大学経営・政策入門 の商品レビュー
高等教育の教科書はこれまでにも出版されており、本書はその中でも最近のものとなっている。各領域で相応の研究の蓄積がなされ、重層化した知見があった上での各章の説明といえる。秀逸なのは、2章大学の理念・制度・歴史、4章大学の組織、9章研究のマネジメントの各章だろう。広島大、放送大、桜美...
高等教育の教科書はこれまでにも出版されており、本書はその中でも最近のものとなっている。各領域で相応の研究の蓄積がなされ、重層化した知見があった上での各章の説明といえる。秀逸なのは、2章大学の理念・制度・歴史、4章大学の組織、9章研究のマネジメントの各章だろう。広島大、放送大、桜美林大の高等教育研究機関の中心的研究者が編集した既刊のテキスト類と比べると、先の3つの章は内容の厚みが異なる。十分に精査された説明文の背景にある論拠の質に重みがあるとでもいえようか。章立ては『高等教育概論』と『高等教育入門』より少なく、本書は類書よりテーマを絞るかまたは大枠でとらえており、各論の網羅性より主要テーマについて比較的詳しく説明した印象も受ける。昨年、科研費の審査区分表に「高等教育学」が追加されたが、ディシプリンの発展のフェーズが変わったことは明らかである。ほぼ同時期に本書が公刊されたことで、それがより確たるものとなったといえる。
Posted by
- 1