劉邦(一) の商品レビュー
宮城谷昌光の中国偉人ものの主役はまるでスーパーマン。成してきた業績まで失敗せず突き進む。ある意味、人間味に欠けた話ばかりだ。しかしそんなスーパーマンの事績にどっぷり浸かるのも心地よい。 今回は劉邦。まだ触り部分だが、蕭何や樊噲など漢設立の立役者も絡んで楽しい1巻だった。
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「将に将たる」者の理想としての劉邦 ・劉邦はおのれが変幻自在の兵法家になろうとは思わない。良才を擢用し、良籌を採用すればよい、とおもっている。(上巻、326) 兵の死体に語りかける劉邦について、曹参いう 「元帥は抽象世界にいないと心身がもたない。ひとりの兵は、一という数字...
「将に将たる」者の理想としての劉邦 ・劉邦はおのれが変幻自在の兵法家になろうとは思わない。良才を擢用し、良籌を採用すればよい、とおもっている。(上巻、326) 兵の死体に語りかける劉邦について、曹参いう 「元帥は抽象世界にいないと心身がもたない。ひとりの兵は、一という数字に置き換え、大小の山川も、地図の上で平らに画く。非情に徹しなければ、多くの兵を活かせない。あれは十人長や百人長のやることだ。沛公が凡将であることを知らしめることになる。 327
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『香乱記』第4巻(新潮文庫)で、劉邦陣営を度々激しく非難した作者、よってその劉邦が主人公の本編ではどのように描写するのかと大変興味があった。もしや「ピカレスク小説」ではと読み始めたが、実際の内容はいつもの宮城谷昌光タッチの穏やかな筆致だ。では、『香乱記』第4巻の執拗なまでの劉邦非...
『香乱記』第4巻(新潮文庫)で、劉邦陣営を度々激しく非難した作者、よってその劉邦が主人公の本編ではどのように描写するのかと大変興味があった。もしや「ピカレスク小説」ではと読み始めたが、実際の内容はいつもの宮城谷昌光タッチの穏やかな筆致だ。では、『香乱記』第4巻の執拗なまでの劉邦非難はいったい何だったのか? 同じ作者とは思えない作風だ。歴史小説において作品により、登場人物の評価をガラリと変えてしまうのは、御都合主義に思えて私は抵抗感がある。 単品として本作自体は面白かった。特に陳勝・呉広の乱勃発の件は相変らず血湧き肉躍ると言ってよいだろう。
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- ネタバレ
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項羽を倒すまでの話。 少し淡白すぎるかな。 劉邦が時には親分みたいな口調になり、また時には君子のような口調になり、読む方もどう感情移入すればいいか、悩むとこ。韓信の活躍ももうすこしあってもいいかな。どちらにしろ、劉邦を書くなら、もう少し時間をかけてもらいたかった。というか、宮城谷氏がわざわざメジャーな劉邦を書く必要があったのか、書くなら気合いを入れて、と思うようなないようだった。宮城谷氏は大好きだが 全4巻
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横山光輝の『項羽と劉邦』を20年以上前に読み韓信、張良、蕭何などが魅力以外に才覚の無い劉邦を支え漢王朝を立ち上げると同時に呂布以上の武力を持つが部下の一人一人に去られて敗北を喫する項羽の物語と受け止めていた。 取り敢えず第一巻は劉邦の五彩ではじまり王后諸侯いずくんぞ〜のスローガ...
横山光輝の『項羽と劉邦』を20年以上前に読み韓信、張良、蕭何などが魅力以外に才覚の無い劉邦を支え漢王朝を立ち上げると同時に呂布以上の武力を持つが部下の一人一人に去られて敗北を喫する項羽の物語と受け止めていた。 取り敢えず第一巻は劉邦の五彩ではじまり王后諸侯いずくんぞ〜のスローガンを掲げる陳勝呉広の乱で終わりとなる。 劉邦の魅力に惹かれる登場人物達の今後の挙動と今後登場するであろう覇王項羽の後輪が楽しみです! 個人的には戦国の七雄から漢の始祖劉邦即位まで歴史で詳しく教えるべきかと思う。
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項羽と劉邦の劉邦に視点をあてた小説。 人は憎む相手を失うと弱くなる。 前後の民が老若男女残らず武器をとって起ったら、どうなるか。農産と水産を行うものが一人もいなくなったら、皇帝以下すべてのものが十日以内に餓死する、それが世の中の仕組み。
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秦の始皇帝没から陳勝・呉広の乱勃発まで。劉邦に傾倒し人が集まる様子が小気味よい。退治した大蛇が消えたとか、立ち昇る気を目指して夫と再会したという超常現象はちょっと興ざめ。2018.8.16
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