして揺らいでしまうところが合田の魅力なんだよなぁ。 事件が自分の手を離れてからも頭を離れず、手紙や文庫を贈ってしまうところ。 こういうところが無かったら、今も最前線で現場に立ってギラギラした感じでいたのかもしれない。 だからこそ農作業に打ち込む合田がいるのだろうけれど。 私の気持ちは429ページ「2005年 夏」から波立っていた。 (戸田の件あれこれでも切なくなっていたが。) 合田の手紙に対し、たまに送られてくる井上からの返事。 ここまで読み進めてきた私は、それ以前に記訴状などが並んでいたせいもあってか、フィクションなのかノンフィクションなのか分からなくなるような気分に陥った。(またいつもの、入り込みすぎ 汗) いやフィクションなのだけど、井上克美という人物の存在が、読み終えてから暫く心を掴んで離さなくて、実在しない人物が脳裏から離れなくて、 帯に書かれていた「"罪と罰"を根元から問う」との文言が、ここへきて急に重みを増したように思えた。 そして急に泣けてしまった。 残された井上に関して、もっと何とかならなかったんだろうか。 いや、あれだけの罪を犯したのだから、あれでも精一杯何とかなったと言っていいのだろうか。 危なっかしい精神状態で、稚拙で自分勝手で、眼が合っただけで何度もスキを振り下ろすような罪人なのに、悲哀を感じてしまった。 「刑事さんにはマジで感謝しています。」 「キャベツ食いてぇーーー!」 戸田と井上は罪に見合った裁きを受けるべきではある。 ただ、タイトルの『冷血』は戸田と井上なのか、 1回も公判に訪れることもなかったうえで、被疑者を殺してやりたいと言った遺族なのか、 ベルトコンベアーのように起訴へ持ち込んだ警察か、 戸田が運ばれたICUの医師か、 戸田と井上を囲む親族か、 こんな事件でさえ時と共に忘れ去る社会か、 あるいは死刑という刑罰の存在か。。。 私には分からなくなった。 おそらく全てなのだろう。 合田の言葉が胸に残った。 『支援団体もない貴君の近況が外に伝わってくることはないこの現状は、折にふれて貴君のことを考える外の世界にとっても、実に孤独です。』 個人的に、読んでいて"とまれ(=ともあれ)の多用"が目につき、少々読みづらかった。 私自身が"とまれ"を使わないからかもしれないけれど。 合田が考えを巡らす際に"否"も多用されていたが、何故かこちらは気にならず。

Posted byブクログ

2023/08/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

井上と戸田が逮捕されてからの話。犯行の動機を探っていきます。とはいえ、大まかな心の動きは、上巻にてすでに語られています。それを何度もなぞる形になり、それはそれで面白いのですが、やや退屈な部分もあります。 健康ランドに向かうとき、井上の姿が見えなくなり、心を乱される戸田のエピソードが、少年時代のものとリンクしていたところは、意表を突かれました。 カポーティの「冷血」のオマージュ作品ですが、読後感も似ています。すっきりしないというか、なんというか。カポーティの方はノンフィクションですから、しょうがないとして、こちらはフィクションですから、これという決着をしてもらいたかったです。 もちろん人間なんて割り切れないものなんだということを表現したかったのでしょうけれど、もう少し何とかならなかったのかなぁと思いました。

Posted byブクログ

2023/05/08

最初は一家殺害の残虐な事件のあらまし。しかし、事件後は犯人が捕まるまでの警察の捜査の様子と判決が出るまでの動きで、個人的には今ひとつだった。 ただ、犯人の供述、生育歴など、捕まって事件解決ではなく犯人の様子を細かく描写していて、違った角度からでそれは良かった。

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2023/04/30

2023.04.30 この本で語られる世界は2003年である。その時代から20年を経ているが、この本で語られる人間、命、死、喪失、こういったテーマに対する答えは相変わらず一つに絞れない。 そういう意味で犯人の二人、合田、彼らの心理描写が延々と続く下巻は、ツボにはまる人にはピッタリ...

2023.04.30 この本で語られる世界は2003年である。その時代から20年を経ているが、この本で語られる人間、命、死、喪失、こういったテーマに対する答えは相変わらず一つに絞れない。 そういう意味で犯人の二人、合田、彼らの心理描写が延々と続く下巻は、ツボにはまる人にはピッタリだが、そうでない人にはつらくて読み通せないだろうと感じている。

Posted byブクログ

2023/03/18

レディ・ジョーカーやマークスの山のようなスリリングな物語を期待したら思いっきり裏切られた。長く救いがない物語。根性で読了した。この本読むのなら他の高村薫さんの小説を読んだほうが断然いい。

Posted byブクログ