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夜の側に立つ の商品レビュー

3.6

29件のお客様レビュー

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2021/06/15

高校の同級生の男女5人の儚くも切なく残酷な青春小説。高校3年の春に突如バンドを組むことになった5人。日夜練習に励み文化祭のステージに立つ。そして、卒業後それぞれの道を歩み、20代、30代、40代をリーダーの野本了治の視点で悶々と描かれる。あの時こうしておけばよかったとか、後悔の念...

高校の同級生の男女5人の儚くも切なく残酷な青春小説。高校3年の春に突如バンドを組むことになった5人。日夜練習に励み文化祭のステージに立つ。そして、卒業後それぞれの道を歩み、20代、30代、40代をリーダーの野本了治の視点で悶々と描かれる。あの時こうしておけばよかったとか、後悔の念やその時々の感情が悲しく感じた。冒頭での壮介の事故、その真相ではないが了治の心理に疑問を持った。5人は「60歳になったら本気でバンドをやろう」と誓ったはずじゃないかと叫びたくなった。誰もが人生を振り返れば持つ後悔、一気読みした。

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2020/12/24

句点、読点で細かく区切る文体、タイトルに年を書いて時系列を整理しているところなど、読みやすかった。 読み進めると、情報がアップデートされ、歴史となって物語に厚みが出るようになっていた。

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2020/10/22

10月-21。3.0点。 バーベキュー中の事故で、親友を亡くした主人公。高校時代からの友人たちとの関係を振り返っていく。 この作者にしては珍しく、暗い感じの読み出し。事故に至るまで、どこか転換点はなかったのか探っていく感じ。 読ませるセリフ運びはいつも通り。

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2020/09/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

これはなぜ見るとになったのだろうと思ったら、北上次郎の推薦でした。彼らしい。大学時代から40代までの群像もので、文化祭のバンド演奏に恋愛模様、卒業後の仕事のあれこれ、結婚話、ボートでの事故と俯瞰した人生をうまく描写している。センテンスが短いのが特徴で読みやすい。 そこまで認めた上でどこか刺さってこないのは、主人公があまりに謙虚すぎて、マドンナから求愛されても、自分には不似合いと断ったりするからだ。どこまで謙虚やねん というとこだ。後の展開もそれなりに起伏に富んでいるが、掴んで離さないというところにまで達していない。 北上次郎2018年6位

Posted byブクログ

2020/06/20

10代で出会った自分よりイケてる、スターな仲間たち。バンド活動。隣人との秘密。臆病で手に入れられなかった恋人。 20代、それぞれの道。 30代、友の死。もしかしたら願っていたかもしれない。 40代、本心、本当に手に入れたいもの、手放してはならないもの、罪悪感からの解放。 すれ違...

10代で出会った自分よりイケてる、スターな仲間たち。バンド活動。隣人との秘密。臆病で手に入れられなかった恋人。 20代、それぞれの道。 30代、友の死。もしかしたら願っていたかもしれない。 40代、本心、本当に手に入れたいもの、手放してはならないもの、罪悪感からの解放。 すれ違いが切なくて、たぶん壮介は了治に敵わないと思っていたのだろう。 そして了治は壮介にかなわないと。 比べなくても、君香はちゃんと気づいていたのに。 時間もかかったし、スッキリハッピーではないけれど、リアルってこんなかも。

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2020/02/26

目の前で友人が亡くなってしまったら、ずーっと気になって仕方がないよな。 その気持ち悪さがずーっと続くなんて。

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2020/01/15

日経夕刊で北上次郎が推奨してた全く初めての著者。高校3年の文化祭に向けてバンドを組むところから始まり、5人のメンバーのら成長に合わせて友情や恋愛、仕事がいろいろ絡んだり絡まらなかったり、40歳までの軌跡を描く。 主人公の野本了治の雰囲気(家族含む)とか団地の近くにある高校とか、母...

日経夕刊で北上次郎が推奨してた全く初めての著者。高校3年の文化祭に向けてバンドを組むところから始まり、5人のメンバーのら成長に合わせて友情や恋愛、仕事がいろいろ絡んだり絡まらなかったり、40歳までの軌跡を描く。 主人公の野本了治の雰囲気(家族含む)とか団地の近くにある高校とか、母校の都立高校(特徴のない当時の新設校)を思い出させる。主人公含めて人物造形には深みを感じないけど、それが逆にリアリティを出してるかな。 ストーリー展開と時間軸をバラバラに並べてる構成はとても効果的。先が気になって、どんどん読み進める。 主人公の家族が仲良すぎて気持ち悪かったり、隣の奥さんとのエピソード(けっこう強烈)の後始末の仕方など気になる部分もあるけど。野本了治バンドの演奏や蓮見計作(飜る蛭蛙=ひるがえるひるがえる)の音楽がもっと魅力的に聴こえてくればいいのにな。 スーパースター壮介のダークな側面と呼応するようなラストは見事な着地。他の著作も読んでみたくなるな。

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2019/12/17

続けて読んだ小野寺さん、似た様な主人公だけど、今回も又引き寄せられグイグイ読まされてしまいました。 小野寺さんは、いちばん書きたかったことはと質問されたら、『夜の側に立つ』は、なが~い青春、のおわり、ではなくて、なが~い、青春のおわり、を描いたと話しています。インタビューの微妙な...

続けて読んだ小野寺さん、似た様な主人公だけど、今回も又引き寄せられグイグイ読まされてしまいました。 小野寺さんは、いちばん書きたかったことはと質問されたら、『夜の側に立つ』は、なが~い青春、のおわり、ではなくて、なが~い、青春のおわり、を描いたと話しています。インタビューの微妙な答えに戸惑いながら、私なりの感想を残します。 了治は、長い時間をかけて、残酷にして誠実な青春の残滓を飲み干し卒業していったのではないかしら。 高校時代のバンド仲間たちが、野本了治の目を通して、年代を行きつ戻りつしながら40代まで描かれています。了治は自意識過剰気味な若者ー、自己評価が低いのは隣人との奥さんとの初体験も影響していると思われました。了治は高校3年生で(家族が留守で鍵を持っていなかった)隣の奥さんに家で雨宿りをしたらと誘われあれよあれよてなことになってしまった。いわば了治はセクシャルハラスメントを受けたのでした。後々に了治の母親が亡くなり、彼女が父の再婚相手となる衝撃的な展開となりますが、彼女はそのことを父親に言うべきかと了治に相談、そこで彼女は合意の上だったような言い分けめいた説明! 夫が浮気やDVDを繰り返していて精神状態がおかしかったとはいえ、相手は未成年者だったんだぞ。さらりと描かれているだけに許せません。好きだった君香に告られて嬉しいのに、了治は自分が薄汚れていると思って拒むのです。それがなかったら、君香との恋はもっとスムーズに行き、君香と壮介の結婚もなかったのでは? 了治がその後に会う女たちとのもめ事も回避されたような気もする。 うまくいかない人生ー。 紆余曲折あり、了治はやっと青春の残滓から卒業できてほっとしました。人は誰でも「夜」の部分を持ち合わせ、「昼」の陽とやりくりしながら生きていて、それを許し合いながら生きているのでしょう。不運なボート事故、一瞬了治の心に殺意がよぎったのが「夜の側に立った」ということかも?! お坊さんのような風貌の小野寺さんを見て、若いのに達観されているようにも感じます。しばらくは小野寺さんの作品はお休みします。

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2019/07/30

高校時代にバンドを組んでいた5人の仲間たち。40歳のある日、仲間たちは集まり、事故で壮介は死亡する、 常にスターだった仲間たちに囲まれた主人公の了治の心情を時間軸を過去と未来を往き来しながら、描いていく。 うまく立ち回れない若い頃のもどかしさ、せつなさがそこにはある。

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2019/07/20

私も30年くらい昔、王子駅で線路に落ちた人を助ける為に線路に降りたことがあった。 もっとも『前の駅を出ました』という警告灯を確認してからのセコいダイビングだったけれど…(笑)。 そのあとその方がどうなったのかの報告もなかったし、それを機に駅職員になった事もなく(笑)、その件...

私も30年くらい昔、王子駅で線路に落ちた人を助ける為に線路に降りたことがあった。 もっとも『前の駅を出ました』という警告灯を確認してからのセコいダイビングだったけれど…(笑)。 そのあとその方がどうなったのかの報告もなかったし、それを機に駅職員になった事もなく(笑)、その件で特に表彰されるようなことも無かった。 まぁ、別にそんなものはあの時の私に考える余裕はなかったけど、でも頭の中は至って冷静で、側にいたカップルの男性に協力をもとめたり、女性には駅員を呼びに行って貰ったりと緊急時にも関わらず、充分に生還の勝算はあった。 ただ自分の子供が同じシチュエーションになった際には線路に降りないで済む対応をして欲しいのも本音。 ちなみにその時線路に降りた途端、くだんの警告灯が点灯したのには少しビビった(笑)。 さて、線路だけに長い脱線はここまでで…。 物語は前半、世代は変わってもただただ被害者タイプの主人公の目線で進んでゆく。 無意識に自分が何をするかでは無く、何をされたかに主眼を置いて生きてしまう人。 結果的には未遂に終わるけれど、そういうタイプの人が何かのきっかけで急激に能動的になると至極極端な行動に出てしまうと言う、私や貴方はネガティヴかポジティブかを問うお話に思えた。 『ひと』と同じ文脈で進んでゆくものの、その実全く逆のベクトルの小説だった。 でも主人公は決して悪人ではない! 結びに この小野寺さんという方、遅咲きかも知れないけれど近い将来、文壇を席巻される様な寵児になり得ると思います。 今のインチキ臭い大御所たちより、よっぽど丁寧に作品に向き合っている。

Posted byブクログ