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みな、やっとの思いで坂をのぼる の商品レビュー

4.6

9件のお客様レビュー

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2025/02/22

水俣病は終わっていない、ということがわかりました。相思社の活動内容・相談内容を読んで胸がいっぱいになってしまいました。

Posted byブクログ

2025/01/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

水俣病の実態で調査ではなく、患者の被害、認定されないことの状態を、患者自身から書いたものである。単に魚を一杯食べたというよりも、貧しい中で魚以外のたんぱく質がないということである。それも魚、イワシ、タコ、カキも食べてさらに魚も売りさばいて山の方にも行ったたということで有機水銀の蓄積は漁民だけではなく非常に広範囲の人にあった。相思社というものがあり、水俣病歴史考証館があるということも初めて知ることが出来る本である。公害被害について書くには欠かせない1冊である。

Posted byブクログ

2024/06/28

水俣病で苦しむ人々、声高に自らの苦痛を叫ばなかったひとたち、叫べなかったひとたち、そうしたの思いをすくい上げ記録した、とても貴重な記録。 新聞やテレビの報道を通して、ユージン・スミスの写真やその生涯を通して、あるいはジョニー・デップの映画を通して、水俣については知識を得、思いを...

水俣病で苦しむ人々、声高に自らの苦痛を叫ばなかったひとたち、叫べなかったひとたち、そうしたの思いをすくい上げ記録した、とても貴重な記録。 新聞やテレビの報道を通して、ユージン・スミスの写真やその生涯を通して、あるいはジョニー・デップの映画を通して、水俣については知識を得、思いをよせてきてはいた、 しかし、この『みな、やっとの思いで坂をのぼる』に記された、水俣病に冒された人々の言葉を思いを読むと、いままで何もわかっていなかった、と思う。 見えなかった(見ようとしなかった)ものが目の前に現れたようにも思える。 この国の政府の非道は今も昔も変わっていない。 被害者救済よりも国や企業の利益を守り、認定基準を変え、いくつもの水俣病を生み出し、苦しむ人たちが精根はてて「もう、いいです」と言うのをまつような施策。 「3分間でマイクオフ」がいかに水俣の人たちを、私たちを愚弄したものであるのか、 ここに綴られた人々の声を読むとよくわかる。 著者の、水俣病を水俣でおきたことを、無かったことにはさせないという思い、水俣病事件は犯罪である、という言葉を、心に刻む。 著者が患者と接するときの苦しみを、患者の痛みを前に何もできない自分が不甲斐ないと、石牟礼道子さんに吐露した時 石牟礼さんは、「悶え加勢(かせ)すれば良かとです」 「むかし水俣ではよくありよりました。苦しんでいる人がいるときに、その人の家の前を行ったり来たり。ただ一緒に苦しむだけで、その人はすこぉし楽になる」 その言葉で、著者はこうして患者たちに寄り添い、その苦しみをまとめ伝えていくことを心に決めたとのこと。 著者の苦しみや、思いには爪の垢ほども及ぶべくもありませんが、私も、水俣を、福島を、パレスチナを、思い、苦しみ悶え、こうして書き、伝えることで、加勢したい、と思いました。

Posted byブクログ

2024/06/19

水俣病センター相思社の永野さんの単著。 今年の5月、環境大臣と水俣病被害者団体との懇談で、環境省の職員の人が被害者の方の発言の途中でマイクの電源を切るという事件があった。 著者の永野さんもその場にいらしたとうかがった。 この本には、これまでずっと誰にも話さなかったことをようや...

水俣病センター相思社の永野さんの単著。 今年の5月、環境大臣と水俣病被害者団体との懇談で、環境省の職員の人が被害者の方の発言の途中でマイクの電源を切るという事件があった。 著者の永野さんもその場にいらしたとうかがった。 この本には、これまでずっと誰にも話さなかったことをようやく話し始めた人たちの話がいっぱいにつまっている。 これだけ苦しんで苦しんできた人たちの話をさえぎるって、どういうことなのだろう。自分が直接の加害者じゃない、という思いだったりするんだろうか。

Posted byブクログ

2023/05/02

被害者が「今」語ることに耳を傾ける。矛盾の中で被害者とともに身悶えする。時代は変わり直面する課題も変わったように見えるが、大切なことは変わらない。著者の姿勢や眼差しは、間違いなく石牟礼道子の直系だ。石牟礼が口寄せの巫女の様な「聖性」を感じさせるのに対し、著者には、何物にも寄り添い...

被害者が「今」語ることに耳を傾ける。矛盾の中で被害者とともに身悶えする。時代は変わり直面する課題も変わったように見えるが、大切なことは変わらない。著者の姿勢や眼差しは、間違いなく石牟礼道子の直系だ。石牟礼が口寄せの巫女の様な「聖性」を感じさせるのに対し、著者には、何物にも寄り添い苦しみを共にする菩薩のような「聖性」を感じる。水俣病とそれをめぐる動きに詳しいわけではないが、水俣の今を知るための必読書ではないだろうか。

Posted byブクログ

2022/09/18

この国は、なんでこんな地獄のような国なんだろう。 たくさんのひとを病気にして地獄の苦しみを与えておきながら、患者と支援者以外の他の人々は見ないふり、知らんぷりを続けてきた鬼だ。 そして、俺も鬼の一人だ

Posted byブクログ

2022/08/15

何をどうしたら、公害が終わった過去のことだと言えるんだろう? 被害者が裁判で勝ち、政府や企業が責任を認めて補償が行われるようになったら? それとも被害者が死に絶えたら終わったと言えるのか? ユージーン・スミスの写真集で、被害者による集団訴訟で補償を受けられるようになったのを見て...

何をどうしたら、公害が終わった過去のことだと言えるんだろう? 被害者が裁判で勝ち、政府や企業が責任を認めて補償が行われるようになったら? それとも被害者が死に絶えたら終わったと言えるのか? ユージーン・スミスの写真集で、被害者による集団訴訟で補償を受けられるようになったのを見て、なんかもう一件落着な気がしていた。チッソ株式会社も水俣病の補償を行うための会社に変わった。 でも、未だに水俣病認定訴訟は行われている https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220330/k10013559601000.html し、2018年には水俣病犠牲者慰霊祭でチッソの社長が「救済は終わった」と発言して、その後謝罪文をHP上で公開し http://www.chisso.co.jp/news/-pdf.html 同年に辞任している。https://www.nishinippon.co.jp/item/n/474940/ アクティビストやジャーナリストが去り、水俣病という大きな物語は幕を閉じた。その幕の裏で人生は続き、その物語に入りきれなかった人は今も取り残されたまま。 全盛期の1/5-1/4くらいの規模に落ち込んだとはいえ、今はもう水俣湾で漁業が行われて、魚の販売もされている。 https://nora-yokohama.org/reading/?p=3863 でもそれは、水俣病に関わる葛藤がなくなったということではない。 かつて流された水銀は今も海底に残されていて、大地震や護岸の老朽化をきっかけに新しい水俣病患者が増える可能性もある。 https://dot.asahi.com/wa/2016052000053.html?page=1 西日本新聞の2020年4月30日の公式確認64年 水俣病は終わっていないという社説が、水俣病という公害が終わったとは簡単に言えない事情を簡潔にまとめている。 https://www.nishinippon.co.jp/item/n/604766/ 水俣病はあまりに政治的、社会的な意味を持たされてしまった。そのことが患者の人生を阻んできた。 https://www.soshisha.org/jp/archives/5837 読後に相思社のブログを読んだら、韓国で2017年頃に起きた河川の水銀汚染についてのエントリーを見つけた。 もう対処済みで、被害もそんなにないと思うけど、今どきこんなことがあるんだな。 ブログに貼り付けられているニュース動画を見てみたけど、短い時間で水俣病についてよくまとめられていた。

Posted byブクログ

2022/07/31

数ある水俣関連の本の中で、啓蒙と救いを真から提供してくれる本だった。冒頭の自らの懺悔的なエピソードには驚いたし、隠れた水俣病の規模の大きさという現実に打ちのめされた。ただ、その著者本人が毎日苦しみに寄り添い、記録し語ることで、ひとりひとり、心が救われていく。その地道な活動に心揺ら...

数ある水俣関連の本の中で、啓蒙と救いを真から提供してくれる本だった。冒頭の自らの懺悔的なエピソードには驚いたし、隠れた水俣病の規模の大きさという現実に打ちのめされた。ただ、その著者本人が毎日苦しみに寄り添い、記録し語ることで、ひとりひとり、心が救われていく。その地道な活動に心揺らされた。

Posted byブクログ

2021/06/12

少しずつ読もうと思っていたのに、読み始めたら苦しいけれど止まらなくなり一気に読了。これは、2010年代〜の話なのである。被爆者である祖母や母の事を思いながら、寄り添うことの意味を考える。

Posted byブクログ