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ルーラル:農村とは何か の商品レビュー

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2020/01/15

 みなさんは「農村」と聞いたときに,どんな情景を思い浮かべるでしょうか。田畑が並ぶ景観、伝統的な古民家、牧歌的な暮らし…さまざまな情景が思い浮かぶことと思います。私たちはなぜ、そのような情景を「農村」として理解しているのでしょうか。そもそも「農村」とは一体どのようなものなのでしょ...

 みなさんは「農村」と聞いたときに,どんな情景を思い浮かべるでしょうか。田畑が並ぶ景観、伝統的な古民家、牧歌的な暮らし…さまざまな情景が思い浮かぶことと思います。私たちはなぜ、そのような情景を「農村」として理解しているのでしょうか。そもそも「農村」とは一体どのようなものなのでしょうか。  本書は、欧米の農村地理学者が中心となって執筆した、農村=ルーラルに関する体系的な教科書です。 書中では、 欧米の農村研究の成果を中心に、「農村」に対する概念的・理論的な検討がなされています。 ポスト生産主義下の日本農村との接点を踏まえて本書の特徴を挙げてみれば、日本における概念的理解が進んでいない「消費」に関する記述が充実している点が挙げられます。特に2章「農村をイメージする」、4章「農村を消費する」、6章「農村に生きる」、7章「農村を演じる」などは、日本の農村における近年の諸変化を理解する上でも重要な示唆をもたらしてくれます。  全体を通して、日本で扱われることの少ない概念や理論が展開されるため、初学者には少々難解に感じるかもしれません。しかし、農村研究の教科書の邦訳本はほとんど存在しないことから、欧米の農村研究を体系的に理解する上で、本書は大変貴重な一冊といえます。「農村」をフィールドとした卒業論文、修士論文の執筆を控えた学生は、座右の書となることでしょう。 領域分野に関係なく「農村」というフィールドに関心のある全ての人に、必読の書としておすすめしたい本です。 (ラーニング・アドバイザー/地球環境 SUZUKI) ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/book/1804564

Posted byブクログ