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絶滅できない動物たち の商品レビュー

3.9

19件のお客様レビュー

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2020/08/19

絶滅という局面に立つ生物たちを取り上げ、それに対する人間の行動を取り上げ、同時に保全というものや種、自然というものに対する思想を取り上げた本である。色んな事例や考え、行動に触れるたび、今まで自分があっさりと蚊帳の外で考えていた「生物や自然には価値があるから守らなければならない」と...

絶滅という局面に立つ生物たちを取り上げ、それに対する人間の行動を取り上げ、同時に保全というものや種、自然というものに対する思想を取り上げた本である。色んな事例や考え、行動に触れるたび、今まで自分があっさりと蚊帳の外で考えていた「生物や自然には価値があるから守らなければならない」という思想がいかに浅はかなものであったかを痛感させられ、深く考えるきっかけになる。この本をあまり良くないという口コミもあったが、個人的には非常に満足し、とても考えさせられ、勉強になった。ただ悲劇的なことばかり書いていると思ったら大間違いで、これは思想のための本であった。「絶滅するのは悪いこと」とそれこそ純粋に信じていて、「絶滅から生物は救わねばならない」と無心に思っている人に是非じっくりと読んで欲しい。そして考えて欲しい。

Posted byブクログ

2020/08/14

種を存続させることは正義と今まで疑いなく信じていましたが、この本を読んで少し考えが変わった。 保護し、人間の手で生かしていてもそれは本当にその種の存続と言えるのか。ぎくりとする問いを投げかけられた。 保護された動物達のその後。 とめどなく広がる人間のテリトリー。 正しいこと、...

種を存続させることは正義と今まで疑いなく信じていましたが、この本を読んで少し考えが変わった。 保護し、人間の手で生かしていてもそれは本当にその種の存続と言えるのか。ぎくりとする問いを投げかけられた。 保護された動物達のその後。 とめどなく広がる人間のテリトリー。 正しいこと、がわからなくなった。 保護は人間の自己満足? でもやらないよりやった方が良い。 でも根本的な解決にはならない。 いろんな思考がぐるぐる。 共存できる道はないのか。 もう遅いのか。 関連書も読みたくなります。 文章は論文的?な文章で読み進めるペースはかなり遅くなってしまった。

Posted byブクログ

2020/08/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

身内のラインで流れてきたので、読んでみた! 第4章のクジラの話が面白かった。 遺伝的多様性がない状態で、存続している種があるなんて知らなかった。このまま絶滅してしまうのだろうか? 多産な1334号セミクジラは、何が違うのだろうか?詳細な遺伝子解析の情報が欲しかった。 第1章 帰る箱舟(アーク)の行方 「飼育下繁殖」された生き物は自然に帰れるのか? 第2章 保護区で「キメラ」を追いかけて 異種交配で遺伝子を「強化」された生きものは元と同じか? 第3章 たった30年で進化した「砂漠の魚」 「保護」したつもりで絶滅に追いやっているとしたら? 第4章 1334号という名のクジラの謎 「気候変動」はどこまで生きものに影響を与えているのか? 第5章 聖なるカラスを凍らせて 「冷凍標本」で遺伝子を保護することに意味はあるのか? 第6章 そのサイ、絶滅が先か、復活が先か 「iPS細胞」でクローンをつくれば絶滅は止められるのか? 第7章 リョコウバトの復活は近い? 「ゲノム編集」で絶滅した生きものを蘇らせることは可能か? 第8章 もう一度”人間の親戚”に会いたくて 「バイオテクノロジーの発展」がわたしたちに突きつける大きな問い 第1章 東アーク山脈は13か所の山の島があることから、アフリカのガラパゴス諸島と呼ばれる。東アークを有するタンザニアは、一日2ドル未満で暮らしている人口が73%にもなる国で、電力事情も悪かった。そこでタンザニアではキハンシ川の滝で水力発電プロジェクト――出資元は世界銀行――が立ち上げられた。環境アセスメントのため調査に赴いたキム・ハウェルはブルトーザーの音を後ろに聞きながら現地調査を行った。(通常、環境アセスメントがされた後でないと開発は始まらない。タンザニアではこの時環境アセスメントに関する法的要件がなかったとしている)環境アセスメント完了後、長期モニタリングのために再度滝をおとずれたハウェルらは、黄色いカエルをを見つけた。後に、キハンシヒキガエルと呼ばれることになる。2000年水力発電施設が完了してから、滝幅は98%縮小し、推定個体数は2万匹から、1万2千匹に減少した。このカエルは飼育下繁殖プロジェクトのため、海外への移送が提起されたが、国内の利害関係などの理由で却下された。紆余曲折あったが、政治的理由から、国外輸出への扉が開かれ、人口飼育下での保護が始まった。その後、キハシン川の個体群は絶滅した。人口飼育下では完全殺菌された部屋でほかの生物を隔離され飼育されることになった。完全に保護されたカエルたちは、2012年7月は滝に戻された。帰還後定着に対して多くの不確定要素を残して。 この章では、このカエルがどうなったのかは書かれていない。キハシン川の個体群が消滅した理由の一つで、カビにつての記述があった。興味ぶかかった。この章では、貧困と自然保護のジレンマが書かれていた。貧困を解決することと、自然を保護すること。同列にはできないことを示唆していた。 第2章 19世紀末にほぼいなくなったフロリダパンサーは、伝説的なハンター、ロイ・マクブライドによって1973年再発見された。この個体群には遺伝的に同一であり、近親創刊による弊害が表れていた(繁殖能力が落ちていることもその一つ。精子の94%が奇形だった)。保全学者は、絶滅に向かうこの種に対して、遺伝的多様性を持たせるため、ほかの地域のパンサーと交配させることにした。この案には反対者もいた(デイブ・メア 繁殖を成功させるために必要なものは、遺伝的強化ではなく、適切な生息地、現状よりもっと広い生息地とした)。が少数派だった。この交配でできた個体ははたして、本来の個体と同一のものなのか?また、遺伝的回復リスクは2つあった。一つは、外交弱勢:子孫の適応度がさらに低下する現象。もう一つは、ゲノム掃引:子供の適応度が、元の個体群の適応度を大幅に上回って、子供の遺伝子がゲノム全体をまたたく間に支配し、元の個体群を事実上遺伝的絶滅に追い込んでしまうこと。この二つのパンサーの交雑について、遺伝的割合の調査は行われていない。こうした交配による遺伝的救済は、今後の保護活動でも当たり前になる。それは、生息地が広くなることはなく、遺伝的交流できないからだ。交配で一時的に生息数が増えたとしても、遺伝的断絶と生息数増加による1個体あたりの生息域の減少で危機は今後も続くとみられる。 この章では、交配種が果たして、保全したい親と同じかどうか?が提議されていた。今回の交配では、かつて遺伝的交流があった亜種類どうしだったが、果たしてこの2種は違うものだったのか?この点も提議されていて面白かった。最後に伝説のハンター、ロイ・マクブライドのコメントが書かれていて、なやましいと思った。

Posted byブクログ

2020/08/06

この本を読むまで、「絶滅」から動物・植物を救い出すことは、漠然と良いものと考えてきましたが、どうも単純な話ではないようです。 「動物を絶滅から防ぐことは本当に正しいこと?」 この本の著者も、そんな疑問から始まったそうです。 本に出てくる、カエルを守るための厳重な警備、種の保...

この本を読むまで、「絶滅」から動物・植物を救い出すことは、漠然と良いものと考えてきましたが、どうも単純な話ではないようです。 「動物を絶滅から防ぐことは本当に正しいこと?」 この本の著者も、そんな疑問から始まったそうです。 本に出てくる、カエルを守るための厳重な警備、種の保存のためのサンプルの冷凍保存、DNA組み換え技術…。 多くの実例は、さまざまなことを教えてくれます。 もちろん、絶滅危惧種を救い出すプロジェクトを今も懸命にされている方を、否定するつもりはありません。 むしろ、漠然と正しいと思い込み、ろくに知りもしなかった、その世界を覗こうともしなかったことを反省。 絶滅危惧種の動物を復活させることは、生態系を復活させることと同義ではないのです。 絶滅していく動物に対してどうしていけばよいのか。 事態は思っている以上に混み合っていて、これが正しいという結論は、いまだにはっきりとはわかっていません。 ただ、分からないからと、何も考えないのも、どこか違うと思いますので、現状を知る、という意味でこの本は読んでよかったな、と思えました。

Posted byブクログ

2020/07/21

生物の絶滅に対して、一概に否定はできないという立場から書かれた、非常に興味深い書物。たった一匹のカエルのために世界銀行からの融資による発電所の建設計画が中止になった政治がらみのエピソードや、リョコウバトの生息数の増減に入植者が関係していたという説などが取り上げられ、絶滅=悪という...

生物の絶滅に対して、一概に否定はできないという立場から書かれた、非常に興味深い書物。たった一匹のカエルのために世界銀行からの融資による発電所の建設計画が中止になった政治がらみのエピソードや、リョコウバトの生息数の増減に入植者が関係していたという説などが取り上げられ、絶滅=悪という図式を積極的に突き崩していく著者の姿勢には好感が持てる。なお、著者はYouTubeのインタビューにて、GPSに関連した人間の行動や心理に関係する書物の出版を検討しているらしく、こちらも邦訳が待たれる。

Posted byブクログ

2019/08/19

Science of resurrection. for exsample, the Kihansi spray toad(frog) in onlyed Tanzania, Africa, the Florida panther across the puma, the Whi...

Science of resurrection. for exsample, the Kihansi spray toad(frog) in onlyed Tanzania, Africa, the Florida panther across the puma, the White sands pupfish chage or revolution 30 years in only USA, the North atlantic right whale..., the Hawaiian crow...., the Northern white rhinoceros..., the Passenger pigeon..., the Homo neanderthalensis.......

Posted byブクログ

2019/01/26

さすがオコナ―! 漠然と「多様性の保全=正義」の感をもっていたけれど、違う。 「正義の反対はもう一つの正義」ですね。

Posted byブクログ

2019/01/25

近絶滅種や絶滅危惧種の保護について書かれた本、というよりも、その「保護(環境保全)」という行為の持つ「矛盾」を描きだした書籍です。 種を保存するために、これまで人間は、絶滅の危機に瀕した動物を管理保護下で飼育したり、DNAを遺すために亜種と交配させたりしてきました。 はたして、...

近絶滅種や絶滅危惧種の保護について書かれた本、というよりも、その「保護(環境保全)」という行為の持つ「矛盾」を描きだした書籍です。 種を保存するために、これまで人間は、絶滅の危機に瀕した動物を管理保護下で飼育したり、DNAを遺すために亜種と交配させたりしてきました。 はたして、これらの行為の結果生まれた、あるいは生来の生育環境とは別の環境に「適応」した動物たちは、「保全」すべき「種」としての特質を遺しているのでしょうか。 そもそも、保存すべき「種」とはどういったものなのでしょうか。 具体的な保全の事情や、それに伴う議論を詳細に描き出しており、環境保護について考えるきっかけを与えてくれる書籍だと思います。 ただ、翻訳の仕方なのかもともとの文章がとっつきにくいのか、原因はわかりませんがなかなかに読みづらい印象でもありました。 しっかりと読み込むためには、これらのテーマに対する関心だけでなく、ある種の「スタミナ」も必要だと感じます。

Posted byブクログ

2019/01/05

人間が地球全体に及ぼす影響力が大きくなり過ぎた現在、「手つかずの自然」がなくなり、環境も変わり、日々絶滅する動物がいる中で、どういう状態で動物達を保存していくのか。 壊してしまって元の状態に戻せなくなったモノを、どういう状態にすれば人類にとって「良い」と思えるのかという話。

Posted byブクログ