わたしたちが火の中で失くしたもの の商品レビュー
アルゼンチンを舞台にしたホラー短編集。異国情緒たっぷり、そしてすこしシュールな心持ちの作品です。 お気に入りは「蜘蛛の巣」。案外とホラーにありがちな超常現象や心霊現象めいたものは起こりません。だけど、というかだからこそ余計に恐怖を感じさせられる作品でした。もっとも女性側の目線から...
アルゼンチンを舞台にしたホラー短編集。異国情緒たっぷり、そしてすこしシュールな心持ちの作品です。 お気に入りは「蜘蛛の巣」。案外とホラーにありがちな超常現象や心霊現象めいたものは起こりません。だけど、というかだからこそ余計に恐怖を感じさせられる作品でした。もっとも女性側の目線から見ると、これは怖いというよりもむしろすっきりしてしまうんですけどね。抑圧された現状に甘んじているほうが苦痛だし恐怖。 「学年末」も嫌な感じの作品。じわっとした恐怖、というよりもひたすらに嫌な感じが付きまといます。細かな部分があまり語られないというのも嫌だなあ。
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アルゼンチンの貧困や性暴力や政治腐敗による社会格差が話の背景としてあり、そこに幽霊や呪いといったホラーの要素を加味しているのが特徴、というのはわかる。でも正直文体が合わず読むのに苦労した。同作者の『寝煙草の危険』ではさほど違和感は感じなかったのでおそらく訳の問題なんだと思う。読み...
アルゼンチンの貧困や性暴力や政治腐敗による社会格差が話の背景としてあり、そこに幽霊や呪いといったホラーの要素を加味しているのが特徴、というのはわかる。でも正直文体が合わず読むのに苦労した。同作者の『寝煙草の危険』ではさほど違和感は感じなかったのでおそらく訳の問題なんだと思う。読みながら、こんなに文体に違和感を覚えるってことはそれ自体に仕掛けがあるか、あるいはその”ズレ”は怖さを演出するため意図的に行われたものなのかも、と考えたけど、やっぱり自分の好みの問題が大きいのかも。わからん。とか言いつつ、一番最初に収録された『汚い子』は良かった。すぐ近くにある理不尽な暴力が薄暗さを押し出した筆致からにじみ出ていて。
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南米の物語を読むといつも、赤茶けた、熱をはらんだ空気の中にいるような気がしてしまう。現実と非現実の境目が曖昧な物語に幻惑される。 かてて加えてこの物語は、混沌の不気味をぼとぼととこぼしていくので、足元が覚束なくなる。 という旅ができる本。
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好きな作家さんがオススメしていたので読んだ。 現実のグロテスクさと現実みのないナニモノかの恐怖が混じりあって読了後もしばらく影響される話が多かった。アルゼンチンの治安とクトゥルフ的得体の知れなさを同時に知ることができるような、そんな感じ。 作者さんの他の作品も早く翻訳されると嬉し...
好きな作家さんがオススメしていたので読んだ。 現実のグロテスクさと現実みのないナニモノかの恐怖が混じりあって読了後もしばらく影響される話が多かった。アルゼンチンの治安とクトゥルフ的得体の知れなさを同時に知ることができるような、そんな感じ。 作者さんの他の作品も早く翻訳されると嬉しい
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かなりひりつく読後感。アルゼンチンの女性作家で政治色は皆無な作品だが、生活の底辺から国の悲惨さを訴えるという。最初はもっとドライでシニカルな感じかと思ったらかなりえぐい描写にしんどくなった。その悲惨な状況に幼児、子供が関わり、語り手というのか主人公は女性が多く、結果、やっぱり何一...
かなりひりつく読後感。アルゼンチンの女性作家で政治色は皆無な作品だが、生活の底辺から国の悲惨さを訴えるという。最初はもっとドライでシニカルな感じかと思ったらかなりえぐい描写にしんどくなった。その悲惨な状況に幼児、子供が関わり、語り手というのか主人公は女性が多く、結果、やっぱり何一つ救えませんでした、という話が多く。創作してるんだろうけど、国の情勢というのが、ここまで悲惨さに満ちてるのかと思うと、ほんとどうしたらいいんだろう、って感じ。綺麗ごとでなく、リアルな汚いごと。コーヒーの搾りかすのような日常。
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邦訳されるのは珍しい、南米のホラー短編集。 南米でホラーというと咄嗟に思い浮かばないのだが、ボルヘスともプイグとも違った作風で、それでいて英国伝統の怪奇小説とも、米国のホラーとも違っている。しかし生々しさというか、一種グロテスクなところは南米文学のメインストリームを思わせる……と...
邦訳されるのは珍しい、南米のホラー短編集。 南米でホラーというと咄嗟に思い浮かばないのだが、ボルヘスともプイグとも違った作風で、それでいて英国伝統の怪奇小説とも、米国のホラーとも違っている。しかし生々しさというか、一種グロテスクなところは南米文学のメインストリームを思わせる……という不思議な作風の作家だった。現地の状況はよく解らないが、欧米諸国ではかなり知られている作家みたいなので、他の本も邦訳されて欲しい。
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