冷血(下) の商品レビュー
髙村作品は、合田シリーズは全て読みました。 中でも、冷血は気に入って文庫になって、3回 目の読了です。 戸田、井上の生い立ちが丁寧に描かれていて 今までの合田シリーズにはない、登場人物の 描き方だったと感じました。 次回作が今年に出るらしいので、楽しみです。
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まずは、そういう過程で事件が起こる事もあり得るかもしれないと思った。井上、戸田共にその行動からはうかがえない内面を持っていることは、合田の殺伐とした職場と矢切の畑程の落差だと感じる。多様な人間模様が織り込まれた作品だと思う。
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闇サイトで知り合った男同士で最初はATM強盗を企てるが失敗し、最終咳には強盗に入った家の人間を殺してしまう。犯罪者心理を描いていいるお話だが、最後まで犯罪者の本当の気持ちはわからなかった。ただ、「なんとなくつまらなくて」「なんとなくどうでもよくなって」「意味もなく暴れたい」という...
闇サイトで知り合った男同士で最初はATM強盗を企てるが失敗し、最終咳には強盗に入った家の人間を殺してしまう。犯罪者心理を描いていいるお話だが、最後まで犯罪者の本当の気持ちはわからなかった。ただ、「なんとなくつまらなくて」「なんとなくどうでもよくなって」「意味もなく暴れたい」というような気持ちはわからなくもない。犯罪者2人にも文章の才能があったり、工芸品をめでたりする部分があったり長所もあったのだから違う部分で役立てて生きていけてたらなあ、ともったにない気がした。
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久し振りの高村薫さん、上巻に続いて読了。 既に殺人強盗事件の犯人は捕まってしまっているので、犯人逮捕という範疇での小説としては終わってしまっている。 下巻は犯行の動機・犯人の生き様・合田と犯人との心の通いがメインテーマとなってて、ほとんどが合田の語りで綴られている。 犯人は病死・...
久し振りの高村薫さん、上巻に続いて読了。 既に殺人強盗事件の犯人は捕まってしまっているので、犯人逮捕という範疇での小説としては終わってしまっている。 下巻は犯行の動機・犯人の生き様・合田と犯人との心の通いがメインテーマとなってて、ほとんどが合田の語りで綴られている。 犯人は病死・死刑執行でなくなってしまったけれど、本質は解明されないまま、読者に委ねられる終わりになってしまう。 重い十字架をこれからも合田は背負っていくんだろうか、それとも私たちなんだろうか。
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カミュの『異邦人』におけるムルソーがアラブ人を殺した理由は『太陽のせい』だとしたら、この一家4人を惨殺してた犯人2人の動機も正にムルソーと同じはないか。 ただこんなキチガイが現実にいるのは間違いなく、煽りドライバーも一緒、そいつらに会ったら最後、神を呪えと。 上巻と下巻では全く...
カミュの『異邦人』におけるムルソーがアラブ人を殺した理由は『太陽のせい』だとしたら、この一家4人を惨殺してた犯人2人の動機も正にムルソーと同じはないか。 ただこんなキチガイが現実にいるのは間違いなく、煽りドライバーも一緒、そいつらに会ったら最後、神を呪えと。 上巻と下巻では全く別の小説のような展開に、ぶっちゃけ下巻はつまらんと言うか、下巻では犯人心理の追求と、警察と検事との裁判迄の遣り取り、そして裁判模様のリアルな流れが切々と語られ、確かそれはそれで興味を持って読めるし、惹き込まれるのも確か。それに現実にその事件があったかのような展開に筆者高村薫氏の綿密な調査力、そして才能にあらためて感服するのだが、やはりつまらん。いや、高村薫氏は好きです。尊敬しております。 『冷血』と言うタイトルからもっとグロテスクなものを期待していた私だが、上巻までのゾクゾク感が下巻までやってこなかったのには、高村薫さん!私には冷血な事をしないで下さい、もーバカ!
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上巻は起承、この下巻は転ですが、このパートは非常に深く内省的。生とは何か、死とは何か、人間の罪、そして罰とは何か。決は読者それぞれが考えるしかないのですね。素晴らしい小説でした。
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「マークスの山」からこんなところまで来てしまわれたのか、と若輩ながらおもう。ほぼ1年ほど前に読んだ単行本版は懸命に読んだという記憶が強く残っている。今回はじっくり読んだせいか、被害者さえも置き去りにされるその犯罪というものの不可解さ、恐ろしさをより強烈に感じた。文中のことばを借り...
「マークスの山」からこんなところまで来てしまわれたのか、と若輩ながらおもう。ほぼ1年ほど前に読んだ単行本版は懸命に読んだという記憶が強く残っている。今回はじっくり読んだせいか、被害者さえも置き去りにされるその犯罪というものの不可解さ、恐ろしさをより強烈に感じた。文中のことばを借りれば「透明人間」。透明人間となってしまう霧のなかで、合田さんたち刑事の執念のみがこころを慰める。皮肉なことに被疑者を追い、逮捕し話を聞く刑事の。被疑者との“近さ”がその執念を生むのであれば、犯罪にいちばん近いのは法ではなく刑事だ。
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他人に対する共感の無さとか、想像力の欠如とか、それぞれが持つ幼少期のトラウマや心身的なトラブルなど、二人の男があの陰惨な事件を引き起こした要因はどれも当てはまりそうなのに、それを断言せずにただ彼らがどう警察に語っていったのかだけで綴られたら、確かに読んでいるこちらも困惑する。しか...
他人に対する共感の無さとか、想像力の欠如とか、それぞれが持つ幼少期のトラウマや心身的なトラブルなど、二人の男があの陰惨な事件を引き起こした要因はどれも当てはまりそうなのに、それを断言せずにただ彼らがどう警察に語っていったのかだけで綴られたら、確かに読んでいるこちらも困惑する。しかし些細なことで人は罪を犯し、その自覚も持てないでいることは辛うじて理解できる。騒がしい世間と折り合って生きていると思っても、もしかして誰もが一線を越えて自覚しないまま罪を犯してしまう可能性があるのかもしれない。こういう言葉しか言えないが、久々に触れた髙村作品は頭がぐらんぐらんになりながらもなんとか全部読み通した。作中に登場する映画たちもその心情を考えるヒントになるかもしれない。
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高村薫久々の犯罪小説。上巻で犯人は捕まっており、下巻ではこういう展開にならざるを得ない。 人間の生き死に、心の闇、家族とのつながり、他人とのつながり、幼い頃の心象風景、人間を形作るものは何だろう。
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強盗殺人にいたった二人の犯人の殺意のあいまいさと医療過誤事件の犯罪性のあいまいさの対比、 そのあいまいさに煩悶する刑事の姿 あいまいさを残したまま、起訴、裁判、処刑 もやもやとしたまま、寂寥感を感じながら読み終えた。 まとまった時間を作って、読み直そうと思う。
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