冷血(上) の商品レビュー
読んだ本 冷血 上 高村薫 20240802 合田雄一郎シリーズ。 一家四人が惨殺された事件の犯人の実像に迫っていくお話。 相変わらず導入部分の二○○ページくらいが重苦しくて読みづらい。この前に読んだ「照柿」は最後まで重苦しかったけど。 恵まれた家庭ではあるものの、ありふ...
読んだ本 冷血 上 高村薫 20240802 合田雄一郎シリーズ。 一家四人が惨殺された事件の犯人の実像に迫っていくお話。 相変わらず導入部分の二○○ページくらいが重苦しくて読みづらい。この前に読んだ「照柿」は最後まで重苦しかったけど。 恵まれた家庭ではあるものの、ありふれた家庭の様子が描かれ、それがある晩惨殺される。犯人の二人組が犯行に至るまでの無軌道振りも描かれつつ、あっさりと捕まるんだけど、事件の残忍性と犯意のあやふやさのギャップに物語はつっこんでいく。殺された人たちは、なぜ殺されなければならなかったか。それが見つからない。 高村薫の視点が面白い。カポーティの冷血もそんな内容なのかな。二○○ページ以降は夢中になりました。
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髙村さんの作品は最初全然読み進められないのですが、気がつくとハマってる。 今回もそんな感じになりそうな予感。 最初半分以上は読むのが辛かった。 やっと動き始めた感じ。下が楽しみ。
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上巻を読んでの感想です。 犯人側パートと被害者側パートの交互に進む、第一章が面白かったです。犯人の井上と戸田、両方のキャラが立っています。正反対のようで、似たものの同士という感じ。被害者側パートの最後が、希望に満ち溢れすぎていて哀しい。 第二章は警察パート。犯人を追い詰めていく過...
上巻を読んでの感想です。 犯人側パートと被害者側パートの交互に進む、第一章が面白かったです。犯人の井上と戸田、両方のキャラが立っています。正反対のようで、似たものの同士という感じ。被害者側パートの最後が、希望に満ち溢れすぎていて哀しい。 第二章は警察パート。犯人を追い詰めていく過程は、なかなか進まないように見えて、実は確実に包囲網が狭まっている様子は、結構なサスペンスを感じました。倒叙推理小説の趣ですね。
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2023.03.31 精緻な書き込みで人間を考えさせる髙村作品を感じさせる。 犯罪者はどうして犯罪者になるのかを改めて考えている。
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正直とても面白くなかった。他の高村薫さんの小説同様に犯人を追いかけて行くことを期待して、物語の力に引っ張られることを期待していたら、とんでもなかった。淡々と犯人2人組の状況や心理描写が続いて、長くて、読みづらい。そして面白くない。救いもない。
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クリスマスイブの日に起こった一家4人皆殺し事件。 歯科医の夫婦、いい学校に通う2人の子供たち 人に憎まれることとは無縁の幸せな家族が殺された。 犯人は2人の男。 ネットで知り合った井上と戸田。 後先考えないような杜撰な犯行と凶悪性 なぜ2人は幸せな家族を皆殺しにするに至ったのか?...
クリスマスイブの日に起こった一家4人皆殺し事件。 歯科医の夫婦、いい学校に通う2人の子供たち 人に憎まれることとは無縁の幸せな家族が殺された。 犯人は2人の男。 ネットで知り合った井上と戸田。 後先考えないような杜撰な犯行と凶悪性 なぜ2人は幸せな家族を皆殺しにするに至ったのか? うむむ…読むのに時間がかかってしまった。 じわじわと描かれる家族の姿と井上と戸田の人生 井上と戸田の行動と思考と人生の描写が、高速道路を走る車の中から風景を眺めているような感覚の描き方で、なんというか「自分ではない全く関係のない人の知らない人生」を覗き見るようなスピード感のある不思議な描き方でひやっとしながら読む。 それがまた、人が自分の人生を捨てているような… どうでもいいような投げやり感 がじわじわと怖さを増す。 下巻、読みたいけど… 珍しく読むのに躊躇してしまっている。 どうしようか…
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
序盤,男二人の部分がものすごく不快で,読むのしんどいな止めたいなと思ったけど,止めずに読んでよかった。モデルがあるのかと思ったけどそうではないみたいで,高村さんは本当にスゴいと思う。
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これまで読んできた高村薫さんの合田雄一郎シリーズは、硬質な文体と徹底して描かれる、果てのない巨大な組織や権力の闇が印象的。この『冷血』もそんな合田雄一郎シリーズの一作。そして今回描かれるのは、個人の内に潜む言葉にできない闇。 第一章で描かれるのは闇サイトで出会った二人の男が、犯...
これまで読んできた高村薫さんの合田雄一郎シリーズは、硬質な文体と徹底して描かれる、果てのない巨大な組織や権力の闇が印象的。この『冷血』もそんな合田雄一郎シリーズの一作。そして今回描かれるのは、個人の内に潜む言葉にできない闇。 第一章で描かれるのは闇サイトで出会った二人の男が、犯罪を重ねていく様子。ただこの描き方が普通のサスペンスとは大きく違う。 会話文からもかぎ括弧を排した独特の文体。執拗で詳細な描写。そして男たちの内面。 ATMを襲撃したり、コンビニ強盗をしたりと二人は罪を重ねていくものの、その場面に興奮の要素は薄い。 金、スリル、社会への恨み…… 思うところはいくらでもありそうなものなのに、二人ともそれらの執着がまったく感じられない。さしたる考えもなく、野放図に流れに身を任せ、どこか気だるげに罪を重ねる二人。時代設定は2002年から2003年の話なのですが、言葉にしがたい現代の閉塞感、行き詰まり感というものを今の時代に読むと余計に感じます。 そして人間関係の希薄さというものも感じます。一緒に罪を犯すというのは運命共同体のようなものなのに、二人は互いに相手への興味や執着がとにかく薄い。 お互いの心理描写のとき相手の名前が常にカタカナで書かれるところや、会話でもかぎ括弧が使われないところなんかは、関係の希薄さ、相手への興味のなさが表れているように思いました。 その他人への執着のなさは、二人が盗みに入ることに決めた家族に対しても見られます。これから盗みに入る家の人間を目の当たりにしても、感情が揺れるどころか、彼らをまったく別世界の顔のない人間だと思ってしまう。他人への余裕のなさ、無関心、自己主義、ここにも今の社会の病巣が表れているようにも感じてしまう。 そして第2章からは合田をはじめとした警察の捜査の章に。ここの細かい描写も見どころですが、何より警察の捜査から改めて明らかになる、犯人たちの行き当たりばったりの行動にどこか末恐ろしいものも感じてくる。 目撃者や監視カメラのことも全く気にする様子もなく、罪を重ねていく男たち。その不可解さと自覚のない破滅衝動が、混沌とした社会と、人間の情感の闇を示しているように思えてくる。 1章で二人の内面はさんざん描かれたのに、それでも彼らの真の犯行の動機が、まったく見えないのがあまりに特異。下巻でその闇が明かされるかどうか。
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子供二人を含む家族全員殺害という犯罪に被疑者を駆り立てたものは何か、逮捕後の警察の取り調べとともにその理由を私たちも探ろうとする しかしなかなかその答えは見えてこない 金銭目的、粗暴さ、精神疾患、幼少時代の劣悪な家庭環境、社会への不満、女性嫌悪、裕福な家庭へのコンプレックス ど...
子供二人を含む家族全員殺害という犯罪に被疑者を駆り立てたものは何か、逮捕後の警察の取り調べとともにその理由を私たちも探ろうとする しかしなかなかその答えは見えてこない 金銭目的、粗暴さ、精神疾患、幼少時代の劣悪な家庭環境、社会への不満、女性嫌悪、裕福な家庭へのコンプレックス どれもが当てはまるように感じる、が、どれもが犯行の残虐性を裏付けるほどの根拠にはならない(少なくとも警察はそう考えている) 実際読み進めていく中で被疑者から動機になりそうな発言、描写が出てくるとホッとする自分に気づく。そうか、これが原因なのか、と しかし次の供述では前と矛盾する発言が飛び出し、二転三転してしまう 。そのたび読んでる側は不安になっていってしまう 襲いかかって倒れた被害者の頭部にスキを二度振り下ろしているにもかかわらず殺意自体は否定する。盗んだ貴金属類も捨ててしまう。相方に責任をなすりつけたりもしない。どうせ死刑になると投げやりな態度をとっているというわけでもない。そして実際に死刑が確定しても態度や感情に変化が見られない。「反省しているのか?」と問われても「してるわけないじゃん。意味がわかんね」と言う。その発言は幼稚な反発心からのものではなく、「本当に、反省するという言葉の意味が分からない」というものだ。そこで私たち読者もまた考え込んでしまう あくまで殺害の理由としては「なんとなく」「気が付けば」「かっとなった」だ 理解できる動機を発見できないままの状態が続くと私たちは完全な異常者による犯行であり理解することなど不可能、だと思い込みたくなる。その欲求から逃れることはできない しかしこの被疑者達がもついわゆる「人間性」というものが、私達を縛り付けていく。 主人公の合田は聴取が終わった後も被疑者二人に会いに行く。手紙を書く 彼らの頭脳の明晰さや詩的感受性に感銘を受ける、と同時にそんな感想をもつ自分に嫌悪感も抱く ならばなぜ会いに行くのか、それは自分でもわからない 聴取を行った警察の人間としての建前、つまり被害者の死を無駄にしないためにも、死刑が決まった被疑者の死も無駄にしてはならない、という考えをもってはいるが、同時にその考えの傲慢さに対しても不快感をもってしまう。めんどくさい男である 1番壮絶なシーンとして 合田が会いに行った被疑者の一人が逮捕後歯病をこじらせ癌となり死亡する その葬儀が終わり帰宅後、生前に被疑者出していたであろう葉書が合田のもとに届く 「子供を二人殺した私ですが、生きよ、生きよという声が聞こえるのです」
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『マークスの山』、『レディ・ジョーカー』など、読者に迫ってくるような“重い”作品を発表している高村薫。 これら「合田雄一郎刑事シリーズ」の続編が文庫化されていると知り、久しぶりにこの作家さんの作品を読むことにしました。 13歳の女子中学生、そして2人の、刑務所生活の経験がある...
『マークスの山』、『レディ・ジョーカー』など、読者に迫ってくるような“重い”作品を発表している高村薫。 これら「合田雄一郎刑事シリーズ」の続編が文庫化されていると知り、久しぶりにこの作家さんの作品を読むことにしました。 13歳の女子中学生、そして2人の、刑務所生活の経験がある男たち。 彼女と彼らの、ある日の朝の描写から始まります。 見ず知らずの男2人は、求人サイトで連絡を取り合い、合流します。 彼らの共通の目的は、“暴れること”、“金を奪うこと”、すなわち犯罪をすること。 それぞれが抱え込む熱量を、放出させるための行動が描写されていきます。 上巻は、事件に至る経緯と、事件発生後の警察の動きという、二部構成になっています。 前半を読んでいて、小説の世界だとはわかっているのですが(行動・心理ともに細部がリアルに描写されているので)、「自分の身の回りには、犯罪することを前提に行動している人がいるかもしれないのだなあ」と、怖くなってしまいました。 事件調査の描写については、グロテスクに感じる部分もあるので、苦手な人は注意が必要かもしれません。 ただそのような状況の中で、捜査をする人たちは、膨大で地道な作業を続けているのだと、理解することができました。 想像していたよりも、早いペースで話が進んでいるように感じました。 下巻ではどのような展開が待っているのか。 続けて読みたいと思います。 『晴子情歌(下)』高村薫 https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4101347247 .
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