いちばんやさしい美術鑑賞 の商品レビュー
前半の西洋美術に関する記述は、雑誌の記事のようで、他書を紐解いた方が良い。 後半の日本美術は、著者の思い入れが深いように思う。やさしくはないが、引き込まれる部分もある。最後の池永康晟は良い。 ・カラーバス効果 ・日本美術はわびさびだけではない ・上村松園の眉
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グエルチーノ、フェルメール、モネ、セザンヌ、ガレ、ピカソ、デュシャン、雪舟、狩野永徳、尾形光琳、伊藤若冲、曜変天目、並河靖之、上村松園、池永康晟。非常に読みやすく初心者に優しい。ちょっと見に行ってみようかなとなります。
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この本では、美術のカテゴリ(和・洋、クラシック・近現代、絵画・工芸品)ごとに代表的な、しかも国内の美術館に収蔵されていて鑑賞のハードルが比較的低いものを紹介してくれています。 美術館に行って、「これはちょっと意味がよくわからない」「こういうのは好きじゃないな」「自分でも書けそう」...
この本では、美術のカテゴリ(和・洋、クラシック・近現代、絵画・工芸品)ごとに代表的な、しかも国内の美術館に収蔵されていて鑑賞のハードルが比較的低いものを紹介してくれています。 美術館に行って、「これはちょっと意味がよくわからない」「こういうのは好きじゃないな」「自分でも書けそう」なんていう第一印象をもつことは、まぁあります。それはそれで否定されるものではないけど、こういうところを観るともっと豊かな世界が広がっていますよ、というのが本書のメッセージです。 キャプションをよく読もう、っていうアドバイスに関しては、「あ、見てもいいんだ」という安心がありました。 だって、文章ばっかり読んで、肝心の鑑賞が疎かになったり、作品から無言のメッセージを受け取れなくなるんじゃないか(もともとそれほど受け取れてはいないけど)とか、そういう心配がありましたので。ところが、まずは第一印象でいいんだけど、作家のエピソードや作品のバックグラウンドを知ることで、第一印象と違った感想がもてるようになるというのです。うん、確かにそうですよね。その上で、第一印象と比較をしてみればいいんだなあ、と。もっと前からそうしていればよかった。 ディテールをみたり全体像をみたり、つまり近づいたり遠くから眺めたり、というのも楽しみ方の一つで、筆致(タッチ)や「抜け感」も注目ポイントだといいます。 いわゆる現代アートをみたときに、「意味不明だ」と感じてしまうのは、自分の感性が貧弱だからなんじゃないか、という後ろめたさがありました。 だから、(特に現代アートは)単に観るものではなく、「考えるもの」「解釈するもの」だ、そしてそれは「格闘だ」というのには救われる思いがしました。(芸術をその域に押し上げたのは、デュシャンだそうです) さて、私は本書と同時に、若林恵さんの『さよなら未来』(岩波書店)を読んでいたのですが、その中で、 “写真に限らずアートというものが同時代の最もアクチュアルな批評であるという認識は、どうして日本では一向に広まらないのだろう。(略)「アートはビジネスマンの教養である」(略)とほほ。アートってそういうことじゃないと思うんだけどなあ” という箇所があって、こと現代においてはまさにそうなのかもしれないな、と思いました。 でも必ずしもそうとは限りませんけどね。アートが批評のためだけに存在しているわけじゃないから。だって、美しいと思ったものを自分の内面で濾して、より美しいものに昇華して表現しよう、っていう芸術的志向だってあるはずだし、そのときには批評なんて狙いはどこにもないと思うので。 とにかく、この本で私にとっての一番の収穫は「分からないこと」が肯定されたような気がしたことです。 分からないことは調べればいいし、その情報を頼りに考えればいいのです。第一印象でなにもかも感じ取れる必要はないし、芸術家もそんなことを望んでるわけじゃないかもしれないのだから。
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15点の作品を丁寧に解説した好著だ.西洋絵画については、様々な解説書を読んだ記憶があり、本書も大同小異だったが、日本画についての説明は秀逸.水墨画、狩野派、若冲など素晴らしい視点による解説は非常に楽しめた.
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※このレビューにはネタバレを含みます
たとえ何千年前に人間が作りだした世界文化遺産であっても同じ人間の手により破壊されてしまう悲しい世の中です。しかし大震災によって甚大な被害を被った絵画作品の展覧会をつうじ、多くの人々に感動を与えるまさに文化的な活動をしているのも同じ人間です。この作品の前に立つと、そうした人間の善悪の「歴史」や「物語」が一斉に語りかけてくるはずです。(p.28)(グエルチーノ「ゴリアテの首を持つダヴィデ」) 日常の台所風景のひとコマが描かれているだけの「牛乳を注ぐ女」を前に、この絵のどこがそんなにすごいのか?と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、そこにあるのは引き算の美学なのです。余計な情報をそぎ落とし最少限度の事柄で最大限の美しさを発揮させる。引き算の美学、最小限の事柄で最大限の美しさを発揮するーこれってどこかで聞いたことがありませんか?そう、これは素材を生かしたシンプルな和食の美学です。フェルメールの作品は、日本的な感性の世界に通じるものがあるのです。(pp.41-42)
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著名な人物を紹介しながら美術鑑賞の方法について語ってくれているので美術に疎い私でも理解しやすかった。 この本を読んで作品を見れば見え方が変わっていくだろう。
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これは楽しい一冊。とりあげる作品も国内で鑑賞可能な作品に設定しているので、タイミングさえ合えば直ぐ観に行ける。16の作品を例にバロックから現代まで、洋画、日本画、工芸作品までバランスもいい。 残念なのはカラー判でないこと(巻頭に8pだけ口絵があるけどさ)。コストの問題なんだろうけ...
これは楽しい一冊。とりあげる作品も国内で鑑賞可能な作品に設定しているので、タイミングさえ合えば直ぐ観に行ける。16の作品を例にバロックから現代まで、洋画、日本画、工芸作品までバランスもいい。 残念なのはカラー判でないこと(巻頭に8pだけ口絵があるけどさ)。コストの問題なんだろうけど4Cで出してほしかった。絵は知っていたけど池永康晟さんの作品をはじめて認識したのは大収穫。一度ホンモノを観に行かなくちゃね。 それと、三の丸尚蔵館に動植綵絵のポストカードを買いに行こうかな。
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美術鑑賞は苦手で何がすごいのかよくわからないのだが、こういう本を読むと楽しみ方が増えて素直に嬉しい。時代や宗教との関係などがわかればより理解が深まるだろうし「プロの解説」を読むのも勉強になるんだろうけど、もっと気軽に、「宗教画は背景をみよ」とか、「美人画は眉を比較」とか、いろいろ...
美術鑑賞は苦手で何がすごいのかよくわからないのだが、こういう本を読むと楽しみ方が増えて素直に嬉しい。時代や宗教との関係などがわかればより理解が深まるだろうし「プロの解説」を読むのも勉強になるんだろうけど、もっと気軽に、「宗教画は背景をみよ」とか、「美人画は眉を比較」とか、いろいろな楽しみ方があるとわかった。現代アートも「解釈力が問われている」と思うと、その挑戦を受けて立とうといいう気で楽しめるかも。
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※このレビューにはネタバレを含みます
<目次> はじめに ≪西洋美術を観る≫ 第1章 聞いたこともない画家の作品を鑑賞する時は ~グエルチーノ「ゴリアテの首を持つダヴィデ」 第2章 フェルメールは何がすごいのか? ~フェルメール「聖プラクセディス」 第3章 作品の世界に溺れて観てみよう! ~モネ「睡蓮」 第4章 なぜセザンヌは「近代絵画の父」なのか? ~セザンヌ「サント=ヴィクトワール山とシャトー=ノワール」 第5章 使う場面を想像しながら観る ~ガレ「蜻蛉文脚付杯」 第6章 これが名画?はい、そうです! ~ピカソ「花売り」 第7章 美術鑑賞は格闘技だ! ~デュシャン「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」 ≪日本美術を観る≫ 第8章 水墨画を味わうために ~雪舟「秋冬山水図(冬図)」 第9章 教科書に出ている狩野派の味わい方 ~狩野永徳「檜図屏風」 第10章 デザインを語るなら観るべし ~尾形光琳「燕子花図屏風」 第11章 「なぜその作品を作ったか」を観る ~伊藤若冲「動植綵絵」 第12章 観られない作品ほど観たい ~「曜変天目」(静嘉堂文庫美術館蔵)」 第13章 今、話題の超絶技巧に驚く! ~並河靖之「藤花菊唐草文飾壺」 第14章 女性ならではの美の表現とは? ~上村松園「新蛍」 第15章 同時代のアーティストを応援しよう ~池永康晟「糖菓子店の娘・愛美」 <内容> アマチュアの美術鑑賞家(そんな分類はあるか?)の「青い日記帳」さんの美術鑑賞のガイドブック。ポイントは「プロ」ではないということ。あくまでも趣味で美術館巡りをし、さまざまな作品を観てきた人なので、プロのようなテクニックやその画家、作家のプロフィールなどを濃く語るのではなく(と言っても、相当に勉強されている方ですが…)、その語り口が優しく、ポイントを絞って教えてくれる本です。私は西洋美術はあまり興味がないのですが、日本美術に関する章で、天目茶碗の章や上村松園などについては、もう少し観てみたいな、と感じました。
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