闇の日本美術 の商品レビュー
美術、説話を通じて恐れと向かい合う人間の弱さと強さを感じた。 引用されている絵画の多くが白黒で小さく、作者の意図する詳細部分がわかりにくいかったのが残念。 新書版の弱点ではあるが。
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古代中世の美術作品から当時の“闇”の背景を見つめる。 悲しい・辛い・苦しい出来事を見つめ飲み込むために生み出された考え方が積もり積もって、仏教世界は編まれたのだなとしみじみ。祈りの前には闇があった。 日曜美術館で書籍を知り、「病」と「鬼」の章が読みたくて購入したけど、すべての章が...
古代中世の美術作品から当時の“闇”の背景を見つめる。 悲しい・辛い・苦しい出来事を見つめ飲み込むために生み出された考え方が積もり積もって、仏教世界は編まれたのだなとしみじみ。祈りの前には闇があった。 日曜美術館で書籍を知り、「病」と「鬼」の章が読みたくて購入したけど、すべての章がおもしろかった。 エピローグが特に好き。平家納経に込められた祈りの、情の部分が自分の中でクリアになった気がする。
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地獄草子や餓鬼草子や、粉川寺縁起絵巻、九相図などを通して、老いや病、死や断罪を日本美術がいかに描いてきたかを論じる一冊。詞書等は原文を(活字で)提示した後、現代語訳をつけ、簡潔でわかりやすい文章だった。 惜しむらくは新書版という制約上、掲載されている絵画資料が小さいこと。別途図...
地獄草子や餓鬼草子や、粉川寺縁起絵巻、九相図などを通して、老いや病、死や断罪を日本美術がいかに描いてきたかを論じる一冊。詞書等は原文を(活字で)提示した後、現代語訳をつけ、簡潔でわかりやすい文章だった。 惜しむらくは新書版という制約上、掲載されている絵画資料が小さいこと。別途図版等と照らし合わせながら読むと一層楽しいのだろうと思った。
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もともと日本美術の専門知識はないけれど美術館で絵を見るのが好きで、書名にある「闇」という不穏な言葉が気になって手に取った本。 図書館で借りて読み始めてみたけど、これは手元に置いておきたいと思って購入。 絵巻や掛幅画を題材に古代・中世の日本の絵画から当時の人々が考えた、死生観、仏...
もともと日本美術の専門知識はないけれど美術館で絵を見るのが好きで、書名にある「闇」という不穏な言葉が気になって手に取った本。 図書館で借りて読み始めてみたけど、これは手元に置いておきたいと思って購入。 絵巻や掛幅画を題材に古代・中世の日本の絵画から当時の人々が考えた、死生観、仏教思想などが紐解かれて面白かった。 以前、六道輪廻や十王信仰の絵画を見た際に、絵の解説内容が興味深かったこともあり、本書も面白く読めた。 《平家納経》の製作・奉納の目的は一門の繁栄祈願であるが、その背景に清盛自身の来し方への滅罪の意識があったのではないだろうか、という考察に非常に納得した。 日本美術の背景にある当時の人々の思想に興味のある人に入門書としてお勧めしたい一冊。
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プロローグ (東大寺二月堂本尊光背) 第1章 地獄 (地獄草紙、六道絵、矢田地蔵縁起絵巻) 第2章 鬼と怪異 (餓鬼草紙、長谷雄草紙、北野天神縁起絵巻、土蜘蛛草紙、天狗草紙、融通念仏縁起草紙) 第3章 病 (病草紙、粉河寺縁起絵巻) 第4章 死 (後三年合戦絵巻/平治物語絵巻、九...
プロローグ (東大寺二月堂本尊光背) 第1章 地獄 (地獄草紙、六道絵、矢田地蔵縁起絵巻) 第2章 鬼と怪異 (餓鬼草紙、長谷雄草紙、北野天神縁起絵巻、土蜘蛛草紙、天狗草紙、融通念仏縁起草紙) 第3章 病 (病草紙、粉河寺縁起絵巻) 第4章 死 (後三年合戦絵巻/平治物語絵巻、九相図、九相詩絵巻) 第5章 断罪 (閻魔王、十王図) 第6章 悲しき女 (病草紙、伴大納言絵巻、道成寺縁起、華厳宗祖師絵伝、小野小町像) エピローグ (平家納経) あとがき
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嘘の言葉は恐ろしい。社会の秩序を容易に転覆する力に満ちている。嘘か真実かの判断は、究極のところ陣地を超えており、中世の日本人は、その判断を神仏にゆだねることで「天道が知っている」という社会的モラルを形成した。なかんずく、讒言によって無念の死を余儀なくされた道真に、後世の人々が真理の守護神としての役割を期待し、深く信仰したのである。それは、天災から身を守るだけではなく、日常生活の傍らに潜む、言葉という人災に対する防衛策でもあった。(p.64)
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主に平安期の美術品を、地獄や病、死といった観点から取り上げている一冊。連載をまとめたものだそうです。 テーマはとても魅力的なのですが、内容は…うーん…学術的に寄りすぎているというか…。勝手な思い違いをしていたようです。 テーマがマイナス方面ということもあり、宗教のえげつない方針...
主に平安期の美術品を、地獄や病、死といった観点から取り上げている一冊。連載をまとめたものだそうです。 テーマはとても魅力的なのですが、内容は…うーん…学術的に寄りすぎているというか…。勝手な思い違いをしていたようです。 テーマがマイナス方面ということもあり、宗教のえげつない方針がばんばん取り上げられていて、苦笑いが浮かびました。今はどういう解釈になっているんだろう?
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日本の古代・中世絵画に描かれた“闇”という主題。 仏教思想・死生観等を通して、読み解いてゆく。 闇に覆われた時代。夜の闇は深く、輝く灯りは庶民にはほど遠い。 闇に潜む・・・地獄、鬼と怪異、病、死、断罪等が描かれた絵巻や 草紙等は、どのような背景で生まれたのか。 何故、詳細に描かれ...
日本の古代・中世絵画に描かれた“闇”という主題。 仏教思想・死生観等を通して、読み解いてゆく。 闇に覆われた時代。夜の闇は深く、輝く灯りは庶民にはほど遠い。 闇に潜む・・・地獄、鬼と怪異、病、死、断罪等が描かれた絵巻や 草紙等は、どのような背景で生まれたのか。 何故、詳細に描かれたのか。 それは、前世・現世・未来・来世の姿に、行いと信仰が大事と、 視覚で表現されています。 高い身分の人々・・・天皇、将軍等と仏教との関わりも。 戦乱の世を生きた後白河法皇が如何にして数種の絵巻を 作成させたのか、なぜ煌びやかな平家納経は生まれたのか、 歴代の足利将軍と融通念仏の関係は・・・等々、 絵巻等の成立過程は興味深いものでした。 でも、仏教の基礎知識は読むのに必要かも。ちと難解でした。 ・・・特に、往生要集!
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<目次> プロローグ 闇 第1章 地獄 第2章 鬼と怪異 第3章 病 第4章 死 第5章 断罪 第6章 悲しき女 エピローグ 光ある方へ <内容> 中世の絵巻物や絵解きなどを、「闇」という視点から解いていったもの。怖いというよりは、信仰心を見る感じであるが、エピローグで、「平家納経」が全盛期ではなく、1164年に厳島神社に奉納された話を聞き、著者の言うように「繁栄への祈願」というよりも、「多くの武者を滅ぼしたことへの滅罪」という言葉に、納得をした。
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書名だけでは興味を惹かれずにいたところ、お能でおなじみのテーマを扱っている、ときいたので。古代中世の人々が何を恐れていたのか、仏教の考え方とともにわかりやすく説明されている。ところどころ論理展開についていけなかったけど、それは読み手のわたしにベースの知識がないせいだろう。入門書と...
書名だけでは興味を惹かれずにいたところ、お能でおなじみのテーマを扱っている、ときいたので。古代中世の人々が何を恐れていたのか、仏教の考え方とともにわかりやすく説明されている。ところどころ論理展開についていけなかったけど、それは読み手のわたしにベースの知識がないせいだろう。入門書として読むには良いと思う。
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