1,800円以上の注文で送料無料

ソーシャル物理学 の商品レビュー

4

4件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    2

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/05/02

発行からおくればせながら本書読みました。MITのメディアラボに所属しているペントランド先生の本ですが、いかにもメディアラボの本という感じでとても面白く感じました。スマホやソシオメトリック・バッヂと呼ばれるセンシング機器を通じて人々の交流情報や活動情報を集め、そこから普遍的な特徴を...

発行からおくればせながら本書読みました。MITのメディアラボに所属しているペントランド先生の本ですが、いかにもメディアラボの本という感じでとても面白く感じました。スマホやソシオメトリック・バッヂと呼ばれるセンシング機器を通じて人々の交流情報や活動情報を集め、そこから普遍的な特徴を洗い出すのですが、ペントランド先生の視点は西洋の個人主義的な価値観ではなく、むしろ東洋のコミュニティ的な価値観からモデルが組まれていて興味深かったです。 ペントランド先生は本文中で、集団をアイデアを生み出すマシーンと表現していますが、私の印象は、あたかも集団が多細胞生物かのようであり、人間はその細胞群のようなイメージを持ちました。あるセル(人間)は外部でアイデアを探求した上で、それをコミュニティ内に持ち込む。そしてソーシャルネットワークを通じて、その新アイデアが浸透していく、というプロセスをビッグデータによって可視化するフレームワークを提示したことになります。これはあたかも人間が「神の目線」を得たかのようであり、以前に読んだ「ホモデウス」の著者が、これからの人間は「不死・幸福・神性」を求めていくだろう、と述べていたのを思い出しました。デジタル全盛時代には否応なく本書に書かれているような社会分析が増えていくのでしょう。そして著者が述べているように、これは一つ間違えるとビッグブラザーが支配する恐ろしい社会を作ってしまいますが、正しく使う事で、流行病の拡散を防げるなど社会をより良い方向に導いてくれるのでしょう。大きな希望と恐怖の両方を感じる不思議な本でしたが、多くの人が本書を読んでおくべきだと感じました。

Posted byブクログ

2023/01/22

ビッグデータの解析で明らかになった人々の行動パターンから、「アイデアの流れ」の活性化とそれによる組織や都市の改善方法を論じている。 組織の成果も都市の発展も、新しいアイデアの探究と試行をどれだけできるかにかかっており、独りよがりな方法や他人(他組織)の単純な模倣からは最適解を見出...

ビッグデータの解析で明らかになった人々の行動パターンから、「アイデアの流れ」の活性化とそれによる組織や都市の改善方法を論じている。 組織の成果も都市の発展も、新しいアイデアの探究と試行をどれだけできるかにかかっており、独りよがりな方法や他人(他組織)の単純な模倣からは最適解を見出せないということがわかった。(これを議論の前提とした色々な検証も挙がっていたが、個人的にはこれ自体が大きな発見であった) 組織の改善は仕事にも役立ちそうな内容であった。 ・成果を出すチームは、ミーティングでの各自の発言量が同程度 ・リーダーと各メンバーの間だけのコミュニケーションでは不充分で、全てのメンバー間での交流が必要 等。 数学的な説明にはついていけなかったためその点では本書の良さを味わいきれていない。が、そのような読者も想定して数学的な説明を巻末付録に寄せてくれているのはありがたい。(本文に出てきていたら読むのをやめてしまったと思う…)

Posted byブクログ

2021/03/14

副題にもあるように、よいアイデアの広がり方について、社会科学的(社会物理学的)な見地から述べた本です。 よいアイデアが広がるために必要な条件は、我々が経験的に知っていることとあまり齟齬はないように思います。 たとえば、リアルなコミュニケーションが大切であるとか、コミュニケーショ...

副題にもあるように、よいアイデアの広がり方について、社会科学的(社会物理学的)な見地から述べた本です。 よいアイデアが広がるために必要な条件は、我々が経験的に知っていることとあまり齟齬はないように思います。 たとえば、リアルなコミュニケーションが大切であるとか、コミュニケーションの回数が大切であるとか、自由にアイデアを出し合えることが大切であるとか、アイデアの多様性が重要であるとか。 その一方で、アイデアのよさのようなものは、実は重要でないそうで、それは意外でした。 新しいことをする上で大切なのは「わかもの・ばかもの・よそもの」と言われることがありますが、このことも、ソーシャル物理学的には正しいといえそうです。

Posted byブクログ

2018/12/15

2015年に発行された本の文庫版。 今でいうビッグデータを分析することで定量的にそれを評価し社会的生産に活かしていこうとする研究を紹介している一冊。 IT素人な自分ですが、現在(2018年)から3年前に発行された本書を読んで、ちょっと古いかな~って感じてしまった。 それくらいこ...

2015年に発行された本の文庫版。 今でいうビッグデータを分析することで定量的にそれを評価し社会的生産に活かしていこうとする研究を紹介している一冊。 IT素人な自分ですが、現在(2018年)から3年前に発行された本書を読んで、ちょっと古いかな~って感じてしまった。 それくらいこの分野のテクノロジーは進化してるのかなと、日進月歩どころか秒進分歩だなと。。。 データを定量的に分析すれば何らかのアウトプットは得られ、コンピュータとインフラの進化でやっとそういったデータ集積と解析ができる環境が整ったのが今現在、これからの「結果」が気になるところです。 その一方ビッグデータ分析の障害は「プライバシー」、ここだけは非常にデリケートに扱い続ける未来であってほしいと思う次第です。

Posted byブクログ