フジコ・ヘミング 14歳の夏休み絵日記 の商品レビュー
今年、2024年の4月21日に92歳でその生涯を閉じた、ピアニスト、フジコ・ヘミングさんの追悼番組を観た。大好きなショパンの面影を追って、スペインのマヨルカ島を訪ねたり、コンサートを開いたり。 (初回放送は、2022年12月28日) 90歳とは思えない、力強く情熱的な演奏に驚いた...
今年、2024年の4月21日に92歳でその生涯を閉じた、ピアニスト、フジコ・ヘミングさんの追悼番組を観た。大好きなショパンの面影を追って、スペインのマヨルカ島を訪ねたり、コンサートを開いたり。 (初回放送は、2022年12月28日) 90歳とは思えない、力強く情熱的な演奏に驚いた。 いっぱい間違えちゃったわ、と言っていたけれど、そんなことは些細なことに感じられた。 この本は、そのフジコ・ヘミングさんが14歳の夏休みに書いた、水彩画の絵日記。 (日記は小学校の頃からつけていたけれど、これが一番気に入っているという。状態も良い) 日本の学校の画一的な指導に馴染めなかったフジコさんが、宿題ではなかったけれど、自分はちゃんと出来るということを示したくて先生に提出した、と回想している。その出来に驚いた先生のコメントもちゃんと掲載されている。よくお書きになりましたね、と褒め、 「立派なピアニストになると同時に、立派な人になるようにという心掛けが大事です」 その夏は1946年で、前年に戦争が終わったばかり。食料も配給制で不自由していたが、代用食品で料理(「電氣パン」に興味あります!)やお菓子を作ったこと、端切れで人形を作ったこと、毎日のピアノの稽古のことなど生き生きと書かれている。 人物の服の模様も細かく描き分けてあって、センスを感じる。当時の少女雑誌のイラストみたい。 文章にはユーモアも感じられるが、心の中は戦争によって深く傷ついていた、と当時を振り返る。 ハーフだから、戦争中はずいぶんいじめられもした。 日記の合間合間には、現在(2018年)のフジコさんの回想録が挟まれており、一代記のようにも読める。 戦時色が濃くなるとスウェーデン人の父は祖国に帰り、母がピアノを教えて生活を支えた。 「貴女は外(ほか)の人とはちがって音楽家になるんですからね」という母は、一度もフジコのピアノを褒めてくれなかったと、ちょっと恨み言。でも、ピアノに出会ったのは母のおかげ。 師事したクロイツァーからは「歌うように弾きなさい」という、大切なことを教わった。 巻末には、ショパンの「バラード」の楽譜の写真が載っている。演奏の注意書きなどがあちこちに書き込まれ、タイトルの横には青いインクで「千九百四十五年 終戰を迎えたとき彈いていた」と書かれている。 母から譲り受けたもので、疎開先の岡山に持って行っていた。 フジコさんの人生は波乱の連続だったけれど、今は少女の頃から思っていた場所で、安らかに暮らしていることを願います。大好きなショパンにも出会えたでしょうか。きっと、そこでもピアノを弾いていられることでしょう。 ————————————————— ・16歳の心を持ち続けるには、人の影響を受けないこと。クラス会になんて絶対に行きません。みんな自分がおばさんだと思って話をするから。 ・どんな好きな人でも、1日付き合ったら疲れてしまうから、結婚なんて考えられない。 やっぱり孤独の方が好き。
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フジコ・ヘミングさんのこと、今までほとんど知らなかった。音楽だけは知っていたけど。この本には14歳の時に描いた絵日記と、合間合間にエッセイが載っている。14歳にしては大人びた美しい文字を書かれる人だ。エッセイを読んでフジコ・ヘミングさんってなんて心が美しい人なんだろうと思った。苦...
フジコ・ヘミングさんのこと、今までほとんど知らなかった。音楽だけは知っていたけど。この本には14歳の時に描いた絵日記と、合間合間にエッセイが載っている。14歳にしては大人びた美しい文字を書かれる人だ。エッセイを読んでフジコ・ヘミングさんってなんて心が美しい人なんだろうと思った。苦労された人だったんだ。聴力も一旦は両耳とも無くしてるし。それもデビューリサイタルの直前に。結局、60歳で日本のTV局にドキュメンタリーが放映されたのをきっかけに花咲いたとか。しばらくフジコ・ヘミングさんが僕のヘビロテになりそう。
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ピアニスト、フジコ・ヘミング、14歳の夏休みの絵日記。 本のタイトル通り(笑 素晴らしい、好きです! 14歳の少女の思い、夏休みの出来事が切り取られ水彩絵の具で色付けられています。色彩が素晴らし、そして日記のなかで母親のこと、目上の人のことを書くとき「敬語」が使われています。...
ピアニスト、フジコ・ヘミング、14歳の夏休みの絵日記。 本のタイトル通り(笑 素晴らしい、好きです! 14歳の少女の思い、夏休みの出来事が切り取られ水彩絵の具で色付けられています。色彩が素晴らし、そして日記のなかで母親のこと、目上の人のことを書くとき「敬語」が使われています。 なんだか、とても美しいと思った次第。 作者の少女時代が切り取られ、興味深く読む。 左耳が幼い頃すでに失聴しているとは...知らなかった... エッセイは他にも出ているようなのでもう少し読んで見たいと思う。
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大好きなピアニスト、フジコ・ヘミングの少女時代の日記。 彼女のピアノの音色はもちろん、絵も大好きなのですが、その彼女の14歳の夏休みの絵日記が見つかったということで、これは、絶対に読まねば!と、思っていたら、運よく図書館に入本。 終戦の時代背景が、とてもよくわかります。 配給制...
大好きなピアニスト、フジコ・ヘミングの少女時代の日記。 彼女のピアノの音色はもちろん、絵も大好きなのですが、その彼女の14歳の夏休みの絵日記が見つかったということで、これは、絶対に読まねば!と、思っていたら、運よく図書館に入本。 終戦の時代背景が、とてもよくわかります。 配給制度、ピアノの練習、食生活、学生生活、色々な人を訪ねたり、訪ねてきたりの、当時の人付き合い、日々、どのようなことをして過ごしたか等々。 途中途中で、現在のフジコさんが、当時を思い出して語る回想も入っています。 フジコさんの父親が、国へ返されてしまったため、母親は女手一つでピアノを教えながら育てています。 栄養失調と思われる、体調不良。 絵も、今描かれる感じとは少し違いますが、色遣いなど、原点がみられると思います。 文章だけでなく、色鮮やかな絵もあることで、より一層、当時の生活が思い描くことができて、ステキな本でした。
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この本より前の感想が6月とかで、息が止まるほどびっくりした。そんなに読んでいなかっただろうか。いや別に、読書が嫌いになったとかではない。8月までは大学の前期試験の合格と、来年度に取り掛かる卒論の、研究計画書を提出することで頭がいっぱいだった。9月10月は家族が病を得て、その看病や...
この本より前の感想が6月とかで、息が止まるほどびっくりした。そんなに読んでいなかっただろうか。いや別に、読書が嫌いになったとかではない。8月までは大学の前期試験の合格と、来年度に取り掛かる卒論の、研究計画書を提出することで頭がいっぱいだった。9月10月は家族が病を得て、その看病やらなにやらで、読書より疲れ切って寝てしまうことが多かったのだ。もう感想書くのよそうか、とも思った。だって誰も読んでないしね。なんて。習い性は怖いもので、それでも書かなかったら気持ちが悪いのだ。というわけで。 まずは、大変可愛らしい絵日記。フジコ・ヘミングさんの生い立ちや少女時代のこと、この本で初めて知った。描かれた絵の、なんとまあ淳一風の色合いよ。時代を感じるし、愛らしい。プールが楽しみだったり、お裁縫がお好きだったり、本当に当時の女の子、という感じで、すごく素朴だ。もしかしたら日常、日本語と外国語、混ぜて話してらしたのかしら、とも思う。考えていらっしゃる事が大人びてる以上に、表現は年齢より稚い印象を受けた。 ごく普通の女の子の日記ではあるけれど、異色なのは毎日ピアノのお稽古の記述があること。やはりそうでないとピアニストにはなれないだろう。息をするようにレッスンがあるのが当然の日常。それは芸事の世界では、いつの世でも変わらないのだなあ……と感心するような、納得するような。 でもこの本の中で衝撃的だったのは、なんとも愛らしい日常の記述が、ご本人のあとがきの中で、『どんなに楽しげに書かれた日記に見えていても、これは戦争の中で毎日おなかを空かせ、苦労をした中で、そのように書かれたものであることを理解して欲しい』と解説されていたことだ。だからといって嘘を書いていたわけでは、決してないだろう。 本当のことの中から、戦争や空腹や差別や、生活苦を取り除いて、書いている間は平穏なことだけに目を向けて、毎日を一生懸命に生きていたということだと思う。 書かれていない真実や、書きたかったのに書けなかった夢を、私達は好奇心からでなく、やわらかな優しさをもって読み取るのがいい。そんなふうに思う。 フジコさんが注目を浴びたNHKのドキュメンタリーは、あまりにその後がセンセーショナルで、ブームになっていた時、かえって聴く気にはなれず、演奏よりご経歴で騒がれているようで、ご本人はどんなふうにお思いなんだろう、本当の演奏はどんなだろうと、遠巻きに見ていたのを覚えている。今になってこの本を読むと、そろそろ落ち着いて演奏を聴いてみたい。11月に、カンパネッラは似合うだろうか。 なんとなく、これを読んだらまたぞろ、武田百合子の『富士日記』も読み返したくなった。文章の質感が似ているのかも知れない。
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これはもう、フジコヘミングのピアノを聴きながら読まねば、と思い、ラカンパネラなど聴きながら読む。彼女の人生の苦しさや楽しさに想いを馳せつつ。 人生のどん底、本当の失望を知っている人は、かすかな光の存在に敏感。結果、幸福への感度は高くなり、幸福の実践に長けてくる。そんなところを、...
これはもう、フジコヘミングのピアノを聴きながら読まねば、と思い、ラカンパネラなど聴きながら読む。彼女の人生の苦しさや楽しさに想いを馳せつつ。 人生のどん底、本当の失望を知っている人は、かすかな光の存在に敏感。結果、幸福への感度は高くなり、幸福の実践に長けてくる。そんなところを、わずかにでも学びたい。曰く; 幸せは、待っているものではない。 ぼたもちみたいに降ってくるものでもない。 自分が許される限り、もらった限りの範囲で、自分でつくるしかない。
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15歳に書かれた絵日記がまた出版される日が楽しみです。ショパンのバラードの楽譜は大変趣きがあるものでした。
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“私はやっぱり孤独のほうが好き。毎日一緒にいたら、相手の食べものから何から心配して、クタクタになってしまうでしょう。自分の仕事ができなくなるのは、いやです。”(p.112)
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フジコさん好き。 素直で優しくて素朴で自由で繊細。 絵日記の絵も微笑ましいし。 かわいいひとだなー。 人の影響受けずに自分に素直に 生きるって難しいけど幸せなことな気がする。 また聴きに行きたいなー
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フジコさんは名実共に芸術家。 味のあるイラストをお描きになられる。そして日記の内容も視点が違うから面白い。 あのクロイツァーに習っていたのもスゴいことだけど、そのクロイツァーに「わたしの指下さい」「わたしの指どうぞ」と片言の日本語で言わせるなんて、それがどんな事でどんな意味がある...
フジコさんは名実共に芸術家。 味のあるイラストをお描きになられる。そして日記の内容も視点が違うから面白い。 あのクロイツァーに習っていたのもスゴいことだけど、そのクロイツァーに「わたしの指下さい」「わたしの指どうぞ」と片言の日本語で言わせるなんて、それがどんな事でどんな意味があるかピアノ弾きなら理解出来るはず。 そのエピソードを日記に書くフジコさんのセンスとユーモアは感心せずにはいられない。 リストのラカンパネラ、リストのため息、そんなセットリストが出来るフジコさんの戦後のピアノ史でした。
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