日傘を差す女 の商品レビュー
この作者はもっと心に寄り添った丁寧な描き方をする人と思ってたけど、滅多に無い刑事物はストーリーもつながりに欠け、文体も丁寧さを感じない。読むのに疲れた。
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初読み作家さん。 鯨の砲手として伝説の名人とまで言われた老人が、永田町のビルの屋上で鯨用の銛に刺されて死んでいるのが発見されるという、センセーショナルな幕開け。 その後同じように銛で刺殺された男が発見され、ますます事件は面白くなりつつあったのだが。 この先は好みによるのだろうが、太地町の鯨漁やその土地柄について掘り下げてくれるのかと思っていたら、話はどんどん離れていったのが残念。 政治や花柳界のありがちな裏側かー、と思いながら読み進めたが、最後はまた違う方向へ。 動機は悪くないけれど、何しろハウダニットの部分が雑で残念だった。 真犯人もそうだし、結局『若い女二人』の目撃談は何だったんだろう。 また主人公の刑事が高校生の頃に芸妓と付き合っていたというエピソードもいくら小説とはいえ現実的ではなく入り込めなかった。 警察関係の人物が多いうえに何のために出したのか分からない人物もいたり、様々な要素がありつつもとっ散らかったままな感じがあったり、色々勿体ない作品だった。
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ミステリー? 最後まで引き込まれることなく、つながりや意味も響かなかった。 伊集院さんの作品でこういった思いは初めてなので残念。
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著者には珍しい推理小説。 捕鯨の名砲手、稲本は他殺か自殺か、そこからの連続殺人。で、稲本の過去の恋人の正体が(青森から上京して芸者になる)明らかになり、その謎の死が事件の発端になるんだけど、犯人は意外にも最初に出てきたカイト(凧)の少年だった。それも日傘を差す女、稲本と恋人の菊子との間にできた娘に恋した幼馴染み少年の仕業だったとはね…。 稲本は結局、少年をかばっての自殺だった。悲しい…
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哀切な雰囲気が漂う社会派ミステリ。一見自殺に思えた事件、しかしその後も同じ手口で続く殺人事件。その謎を追いながら、過去の秘められた物語にじわじわと迫るさまがとても心情に働きかける読み心地です。 捕鯨船の伝説の砲手、というのが、あまり馴染みはないのだけれど。なんだかとてもカッコよく...
哀切な雰囲気が漂う社会派ミステリ。一見自殺に思えた事件、しかしその後も同じ手口で続く殺人事件。その謎を追いながら、過去の秘められた物語にじわじわと迫るさまがとても心情に働きかける読み心地です。 捕鯨船の伝説の砲手、というのが、あまり馴染みはないのだけれど。なんだかとてもカッコよく思えて。そして最後にわかる彼の死の真相も、悲しいながらとてもカッコいいのです。やりきれない部分は残るけれど、なんだか清々しくも思えて印象的でした。
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伊集院静氏の社会派ではあるが、推理小説ということで 非常にたのしみにして読みました。 ただ、ちょっと読みづらく、なかなか進まない感じ でした。後半はだんだん引き込まれる感じがありましたが 最後はなんとなく、消化不良というか結局のところ 何かよくわからない感じになりました。 自分に...
伊集院静氏の社会派ではあるが、推理小説ということで 非常にたのしみにして読みました。 ただ、ちょっと読みづらく、なかなか進まない感じ でした。後半はだんだん引き込まれる感じがありましたが 最後はなんとなく、消化不良というか結局のところ 何かよくわからない感じになりました。 自分には、少し残念でした。
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「伊集院静の久しぶりの社会派推理小説」という言葉に期待して手に取った作品。 赤坂のビルの屋上で発見された、銛が腹に刺さった男の死体。男は和歌山県太地町に住む捕鯨船の伝説の砲手だった。他殺の決めてもなく自殺として片付けられようとしていた時、酷似した凶器で殺害された遺体が次々と発見される。警視庁捜査一課の刑事・草刈と立石が和歌山、青森、赤坂、浅草で地道な捜査をしていく中で明らかになっていく哀しい真相とは。 海に迫る山、農耕地のない中で生活の糧を鯨漁に求めるしかなかった和歌山・太地町の人々、切り立った崖と海に挟まれ、ささやかな昆布漁しか糧がなく出稼ぎに活路を求めた青森・三厩村の女たち、場所は違えどそれぞれの悲哀が叙情的な言葉で丁寧に紡がれる。 赤坂という町の懐の深さ。花柳界の女たちの哀しさ。鯨漁が全盛期だった頃、太地町と三厩村の男と女が出会った時、殺人事件の萌芽が芽生えていたのか。 男たちの事情、女たちの悲哀、それを追う刑事自身の捨てきれない過去、それらが叙情的に描かれていくのがたまらなく心地よいのだが、謎の女、政治家、ヤクザ、フィクサー的な男など怪しい人物が次々に登場し、殺人事件と相まってここまで盛大にばらまいた伏線をどう回収していくのかとワクワクしながら読み、もう残り少ないのにどうなるの~と思った頃、唐突に終わる。 「え?あの場面は何だったの?」「あの違和感はスルーなの?」とじたばた。最後に見事な伏線回収も鮮やかな真相解明もなく、「うん、作者はミステリー作家じゃないから・・・」と思うものの、だったらこんなに人を殺さなくてもいいのに~とか、伏線らしきものをばらまかなくてもいいのに~とか、どっちつかずの消化不良感がたまらない。 松本清張ばりの社会派推理小説とはいかないまでも、かなり期待していただけにモヤモヤ感が半端ない。 刑事の捜査を追うミステリー風にしなくても、廃れた捕鯨と寒村の出稼ぎの悲哀というテーマだけで十分ドラマは作れたのに・・・ともったいない気持ちがいっぱい。 モヤモヤする箇所が気になって、再読したくなるけれど多分読んでも解決できないだろうから、やめておきます。
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【人は別れを経験して大きくなる】Xマスに都心のビルの屋上で捕鯨船の砲手だった老人の遺体が発見。事件の鍵を握るのは「日傘を差す女」だった。伊集院文学の真骨頂。
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