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ベルリンは晴れているか の商品レビュー

3.8

262件のお客様レビュー

  1. 5つ

    57

  2. 4つ

    94

  3. 3つ

    73

  4. 2つ

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  5. 1つ

    6

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2023/02/01

ミステリーを普段読まない方にも、おすすめしやすい戦争小説でした。時代背景もよく見えてきて、戦時中の市民の心境や置かれている状況など、学べるものが多かったです。

Posted byブクログ

2023/01/28

ミステリーというより戦争文学。 前半は「卵をめぐる祖父の戦争」と似ている。 「戦場のコックたち」の方が好み。

Posted byブクログ

2022/10/27

物語的と言えば物語そのものなんだけど,主人公たちを取り巻く社会や環境の描写が,リアル(と感じられるもの)でガッチリ骨組みされていて,読み応えのある一冊だった. 全く読書が進まなかった10月だけど,この本に出会えてよかった.数少ない今月の読了がこの作品で良かった!

Posted byブクログ

2022/08/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第二次世界大戦敗戦直後1945年7月のドイツ。 ヒトラーは自死を遂げ、英米仏露の連合軍に分割統治されるベリリン。 幼い頃から英語版『エーミールと探偵たち』を読み耽っていた主人公アウグステは、その英語力のおかげでアメリカ領のダイナーで職を得ることができ、なんとか食いつなぐ生活基盤を持つことができた。 くたくたに疲れて帰ったある夜中、ロシア軍管轄の警察に有無を言わさず連行され、NKVDの将校ドブリギンに告げられたのは、かつて世話になったクリストフの毒殺死。 クリストフは戦時中はその富を隠蓑に反ナチ地下活動を支持し、戦後は同志文化部のチェロ奏者としてロシア軍の庇護下にあった。 妻のフレデリカが疑わしい人物としてアウグステの名を挙げたこと、毒である青酸カリはアメリカからの配給品の歯磨き粉に混入されており、アウグステが数日前に支給された同一品を闇市で売っていたことから、アウグステは執拗な事情聴取を受ける。 確たる証拠がないため、ほどなく解放されたが、翌日ドブリギンからフレデリカの付き人の取り調べから、クリストフには生き別れた甥エーヒリがいるこが判明し、殺害に関わっている疑いがある、軍は人手が割けないので探し出してきて欲しいとかなりの無理難題をふっかけられる。 敗戦直後の関係性のなせるわざなのか、アウグステは断ることもできず、前日の取り調べの際に、偶然関わったコソ泥カフカと共にエーリヒ探しの旅が始まる。 戦前、戦後ドイツ国内の移ろいゆく描写に冒険ミステリ風味を混ぜ込むなんとも独特な読み応え。 そこまでどぎつい表現はないものの、共産主義からナチズムへの傾倒、優生思想や情報統制と生き抜くための盲目的な忠誠心、戦争へ導いたもの、結果として訪れたもの、繰り返される愚行、日本国内とはまた別の色合の”戦争”をとり巻く数多の理不尽が頭をぐるぐると行き交う。 ミステリー仕立てとやがて訪れるポツダム会議への機運がアクセントとなり物語へ引き込みつつ、その実”戦争”の残すものを考えさせられる一冊。

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2022/07/23

あたかもその時代に生きていたような1945年前後のドイツの描写に驚かされる。その描写ゆえに戦争の悲惨さがひしひしと伝わる。 ドイツがポーランドに不意打ちで侵略した際の話で、作中に下記のような記述がある。 ----------------------- ゴミ捨て場の前にいた婦人たち...

あたかもその時代に生きていたような1945年前後のドイツの描写に驚かされる。その描写ゆえに戦争の悲惨さがひしひしと伝わる。 ドイツがポーランドに不意打ちで侵略した際の話で、作中に下記のような記述がある。 ----------------------- ゴミ捨て場の前にいた婦人たちは「だって、ポーランドが悪いんでしょう。総統は『平和のための攻撃』とおっしゃったし、国を守るためにやむなくよ」と話していた。 ----------------------- 現在のプーチンの発言とプロパガンダに汚染されたロシア人と全く同じ。 まさにプーチンは現代のヒトラーだ。

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2022/07/04

日本の戦中、戦後の話は、この身におびただしく浴びている。 そして、まずはアメリカのベトナム戦争、ソ連側の戦中、戦後の話も読んできた。 しかし、ドイツの物語は、どれもユダヤ人の側から見た話しばかりだった。”アーリア人種”からの物語は初めてだった。どの人にも戦争はあったのだ。 そし...

日本の戦中、戦後の話は、この身におびただしく浴びている。 そして、まずはアメリカのベトナム戦争、ソ連側の戦中、戦後の話も読んできた。 しかし、ドイツの物語は、どれもユダヤ人の側から見た話しばかりだった。”アーリア人種”からの物語は初めてだった。どの人にも戦争はあったのだ。 そして、本作。圧倒的なリアリティと謎解きを駆動力として、物語は進む。 最後に作者が書いたのは、良心? オチが着いたとは思えないが、説得力はある。

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2022/07/03

1944年、ナチスが崩壊した直後のベルリンが舞台の小説。日本人が日本語で書いたからというだけではない力があるんじゃないだろうか。ぐんぐん引き込まれて最後まで面白く読んだ。 たぶんジャンル的にはミステリーになるんだろうけど、ミステリーとしてよりは、書かれている描写に引き込まれた。ナ...

1944年、ナチスが崩壊した直後のベルリンが舞台の小説。日本人が日本語で書いたからというだけではない力があるんじゃないだろうか。ぐんぐん引き込まれて最後まで面白く読んだ。 たぶんジャンル的にはミステリーになるんだろうけど、ミステリーとしてよりは、書かれている描写に引き込まれた。ナチスが崩壊した後の貧しく荒んだ様子の臨場感がすごい。ベルリンに西側勢と東側勢がそれぞれ入ってきて、明日をも知れない感じ。考えもしなかった一時期がベルリンにあったんだなあ。

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2022/05/17

占領された国で生活する、という圧迫感笑とてもリアルに感じた。 今までドイツの歴史は知っていても、その時の生活がどんなに恐ろしいものであったか、想像力が足りていなかったことを知った。 そしてソ連軍の体質、今のウクライナでも同じことが起こっているのだろうかと思った。 お父さんが話...

占領された国で生活する、という圧迫感笑とてもリアルに感じた。 今までドイツの歴史は知っていても、その時の生活がどんなに恐ろしいものであったか、想像力が足りていなかったことを知った。 そしてソ連軍の体質、今のウクライナでも同じことが起こっているのだろうかと思った。 お父さんが話してくれた、薔薇見学禁止の立て札を引っこ抜く話、絶対に忘れない。

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2022/05/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あなたに伝えないといけないことがある。 連合国に占領されたベルリンで、アウグステはある人を探していた。お供は元俳優。アメリカ、ソビエト、ナチス、ユダヤ。戦争で家族を失い、自分を守るために人を殺した。「戦争」を終わらせるために、アウグステは行く。 アウグステが殺したというのはある程度わかるとして、その理由や方法が問題である。最後にジギの手紙があるのが救いのひとつ。アーリア人でありながら、ユダヤ人のように見える風貌を活かしてナチスのプロパガンダ映画に出ていたジギ。彼は自分かわいさのためにいつも逃げていた。最後の手紙でも迷っている。読者が一番共感できる人物ではないか。 皆脛に傷を持つ。戦争だから。自分の身が大事だったから。上に立つ者が変わっても、人間は変わらない。それならば戦争であっても許されない悪もあるはずだ。生きるために犯す罪もあれば、生きるために償わないといけない罪もある。アウグステは罪を犯し、その罪を償う。正しくはない。しかしその姿は眩しい。 『エーミールと探偵たち』が重要なアイテムとして出てくる。勇気と正義感とそしてちょっとした無謀な冒険の物語。それがアウグステを奮い立たせ、道を選ばせたなら。物語の力の大きさを思う。

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2022/05/22

購入済み 2022.05.21.読了 素晴らしい作品。 ミステリーとしてみるなら、確かに終盤のジギの手紙に要素を詰め込み過ぎのきらいはあり、質は落ちてしまうのかもしれない(わたし的には楽しめたが。。。) が、この作品をミステリーという枠に嵌めてしまうことの方に違和感を感じる。 ...

購入済み 2022.05.21.読了 素晴らしい作品。 ミステリーとしてみるなら、確かに終盤のジギの手紙に要素を詰め込み過ぎのきらいはあり、質は落ちてしまうのかもしれない(わたし的には楽しめたが。。。) が、この作品をミステリーという枠に嵌めてしまうことの方に違和感を感じる。 参考資料も多く、著者が思いを込めて作品に挑んだ様が手に取るようにわかる。非常に密度の濃い内容。 ドイツ、労働者階級、共産党員のアーリア人両親の元に生まれたひとり娘アウグステ。 アウグステ誕生の1928年から、第二次世界大戦前、戦中、戦後1945年までのベルリンがアウグステの目線で語り綴られる。 いつの時代も人間は愚かだ。 指導者は肥太り、平和のために戦うといっては、他国に攻め入り領土を広げようとする。そしていつもその代償を払うのは庶民たち、弱者だ。日本とドイツ、敗戦国の人々に待っていた苦悩は本当によく似ている。目の色や髪の色、宗教は違っても人間は同じ道をたどる。 だからどうしてもロシアウクライナ問題に思いを馳せずにはいられない。 いつの世も、独裁者が国民に平和と希望、幸福をもたらすことはない。 老若男女にオススメの作品だが、特に若い人たちにたくさん読んでもらいたい。 今も新しく生まれくる子供たちに幸福な未来を残したい。そう願わずにはいられない。

Posted byブクログ