利休にたずねよ の商品レビュー
千利休の茶道における侘び寂びへの美しさへの追求。その結末としての秀吉の命による切腹。 利休が歩んで来た人生を 時間を遡りながら、関わりを持った人達との言動から、描きあげる。 なぜか、文春文庫で登録されている方が少ないけれど 高評価が納得の作品でした。こちらの文庫には、浅田次郎さん...
千利休の茶道における侘び寂びへの美しさへの追求。その結末としての秀吉の命による切腹。 利休が歩んで来た人生を 時間を遡りながら、関わりを持った人達との言動から、描きあげる。 なぜか、文春文庫で登録されている方が少ないけれど 高評価が納得の作品でした。こちらの文庫には、浅田次郎さんとの特別対談が収録されています。 茶道は、本当に男性の社会だったのだなと思った。今の茶道界は、男性は20%程らしいけれど、それでもトップは、男性が占めているらしい。 茶席の出来一つで状勢が変わってしまう。使う道具、軸物、生花と全て本物を知った上で、自分の求める形を追求する。 「白い手」の章が、印象的だった。掌に媚びない茶碗。高麗の女人の爪を見て焼き上げた茶碗。 利休の気持ちが書かれているところは少ないと思う。19歳の時の高麗の女人との一件と、この白い手あたりが、率直な気持ちかしら。 利休亡きあと、後妻の女性が、高麗の女の形見の香合を叩き割るラストが好き。
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切腹の場面から始まり 何ヶ月前 何年前と 遡って利休という人物が 色んな人の目線から描かれていく。 切腹、ということがわかっているから どうつながっていくのか気になりながら読む。 白い手、あめや長次郎の章がお気に入り。 緑釉の香合、見てみたい。
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- ネタバレ
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おもしろかった。なかなか読むのに時間がかかった。茶の湯の効能というか、なぜこの時代に茶の湯がほめそやされたのか、武士たちが好んでやったのか、ということがよくわった。 物語は、千利休の切腹を決意するシーンから始まる。老年の数寄者だからこんなにあっさりと死を受諾するのかな、と思いきや、 彼の胸にはずっと心に引っ掛かっていることがあったというのが、時を遡るごとにわかっていく。 この人のテーマは矜持だなぁと思う。 男の人のプライドよりも少し高尚な感じのする部分を描きたい人なのだと思う。 また、それと対峙する形で描かれる女性の魅力もよく、ステレオタイプ過ぎるけれど、あるひとつの主題として、それぞれの性がお互いを高めあっていくところの描き方がうまい。 全員がフェミニストでなくてもよいし、お互いに尊重しあう気持ちを持っていたら、あまり役割というのは、重大ではないのかもしれない。 それは、この著者の別の作品である花鳥の夢で『それがなんだ、私は僧侶ではない、極めるべきなのは仏の道ではない、絵の道だ』というようなことをいっていて、ある局面において、その人にとって何が大事なのか、というのは一概に言えるものではないのだな、と思った。 利休ってもともとは魚の商売人だったんだーとか、この信長~秀吉あたりの安土桃山時代の雰囲気がわかったりとか、茶の湯が政治的役割を持った背景がわかったりとか、茶道って心尽くしの道で、お茶の一杯だけでもこれだけ人の心に入り込めるものなのだなぁとか思ったりして、面白かった。 最後の種明かしは、ああ、というか、作品として納得できる筋のとおったものだったので、少し長く感じたが、読みとおしてよかった。もう一度、始めからちゃんと読みたい。
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時系列を逆にして、青年時代の利休にのちの利休を生んだ秘密があって、それが最後にわかるという構成. よく工夫したな,と感心はするものの,緊迫感はだんだんなくなってくるわけで,そこらあたりがなかなか最後まで読むのに時間がかかった理由かな.
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利休の茶の湯の場面がどれも素敵。 ご飯やお酒も茶の湯の一席なんだとは知らなかった。 お酒を一献、 お茶を一服、 同じ飲料でも数量詞が違うことで「特別」が分かる。 物でも場でも事でも、小さな気遣いに気づけるひとになりたいな。 かろかろ、っていい響き。
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初の利休もの 小難しかったらどうしようとのおもいは何処へやら面白さに惹かれた 頭の中 心の中を覗いてみたいし触れてみたい 感じ取れるならなお宜しい
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【圧巻の直木賞受賞作!】千利休が肌身離さず持っていたものとは? 美の求道者ゆえ秀吉に疎まれ切腹を命ぜられた利休の謎と秘めた恋に迫る山本文学の金字塔。
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