自殺論 の商品レビュー
デュルケームは社会的基盤は氏族の結合→地域集団→固有の性格を残しながら、同盟関係にあった都市と拡大しながら、フランス革命を経た中央集権化と交通路の発達により、「国家」という最大の形を残して消え去ったと述べている。また、この結果国家はその能力に比して過大な機能を背負わされ、激しい努...
デュルケームは社会的基盤は氏族の結合→地域集団→固有の性格を残しながら、同盟関係にあった都市と拡大しながら、フランス革命を経た中央集権化と交通路の発達により、「国家」という最大の形を残して消え去ったと述べている。また、この結果国家はその能力に比して過大な機能を背負わされ、激しい努力を重ねながらも非難を浴び続けているという。これは、昨今のクマ問題をはじめとする種々の課題に対する人々の異常なまでの国家に対する期待と責任の押し付けを彷彿とさせる。どう考えても、家の庭にクマが出たことに対する責任を高市政権に求めるのは酷であるし、そしてその一方で、地域に蔓延するクマを一掃する能力は家族にも役場にもなく、「国家」だけがそれを成し得るのである。
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何事も自明とせず、あらゆる観点から分析命題を立てて、統計を駆使して解明していく緻密さ、社会の集合的傾向を安易に個人の価値観や精神論に帰さず実在するモノと同等に捉えて科学的に追究する姿勢など、近代社会学の古典としての偉大さを感じる内容。 それに加えて、解説で言われている、 「近代社...
何事も自明とせず、あらゆる観点から分析命題を立てて、統計を駆使して解明していく緻密さ、社会の集合的傾向を安易に個人の価値観や精神論に帰さず実在するモノと同等に捉えて科学的に追究する姿勢など、近代社会学の古典としての偉大さを感じる内容。 それに加えて、解説で言われている、 「近代社会における個人の存在条件とこれをめぐる道徳意識の変化にかんする透徹した認識」「統合的個人の存立の危機の諸相についての指摘」「危機にある近代社会の再組織化にむけての情熱をこめた訴え」、さらに加えて細かくは、宗教の個人にとっての意義・影響とその変遷、女性の社会進出や男女平等に関する先見性のある将来展望など、幅広い観点で著者の深い見識に触れることができ、非常に読み応えのある圧巻の内容。
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2025年3月31日、高円寺・文禄堂にあった。 教養文庫コラボフェア2025の1冊。分厚い。書店の推薦コメント「何が自殺に向かわせるのか?」帯に「社会学的知性のみごとな実例を見よ!」とあり、知性というワードに惹かれた。
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初版から40年も経過した書物に、これほど現代に通ずる普遍的な事実の気づきや共感が得られると思っていなかった。データという事実をベースに、起こりうる事象を満遍なく回収し思考することで、読者の疑問を払拭しながら、自殺を①自己本位的自殺②集団本位的自殺③アノミー的自殺の3種類に見事に分...
初版から40年も経過した書物に、これほど現代に通ずる普遍的な事実の気づきや共感が得られると思っていなかった。データという事実をベースに、起こりうる事象を満遍なく回収し思考することで、読者の疑問を払拭しながら、自殺を①自己本位的自殺②集団本位的自殺③アノミー的自殺の3種類に見事に分類していた。(背表紙では④宿命的自殺も含めていたが、本書からは読み取れず。) 正直、回りくどい言い回しや難しい表現も多く、読み解けていない部分も存在していると思う。しかし、個人と社会(家族、戦争、宗教、政治、同業組合などに絡めて)の関係性がもたらす自殺への結末を、宗教、哲学、道徳的な要素と一緒に考えることができたのは、興味深いところであった。 これからの社会や死に対する視点が2つも3つも変わると感じさせる学問であった。
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社会科学の原点のような本で、自殺率の高い国と低い国の違いは一体何なのかを解明していく本。 結論から言ってしまうと「宗教の違い」で同じキリスト教でも自己責任論の強いプロテスタントのほうがカトリックよりも自殺率が高い傾向があるとのこと。 自殺率と宗教には強い相関性があって自殺を明確に禁じるイスラム教は低く、無宗教が最も高いというデータもあるそう… 日本は閉鎖的な社会だから自殺率が高いんだ!と言われますが原因はそこだけじゃなくて日本人の宗教観の薄さにもあるのもしれませんね… とても面白かったです!
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自殺って何なんだろうと、この度、読むことにした。 19世紀末のヨーロッパに増加した自殺について、社会現象として各国各都市のデータをもとに、考察している。 なんで昼間に自殺が多い?なんで都市に多い?なんでプロテスタント教徒に多い?なんで離婚した男性に多い?殺人との関係から言えることは? 120年以上前のヨーロッパなんて、全然違う社会だと思っていたけれど、今の状況についての説明ともなる部分が多く、興味深かった。自殺、という行為が、人間の生と死という時代や文化を超えた普遍的なものであるからでもあると思った。これまでの人間社会の中で「自殺」の持つ社会における意味や価値がどのように変化してきたか、という点にも触れられている。つまり、社会が近代化するにつれて、個人主義が広まり、一人ひとりの人格の尊重という観点から人の命は終わらせられるべきでない、という議論になる。 一方、(私の理解では)より多くの人びとは、社会とのつながりが薄れ、生きる意味を見出しにくくなる、あるいは、縛りの無い自由を前に逆に現実と理想のギャップや周りとの相対的剥奪感や恨みを募らせることから自殺が起こりやすくなっているという。これは今にもつながるところがあると思った。 そして、デュルケームさんが自殺の研究をしている当時、日本は近代化が始まったところ。日本は19世紀末の時代から、「自殺」が大きく変化を遂げ、また今の状況にいたっている、そんな国であると知り、私たちが考えるべき重要なテーマだと改めて感じた。 また今、産業革命後の社会が世界的な危機に直面している。今、人が自分の生を断つという行為は何を意味するのか、それは今私たちはどのような社会に生きているのか、ということ。他人事ではなく考えるきっかけにしたい。
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自殺の諸相を考察し、アノミー、生の意味喪失、疎外など、現代社会における個人の存在の危機をいち早く指摘した、社会学の古典的名著。内田樹氏推薦。
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新版。 性別、年代、国籍、宗教、地域、気候……兎に角、ありとあらゆる統計情報が溢れている。社会学の古典ではあるが、寧ろ、ここまで執拗に集められた統計情報の方に圧倒される。生半可な覚悟じゃあ、これ調べてるうちに、首でも括りたくなるんじゃないのか……?
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