説教したがる男たち の商品レビュー
フェミニズムやジェンダーについてのエッセイ集。『フェミサイド』という言葉に関連して、女性嫌悪に囚われた男性心理の説明としてこの本から引用されていて興味を持った。また、表題のエッセイは『マンスプレイニング』という言葉が生まれる切っ掛けとなったものでもある(ただし、言葉を作ったのは著...
フェミニズムやジェンダーについてのエッセイ集。『フェミサイド』という言葉に関連して、女性嫌悪に囚われた男性心理の説明としてこの本から引用されていて興味を持った。また、表題のエッセイは『マンスプレイニング』という言葉が生まれる切っ掛けとなったものでもある(ただし、言葉を作ったのは著者ではない)。 特に「6 ウルフの闇」が好きで、さまよい歩くように(時には本当にさまよい歩きながら)思考することの大切さを改めて感じた。 また、言葉の選択や表現が美しく、手元に置いておきたいと思った。他の本も読んでみたい。
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2021年8月 女が自分よりものを知らないという前提で偉そうにうんちくを垂れる、ちょっとイタイだけの男と、女が男である自分の意のままにならないことはけしからぬことだと女を殺す男もグラデーションであるというこの本の結論に衝撃を受けた。ずるずる悪化していくのだ。 俄かに信じられないと...
2021年8月 女が自分よりものを知らないという前提で偉そうにうんちくを垂れる、ちょっとイタイだけの男と、女が男である自分の意のままにならないことはけしからぬことだと女を殺す男もグラデーションであるというこの本の結論に衝撃を受けた。ずるずる悪化していくのだ。 俄かに信じられないと思うのは、説教したがる男たちはあまりに身近な存在だからだ。 わたしが若い頃、見知らぬ男から通りすがりに頭を叩かれたり、電車で突然怒鳴られたり、日常茶飯事だったことを思い出した。殺されはしなかったものの、現実、わたしもフェミサイドの被害者にいつでもなりえたし、こらからなりうるということである。 個人的な感覚だが、この本は『彼岸花の咲く島』と『破局』と食い合わせ?読み合わせ?がいい気がする。
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近年はSNS界隈でフェミニズム論争が目障りなレベルでうるさく、ミソジニーとかなんとかなんとかとか、もう結局みんな優位に立ちたいだけじゃん的な気持ちでいて、できる限りフェミニズムを避けていたのだけど、ひょんなことからこの本を読むことになった。 これはおもしろい。 生まれてから40年...
近年はSNS界隈でフェミニズム論争が目障りなレベルでうるさく、ミソジニーとかなんとかなんとかとか、もう結局みんな優位に立ちたいだけじゃん的な気持ちでいて、できる限りフェミニズムを避けていたのだけど、ひょんなことからこの本を読むことになった。 これはおもしろい。 生まれてから40年弱、男性をやってきた身としては、明らかに話は女性よりおっさんの方が長いし、上司のマンスプレイニングには日々閉口しており、この本には妙な共感を覚える部分もある。 まあ、自戒もあるのだけど。 しかし、男性性というのは、やはり極めて暴力的なものだと思う。当の男でさえその凶暴さを持て余すのだから。 それを認識することがまず大事なのだろう。 それから最近ではSNSのめんどくさい感じとは別に、ジェンダーの問題がLGBTQを含め、今までより健康的な形で、盛り上がっている感じもある。 今後、社会システムにおいても誰もがジェンダーという重荷を背負わなくともいい時代になればいい。
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感想はこちらに書きました。 https://www.yoiyoru.org/entry/2021/03/03/000000
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いまからたった五十年前には、厳密な意味でヘテロセクシャルでないものはみな、犯罪者か精神を病んでいるかその両方だとみなされ、厳しく罰せられた。そんな仕打ちから守ってくれるものは何もなく、むしろ法律によって迫害や排除が認められていた。 同じジェンダーに属するふたりの人間が結婚できる...
いまからたった五十年前には、厳密な意味でヘテロセクシャルでないものはみな、犯罪者か精神を病んでいるかその両方だとみなされ、厳しく罰せられた。そんな仕打ちから守ってくれるものは何もなく、むしろ法律によって迫害や排除が認められていた。 同じジェンダーに属するふたりの人間が結婚できるという考え自体、フェミニストたちが結婚をかつての上下関係のシステムから解き放ち、平等な人間同士の関係として再創造したからこそ可能になったのだ。さまざまな事柄が証明しているように、結婚の平等に脅威を感じる人たちは、同性カップル間の平等だけでなく、ヘテロセクシャルのカップルの平等という考えもおそれているのだ。
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まったくオッサンってしょうがねぇなぁ…(自分を含む)って思いながら読み始めたらなんと、説教から暴力行為、殺人にまで筆者はつなげていた。また欧米とアジア、アフリカの小国などを男女関係に例えてもいた。両方にあるのは「支配欲」だろう。こいつがこじれると殺人にまで至るのか… 女性に対し...
まったくオッサンってしょうがねぇなぁ…(自分を含む)って思いながら読み始めたらなんと、説教から暴力行為、殺人にまで筆者はつなげていた。また欧米とアジア、アフリカの小国などを男女関係に例えてもいた。両方にあるのは「支配欲」だろう。こいつがこじれると殺人にまで至るのか… 女性に対してだけでなく一部の男性に対してもいだいている。自分の勝手な優位性みたいなものの恐ろしさを改めて知らされた。
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生きのびるだけでこんなに大変でなかったら、どれほどの時間とエネルギーをほかの大事なことに使えるか、考えてみてほしい。ーレベッカ・ソルトニット 女性たちは日々、戦争を経験している
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エッセイですね。サクサク読めます。 理論的に男性が説教をしたがる背景を述べるというよりは、説教したがる男を革切りにそれらがエスカレートしてレイプ事件や殺人事件DV被害につながっていく、という流れ。アメリカのレイプ事件や殺人事件を中心に記述している。 以下読書メモ >>...
エッセイですね。サクサク読めます。 理論的に男性が説教をしたがる背景を述べるというよりは、説教したがる男を革切りにそれらがエスカレートしてレイプ事件や殺人事件DV被害につながっていく、という流れ。アメリカのレイプ事件や殺人事件を中心に記述している。 以下読書メモ >> ・15歳から44歳までの女性が男性の暴力によってなくなったり障害を負ったりする確率は、マラリアと戦争と交通事故によるものの合計よりはるかに高い。 ・結婚によって、夫と妻は法律上ひとりの人間になる。つまり女性の存在そのもの、もしくは女性の法律上の存在は、結婚が継続する間は保留となるか、少なくとも夫の存在に組み入れられ、統合されるのである。夫の庇護のもと、覆われるようにして守られた状態で、妻はあらゆることを執り行う。それゆえ我々が使う法律用のフランス語では、既婚女性を「覆われた女性(ファム・コベール)」と呼ぶ。また女性は、貴族や君主のような上位者である夫の保護と影響のもとにある。そうした既婚女性の状態を「覆い(クーベルチュール)」ともいう。こうした理由から、男性は妻にはなにも譲渡することはできないし、契約を結ぶこともできない。譲渡という行為は、妻が独立した存在であることを前提としているからである。 ・産業革命以前は糸を紡ぎ布を織るのは女性の仕事だった。その作業からの連想で、昔話の中では女は蜘蛛と結び付けられ、蜘蛛には女性的な性格が与えられてきた。 ・ヒステリーはギリシャ語の子宮に由来する。極端に感情的な状態は子宮が動き回ることで引き起こされるとかつては考えられていた。 ・フェミニズムは今までも現在も、名付け、定義し、発話し、話を聞いてもらうための戦い ・問題は男性たちがよく言う「俺個人のせいじゃない」という言葉や、傍観者の男性が居心地悪く感じなくてもいいように、実際にそこにある遺体や被害者等から、そして犯人自身から話題を逸らすそのやり方にあるのだ #女はみんなそう(#YESAllWOMEN) フェミニズムについてツイートするたびに脅迫とか変態リプがくる。言いたいことを言うのがこわいなんておかしい。 #女はみんなそう 女性の身に起きてることに対してより、このハッシュタグに対して怒ってる男の方が多いわけだが。 #女はみんなそう 親切にしすぎれば誘ってることになり、塩対応すれば暴力をふるわれかねない。どっちにしろクソ女認定。
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国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→ https://winet.nwec.jp/bunken/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=BB11422379&opkey...
国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→ https://winet.nwec.jp/bunken/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=BB11422379&opkey=B160887247623526&start=1&totalnum=4&listnum=0&place=&list_disp=100&list_sort=0&cmode=0&chk_st=0&check=0000
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現代のフェミニズムについて ウルフの自分ひとりの部屋を読んだあと、こちらを読むとたしかに100年でかなりフェミニズムは前進していると事実を知ったが、実際にこの30年生きてきて女性特有の生きづらさは当たり前のように日々感じているので、やっぱりまだ闘いの途中なのだと実感。感覚的なこと...
現代のフェミニズムについて ウルフの自分ひとりの部屋を読んだあと、こちらを読むとたしかに100年でかなりフェミニズムは前進していると事実を知ったが、実際にこの30年生きてきて女性特有の生きづらさは当たり前のように日々感じているので、やっぱりまだ闘いの途中なのだと実感。感覚的なことを言葉にしてくれた。当たり前のことだと思ってたことをおかしいって言っていいんだよって背中を押された気持ち。 気に入ったフレーズ 未来は暗い それが最良 ネガティブケイパビリティ ジョンキーツ 不確かさや謎、疑念とともにあること パンドラの箱 精霊はランプには戻らない
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