赤道 星降る夜 の商品レビュー
多額の借金を背負い企業に追い詰められ、自殺を図った達希。幽霊の祖父、勉に助けられる。借金の肩代わりをしてもらうことになった達希は、祖父と一緒にボルネオに人探しに行くことになった。 現代と終戦間近の昭和17年のボルネオ=カリマンタンが交互に書かれ、人探しとある事件が明らかになる。 ...
多額の借金を背負い企業に追い詰められ、自殺を図った達希。幽霊の祖父、勉に助けられる。借金の肩代わりをしてもらうことになった達希は、祖父と一緒にボルネオに人探しに行くことになった。 現代と終戦間近の昭和17年のボルネオ=カリマンタンが交互に書かれ、人探しとある事件が明らかになる。 企業内競争に疲れ自殺を図る達希。生きていた頃は苦手な相手の祖父.勉とボルネオで会った雪音の3人が人探しをしながら「自分が何を求めているのか」も探していく。達希は会社から守られず、勉は国や軍から守らなかったんだよね。だからこそ、「この国の偉い人間たちが、昔からやってきたことだ。」に繋がる。「つまらない理屈をこねている暇があったら、自分をはめた上司を相手取ることを考えろ。」p112と達希に伝える。勉が関わった事件も軍から命令されたこと。だけど達希よりも重いと思う。人探しが終わって達希や雪音も色んな世界や考えがあると気がついて良かった。
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反戦小説。 解説者の堀口ミイナさんも書いていたが、涙する人が多いというが泣けなかった。涙を流してよしとしてはいけない、目をしっかと開いて受け止めねばならないと感じたから。 読み進めるのが辛くてやめたくなるシーンもあった。 夫妻は、死ぬべき人ではなかった。死ななくていい人たちが殺さ...
反戦小説。 解説者の堀口ミイナさんも書いていたが、涙する人が多いというが泣けなかった。涙を流してよしとしてはいけない、目をしっかと開いて受け止めねばならないと感じたから。 読み進めるのが辛くてやめたくなるシーンもあった。 夫妻は、死ぬべき人ではなかった。死ななくていい人たちが殺された。敵も味方も。そしてのうのうと生き延びた人もいた。 繰り返さぬよう、知らなければならない。忘れてはならない。考え続け、行動しなければならない大事なことがある。 読めてよかった。
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前情報も無く「古内作品」として読み始めました。 目を逸らしたくなる様な戦時中の描写がリアルに描かれ、読み進むのに時間がかかりましたが、その先にある「伝えたい事」を伝えようとする物語の力に導かれて最後までしっかりと読ませていただきました。
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戦時下における極限の環境とその記憶に縛られて生きていかねばならなかった祖父の軌跡を、ブラックな職場で追い込まれ飛び降りた孫が辿る軌跡。読み応えのある小説だった。
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太平洋戦争末期、この作品の舞台となったボルネオのみならず悲惨なことが多々あったのだろう。今を生きるブラック企業に追い詰められた若者やイジメにあった女子高校生が太平洋戦争に深く関与していく流れが素晴らしい。
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悲惨な戦争物は敬遠しがちだけど、読んでしまったら止まらなくなった。 目を背けたくなるような凄惨な描写もあったけれど、それよりもインドネシアの人々の憎むより、許すことを選んだことに、その尊さに涙した。 そう、目の前の状況は変わらなくても、私たちの態度、心持ちはいつでも選ぶことがで...
悲惨な戦争物は敬遠しがちだけど、読んでしまったら止まらなくなった。 目を背けたくなるような凄惨な描写もあったけれど、それよりもインドネシアの人々の憎むより、許すことを選んだことに、その尊さに涙した。 そう、目の前の状況は変わらなくても、私たちの態度、心持ちはいつでも選ぶことができる。 こんな事件があったことなど学校では習わなかったけれど、戦争を知らない私たち日本人も歴史に学び、忘れずに後世に戦争の悲惨さ、無意味さを伝えていかなければいけないんだよなぁ、と思った。 読んで本当によかった。
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え、なんかすごく良かった。 また読み返したいと思った一冊。 戦争の悲劇さ。会社でのイジメによる辛さ、友達とうまく行かない辛さ、どれも死にたいほど辛くなるし自殺する理由になる社会。 でも主人公は亡くなった祖父との再会によって、命の尊さや生きることについて前を向く。 読み終わった...
え、なんかすごく良かった。 また読み返したいと思った一冊。 戦争の悲劇さ。会社でのイジメによる辛さ、友達とうまく行かない辛さ、どれも死にたいほど辛くなるし自殺する理由になる社会。 でも主人公は亡くなった祖父との再会によって、命の尊さや生きることについて前を向く。 読み終わった後、なぜか心が温かくなる。 そんな本でした。 ホント良かったよー
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※このレビューにはネタバレを含みます
軍隊、体育会系、ブラック企業…。どうしてこういうものを尊がる、ありがたがる傾向があるんだろうか?俺も若いころ、そんな気があったことは否めないのでエラそうなことは言えないけど。 根性論は人に押し付けるものではなく、自分の中で密かに燃やすものであって、人には技術や工夫を情報共有すればそれで十分だと思うのだが… 閑話休題。 押し付けの根性論やヤマト魂やらが生んできた不幸を、もっと真摯に見直して、もう二度とこの手の失敗を繰り返さないようにしないといけない。 この本は、その再発防止に大きな力となってくれるように思う。なんだか物騒な世の中になってきているからこそ、気を付けておきたいことが、この本には書いてある。 小説としては、ちょっと荒っぽさが目立つところもあったが、テーマの力で読ませられた。
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古内一絵さんの作品、「快晴フライング」「風の向こうへ駆け抜けろ」「蒼のファンファーレ」に続く4冊目は、「赤道星降る夜」、2018.8発行(文庫)、2015.7刊行の「痛みの道標」の改題です。綿密な取材をもとにしたノンフィクションともとれる小説と思います。感動しました。戦争とは何か...
古内一絵さんの作品、「快晴フライング」「風の向こうへ駆け抜けろ」「蒼のファンファーレ」に続く4冊目は、「赤道星降る夜」、2018.8発行(文庫)、2015.7刊行の「痛みの道標」の改題です。綿密な取材をもとにしたノンフィクションともとれる小説と思います。感動しました。戦争とは何か、戦争の悲惨さ・残酷さ、命の大切さを説きながら、一方で時空を超えた人間の心と心のつながりを。読後感がなぜかさわやかなのは、著者の筆力、そして著者の人間性によるものと、そう思います。心にいつまでも残る本になると思います。
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2019/2/13 あー戦争は嫌だわ。ダメだわ。 反戦小説として優秀。 こんな余裕のない状況になってはいけないわ。 追いつめられるのは嫌だわ。 でも逃れ方が全然わからないわ。 どこでどうすればよかったか全く思いつかず、みんなが奈落に落ちていくのをただ見ているだけで無力感に苛まれるわ。 日本人として罪悪感にも。 どうすればいいのかねぇ。 知るだけでいいのでしょうか?
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