しき の商品レビュー
なにが好きなのかまだよくわかっていないけど多分好きって感情をどうにか生産して消費しようとする高校生という時代。 なにが嫌なのかまだよくわかっていないけど嫌だって欲望を剥き出しにしてとにかくぶつかってみる家族。 そいつが何者なのかわからないけどそいつといるとなんだか楽しいという気分...
なにが好きなのかまだよくわかっていないけど多分好きって感情をどうにか生産して消費しようとする高校生という時代。 なにが嫌なのかまだよくわかっていないけど嫌だって欲望を剥き出しにしてとにかくぶつかってみる家族。 そいつが何者なのかわからないけどそいつといるとなんだか楽しいという気分を生産できるから一緒にいるけれどわからなかったからそいつに向けての恐怖や欺瞞が生まれやすい関係性。 僕らはたしかにそういった未知の領域を持ちつつ世界とぶつかっているのかもしれない。そしてその感覚をどうにかアウトプットしていくダンス
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私の住んでいる越谷に町屋良平も住んでいたことがあり、私が進学先として中学の担任に勧められたが結局は行かなかった越ヶ谷高校の卒業生だとある時知り、いつか読んでみたいと思っていた。先日TSUTAYAレイクタウン店で町屋良平の新作『恋の幽霊』の特設コーナーがあり、越谷が舞台みたいなこと...
私の住んでいる越谷に町屋良平も住んでいたことがあり、私が進学先として中学の担任に勧められたが結局は行かなかった越ヶ谷高校の卒業生だとある時知り、いつか読んでみたいと思っていた。先日TSUTAYAレイクタウン店で町屋良平の新作『恋の幽霊』の特設コーナーがあり、越谷が舞台みたいなことが書かれていたので読みたいと思ったが、過去の作品とのつながりがあるかどうかわからないので過去の作品を読んでからにしようと思い、違う作品の文庫版を買った。その後、どうやら『しき』という作品とのつながりがあるらしいとわかり、図書館で『しき』を借りて読み始めた。 最初はひらがなが多く読みにくかったが、慣れてくるとスラスラ読めるようになった。私は家では音読で読むのだが、淀みなく読める感覚は、使い古された表現だが、ジェットコースターに乗っているような爽快感があった。 『しき』に出てくる女子の名前が白岩さやか、青木由希奈、と名前に色が入っている。ということは樋口凜は緋色をイメージした名前だろうか。 『しき』には阿波踊りが出てくるが、越谷では南越谷が阿波踊りで有名である。南越谷駅の発車メロディーも阿波踊りのお囃子になっている。『しき』では草野が阿波踊りの本拠地である徳島から転校してきたとあるが、町屋良平は南越谷の阿波踊りのことをヒントにして、『しき』に阿波踊りの話を盛り込んだのだろうか。 ダンスが扱われている小説というと今野敏の『ビート』がある。『しき』には樋口凜が出てくるが、今野敏の樋口顕シリーズの作品である。今野敏の作品の中では私の一番好きな作品だ。単行本で読んだのだが、今野敏にしては珍しく、二段組でボリュームがある作品だ。息子が殺人を犯したのではないかと心配する刑事の話である。また、〈しき〉というと森博嗣の『四季』も好きな作品だ。森博嗣のシリーズ作品に出てくる真賀田四季を主人公にした話である。それから、『屍鬼』という大長編もあるが、こちらはまだ読んでいない。単行本は大判なので読むのが大変そうなので、町屋良平の『しき』を読んだことをきっかけとして分冊された文庫でそのうち『屍鬼』も読もうかと思っている。 『しき』を読むきっかけとなった『恋の幽霊』も図書館で借りてあるので、すぐに読もうと思っている。また、越谷に縁のある作家は他に越谷オサム、高橋弘希、真藤順丈などがいるので随時読んでいきたい。高橋弘希は『スイミングスクール』を図書館で借りて今読んでいる最中である。
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「自分の思春期、高校時代はどうだったかな?」 って考えながら読んでた。 登場人物のピンポイントな感情を 解像度高く作品で表現されてて読み応えがあった。 私もこの主人公と同じで反抗期が無かった。 学生時代は感情を無意味に他人に向けることを 「ダサい」と思っていて反抗期で 親や先...
「自分の思春期、高校時代はどうだったかな?」 って考えながら読んでた。 登場人物のピンポイントな感情を 解像度高く作品で表現されてて読み応えがあった。 私もこの主人公と同じで反抗期が無かった。 学生時代は感情を無意味に他人に向けることを 「ダサい」と思っていて反抗期で 親や先生に反抗してる同級生を醒めた目で見てた。 ただ、作中にあるように反抗期が 大人になるための通過儀礼な気がして焦るような 気持ちもあったなぁ〜なんて 主人公に共感出来て面白かったです。
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うまく言えないけど他にない感じの良い小説だなあと思っていたら、巻末の解説(長嶋有)できちんと言語化されていてぎゃふん。 決して自分の記憶ではないのに、忘れ去ってしまっていたモヤモヤを丁寧に掬い上げてもらったような。とても良い小説だと思います。
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思春期の説明できないわかりにくさみたいなものを追体験できる小説。 章立てもなく、誰の想いか語りなのかもわかりにくい中でストーリーは展開され、不確かな疑問は不確かなままで終わってしまう。 しかし、クセになる
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これを青春と呼んでいいなら彼らの過ごした日々は永遠であり、だが記憶からも消えるほど希薄かもしれない。その二面性に慄く。 「無神経な発話こそ、見過ごせない本質と響きあう。ーー」
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
こういう書き方があるのかあ、と新鮮な気持ちで読み終えました。瑞々しい! 「クラスに馴染めない系」でも別に気にならない高校生たち。こういう人物像って新鮮ですが、とてもリアリティがありました。 家庭や異性や過去やと、各々に悩みがあったりなかったりします。でも別に、それをイツメン同士でどうこうしません。互いに踏み込まない。 女子トリオは暗黙のルールを察して、男士トリオは干渉の必要性を感じないから。 だからと言って人間関係が希薄かというと、そうでもないし、みんな"つながり"は何となく維持している。 どっちつかずの空気感というか浮遊感を、言葉で掴もうとしているような感じがしました。その方法が【踊ってみた】だったのかもしれません。 大人になるにつれ上手く言えないことばかり増えます。身体は否応なく四季のうつろいや感情の揺れや好き嫌いを感じているのに、全部は言葉にできないし言葉にしようと思わない。 そんな心が表現を否応なく希求する。 世界の片隅に生まれた偶然と必然の「をかし」が、かれらの【踊ってみた】だったのかな、と思いました。
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高校生がダンス動画をSNSに載せるために、夜な夜な公園で練習をする日常を軸にして、学校生活、家庭などでのあれやこれや これが青春小説というものでしょうか 青春というか、思春期小説とでも言いたい ともだちのつくもに 子供ができるというのがこの小説の「転」
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高校時代の「しき」一年の移り変わりが、描かれる。特にキラキラして目立つグループでもないし、大事件が起こるわけでもない。 どこにでもありそうな、だれもが感じたことがありそうな、大人になる前の不安定な存在感。 べったりでもなく、淡白でもない関係性。 最後に一つやり遂げて別々の道を進ん...
高校時代の「しき」一年の移り変わりが、描かれる。特にキラキラして目立つグループでもないし、大事件が起こるわけでもない。 どこにでもありそうな、だれもが感じたことがありそうな、大人になる前の不安定な存在感。 べったりでもなく、淡白でもない関係性。 最後に一つやり遂げて別々の道を進んでいく。 それは悲しいことではないし、そうやって大人になっていくんだろうな。なにげなく手にとって読んだけど、読感は良かった。
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ひらがなの多い文章と独特な文体に最後まで慣れなかった… 季節とともに移り変わる高校生の日常と気持ちが描かれており、内容的には読みやすかった。 もっと熱く彼らの思いが描かれていてもよいのになぁ…とちょっと物足りなさもあった。 終わり方はきれいで気持ちよかったです。
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