罪人のカルマ の商品レビュー
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相変わらずカリンスローターのミステリー小説は惹き込まれます。 しかしながら本作、自分の読解力に疑問を持つほど時系列がとんでもなく分かりづらい上に、登場人物の呼び名が変わるわ、結果を明確に書かないわ、アマンダがウィルに明かす真実には含みを持たせているわで難解…というより読みづらい(心なしか翻訳も)。 アマンダとイヴリンの昔を知れたのは面白かったし、鉄の女も普通の人間であったことに安堵する。 不遇の時代が彼女たちを強くさせたのか。 さて、腑に落ちないのがジェーンの遺体とそれにまつわる描写です。 ジェーン殺害のみ、結果的にルーシーの兄ハンクの犯行であったことが明かされますが、なぜジェーンの遺体はアルスターの犯行のように赤いマニキュアを塗られ恥毛が刈り上げられていたのか...。 アルスターの犯行に見せかけたものかと思いましたが、一番最初に見つかるのがジェーンの遺体なので、アルスターの性癖をハンクが既に知っているのはいささか謎であります。 ちなみに、衝動的に殺害されたにしては凄惨で、そこまでの怒りを爆発させる暴力的な様子がハンクにはないことと、アマンダでさえ序盤にハンクが殺害するような人間には見えないと明言しているのも気になります。 納得がいかないので読み直すと、アマンダがキティに「ハンクとアルスターは共謀していたんでしょう?」と尋ね、否定はしなかったところに目が止まりました。 この共謀とは、ルーシーとキティの取り引きのくだりだと思い込んでいましたが、メアリー含め少女の監禁自体をふたりで行っていたということでしょうか。 キティの自白では、ハンクは自分の手を汚すのを嫌がっていたが、楽しんではいたと発言しています。 以下私が読み取った時系列を。 ここでも疑問が生まれているので助けてください...。 1974.7.某日 ハンクとルーシーの父が永眠。ハンクはルーシーに手紙を書いた。 1974.7.下旬(推定) トレイがルーシーに兄からの手紙を渡す。 --この間にハンクとアルスターは出会った。-- 1974.8.7(推定) ハンクはジュースに接触し、キティに薬を売らないよう命じている。ルーシーには会っていない。 1974.8.15 ルーシーが連れ去られる。 1974.8.22(推定) 描写は無いがキティが連れ去られる。(ジュースはルーシーが消えた1週間後にキティが姿を消したと発言している。) 1974.10.15 ルーシーは監禁中。(出産周期を考えると妊娠したのは9月ごろ) 1974.11.15 メアリーが連れ去られる。 1975.4.15 ルーシー視点で「この間までの娘はいなくなった」と発言。→時系列で言うと先に拉致されたキティ?いなくなった=殺害されたわけではない? 「今度の子は泣いている」と発言。→時系列で言うとメアリー?しかし拉致されて既に半年は経っている。 抗うのをやめないと前の娘のように、そのまた前の娘のようになってしまうとルーシーは発言しているが、前の娘が誰を指すかは分からない。 1975.6.15 ルーシー出産間近。 1975.7.7 トレッドウェルに見せかけたハンクが署へやってくる。(行方不明の少女たちのことを話すジェーンに憤怒し、トレッドウェルの名を使い警察を動かし口封じを目論んだ。しかし失敗、のちに殺害。) アマンダとイヴリンは、ホッジの命令でテックウッドにキティを探しに行く。ジェーンとジュースに出会う。 1975.7.11 ルーシー(ジェーン)遺体発見。 1975.7.12 ピートが解剖し、他殺・窒息死させたことがわかる。犯人はメッセージを送っている・犯人を引っ掻いた痕跡がある・マニキュアが塗ってあるとピート。顔を確認するとルーシーではなくジェーンだった。 ハンクが遺体確認をしたが、ジェーンの遺体を見てルーシーだと言った。 1975.7.14 ジュースがルーシー(ジェーン)を殺害した容疑で逮捕された。 1975.7.14 アマンダは留置所でジュースに会う。 2人目の遺体が出た。扼殺はされていない。マニキュアが塗られていた。堕胎している。遺体はメアリーだった。 1975.7.15 ルーシー陣痛。アルスターに従順な女の子がいる。→キティ? 1975.7.15 ユニオンミッションからトレイが消えた。(後に窃盗容疑で発見。何か犯行に関わる重要な描写かと思えばそんなことは別にない。) アマンダとイヴリンは教会でアルスターに初めて会う。 1975.7.15 ルーシー出産。アルスターと格闘、逮捕。ルーシー死亡。部屋にいたアルスターに従順な女の子の描写は以降無い。→キティ?
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今まであまり親近感もなく、好意的にも見れなかったアマンダのことが、すごくいい印象になりました。今作では、現在パートとアマンダの過去パートを行ったり来たりしてストーリーが進行し、特にアマンダの過去パートは、1970年代半ばで、女性への差別意識と黒人差別が色濃くあるる時代。この若かり...
今まであまり親近感もなく、好意的にも見れなかったアマンダのことが、すごくいい印象になりました。今作では、現在パートとアマンダの過去パートを行ったり来たりしてストーリーが進行し、特にアマンダの過去パートは、1970年代半ばで、女性への差別意識と黒人差別が色濃くあるる時代。この若かりしアマンダとフェイスの母親のイヴリンの2人の活躍が新鮮で、すごく親しみがわきました。この過去からどのように現代パートにつながるのかに注目でしたが、なるほどそういうことかと、いい読後感を味わうことができました。そして最終盤は、またまた気になる終わり方。次にどうつながるのか楽しみです!
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ウィル・トレント・シリーズ、6作目。 ウィル・トレントは、ジョージア州捜査局の特別捜査官。 今回は、彼の出生に関わる重い秘密が明かされる回でもあるのだが。 ウィルの上司のアマンダと、その同僚だったイヴリンの若き日の話がかなりの比重を占めます。 女性警官二人の物語というのは珍しい...
ウィル・トレント・シリーズ、6作目。 ウィル・トレントは、ジョージア州捜査局の特別捜査官。 今回は、彼の出生に関わる重い秘密が明かされる回でもあるのだが。 ウィルの上司のアマンダと、その同僚だったイヴリンの若き日の話がかなりの比重を占めます。 女性警官二人の物語というのは珍しいので、こちらがポイントかと。 ウィルは長身で金髪、穏やかで大人しい性格。頭はいいのだが識字障碍を抱え、それをごまかしながら何とかやってきた。 施設で育ち、里親を転々とし、どこか影があるので、潜入捜査を得意としていたこともある。 凶悪な殺人事件が発生したが、なぜかウィルは捜査から外される。 それは、ウィルの実父が出所しているからだった。 40年さかのぼって、1975年。 アマンダは小柄で、若い頃は現在とは別人のように動揺しやすい。とはいえ、全てを面に出すわけではない。 謹厳な警察官の父親に育てられてきたからだ。 イヴリンはなかなかの美人で大胆、アマンダと気が合うようになります。 男社会の警察で、それでも女性が少し増えかけてきた時代。 署内の偏見をかいくぐり、町では柄の悪い連中と渡り合う日々。 そこで遭遇した恐ろしい事件で‥ ウィルにまさかこんな過去があるとは。 子どもの頃は実父の犯罪を知らないでいた点もあり、それだけは良かったという気はしますが。 アマンダとは運命的な出会いだったのですね。 アマンダは内心、我が子に抱くような激しい愛情を抱きつつ、その執着をそのまま表に出すわけにもいかない、という葛藤があるらしい? 姿を消していたアンジーの影が、最後にそこに現れる。 カリン・スローターはすごい。
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『ハンティング』でその誠実さの影で、内面を巣食う怒りや生い立ちへの葛藤と戦う主人公ウィル・トレントの虜になった。 図書館の蔵書の都合で2作飛ばしての本書となってしまったが、やはり順番に読むべきだった。。 『ハンティング』で別シリーズの主人公サラ・リントンが交錯することになり、えもいわれぬ広がりを見せる著者の作品世界だが、今作では2人の関係が急に親密なものに! あれ、そんな雰囲気だったっけ!? 間に何があった!? そういえば、惹かれあっていたような。 覚えていない。。 2人の関係はともかくとして、ウィルの事件解決物語を期待していたのだが、まさかの上司アマンダと相方フェイスの母親イヴリンの物語。 ウィルの出生秘話を絡めつつ40年以上前の殺人事件と現在の女子大生失踪事件を交互に追う展開。 昔の事件は、1970年代半ばにアマンダとイヴリンが男性中心の警察組織の中で息をまきながら、慣れない死体や犯罪者達に立ち向かっていき、彼女達の現在の礎となる事件譚。 フェミニズムや人種差別撤廃の動きが見えつつある時代背景の中でのプレイバックヒストリーは、シリーズ全体の中での彼女達の立ち位置をきりっと浮かび上がらせるものになるに違いない。 一方で現在の事件はその過去の事件の清算とも言うべきもの。 原題”Criminal”に対して”カルマ”の語をしのばせる辺りに訳者のセンスが光る。 シリーズ全体の中では変化球的存在なのではと推測する本作。 悪くはなかったのだが、やっぱり読む順番間違えたよな。
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ミステリともサスペンスとも言えない構成のように感じて(途中で中断して猿の罰の方を読んでしまった)読み終えるのが遅くなったけれど、結末の展開は好きだったかな。アマンダとイヴリンの若い頃が描かれてて、いままで好きになれなかった2人にもこんな時代があったんだと思うと好感度上がる。とくに...
ミステリともサスペンスとも言えない構成のように感じて(途中で中断して猿の罰の方を読んでしまった)読み終えるのが遅くなったけれど、結末の展開は好きだったかな。アマンダとイヴリンの若い頃が描かれてて、いままで好きになれなかった2人にもこんな時代があったんだと思うと好感度上がる。とくにアマンダ。それならなぜウィルにいじわるをする?w 結局ごみ箱に入れたのは誰ってことなんだろう…? 今作は黒人差別にくわえてフェミニズム要素もあるので黒人や女性を差別していたいひとはまた怒る気もする。いつかフラットな世の中になるといいな。 そしてアンジーがこわい。 ひたすらサラが心配になる! みんな幸せになってほしい。
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このシリーズで一番面白かった。そろそろ読むのやめようかと思ってたけど、本書がすごかったし、最後のアンジーにゾクっとしたので、次も買わないと。 アンジー好きだわ。悪い女。 1970年代の2人の女性刑事の友情と活躍が最高に楽しかった。だからこそ、現代のあっけないラストに肩透かしだったけれど、その後のアンジー。凄いよアンジー。 キティがウィルがまともに育ったとか言っていたのが皮肉でいい。特に前作で本物の母親に育てられなかったことスネ倒した奴が犯人だったから、本当の親とは離れたことで今のウィルになったことのアンビバレント。 そして、ウィルを見守ってきた上司、ケアマネージャー、女性判事たち、みんな女性。あの時代をサバイバルしてきた人たち。強くて優しい。 ある意味、ウィルのハーレム展開なんだけど、男性読者はちっとも羨ましくないだろうねw
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図書館の本 読了 内容(「BOOK」データベースより) 女子大学生の失踪事件が発生。特別捜査官ウィルはなぜか捜査から外され、忌まわしい事実を知らされる。40年以上前に凶悪な連続殺人事件を起こし、終身刑になった実の父親が仮釈放されているというのだ。やがて発見された女性の遺体には見るも無惨な拷問の痕があり、それはウィルの父親の手口と酷似していた―。1975年と現在、ふたつの事件が交錯するとき、戦慄の真実が浮かびあがる! ウィル・トレントシリーズ第7作目。6作目は未翻訳なので飛ばしたんだけれども、順番にちゃんと翻訳して欲しいなと言うのは一読者の希望だったりする。 ウィルの自出がわかる回。 児童養護施設をいったりきたりでも「そんなに悪いところではなかった」といえる彼にサラが惹かれているのがよくわかる。 でも今回のウィルは父親の出所でまったく余裕がない状態。 イブリンとアマンダの1975年と現在をいったりきたりするんだけれども、75年が読みにくくてこのシリーズにしては読了まで時間がかかった。 アマンダとの関係、存在すらしなかった叔父夫婦との会話、そして父親の死。 この状態で側にいてくれる人が大切な人で、それがサラと気がついたのはいいこと。 アンバーとの結婚指輪をアマンダに托した次のウィルの行動が気になる。 そしてアンバー。 そのマニキュアはなに? 次行きます。 Criminal by Karin Slaughter
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「彼女達が闘った時代」と 「主人公の生い立ち」の話 ウィル・トレントシリーズ6作目 現在で起こった女性の失踪事件と 過去1975年に起きた失踪事件の二つの時間軸で進む。 現在では、捜査に加われず鬼上司アマンダの圧力、謎の行動に戸惑うウィル そして過去では、警察官として下っ端で...
「彼女達が闘った時代」と 「主人公の生い立ち」の話 ウィル・トレントシリーズ6作目 現在で起こった女性の失踪事件と 過去1975年に起きた失踪事件の二つの時間軸で進む。 現在では、捜査に加われず鬼上司アマンダの圧力、謎の行動に戸惑うウィル そして過去では、警察官として下っ端で気弱なアマンダ(おっ!)と現在のウィルの相棒フェイスの母親イヴリン(破天荒)がバディを組んで捜査にあたる。 警察内での人種差別、性差別が強く、行く先々で「女は引っ込んでろ」と罵られる。またアマンダの父は同じく警察官であり娘の行動を束縛、仕事でも人種差別的な言動で恨みを買う人物が多く、娘というだけで二重に苦しむことになる。 読んでて戸惑った。なぜこんなすぐに泣き出しそうな女性が、冷酷な鋼鉄の捜査官になるのか…想像がつかないからである。 どんな圧力にも屈しない、いや屈するけれども「自分達以外の誰が救えるのか?」という想いに従い進んでいく。 そして両方の事件に絡む「ウィルの父」の影、主人公の生い立ちがようやく明かされる。 まさかそういう過去があったとは…過去と現在を対比して読むと重みが増す場面が多く、楽しめました。 (アマンダ達とは別の)女達の戦いも、始まったばかりなのかも… 終わり方、ゾクッと来ました。
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<ウィル・トレント>シリーズ第6作。主人公はジョージア州捜査局特別捜査官のウィル・トレント。しかし、内容は彼の上司アマンダや同僚フェイスの母親でこちらも元刑事だったイブリン・ミッチェル、そして検視官のサラ・リントンといった女性登場人物たちの物語。ラストのアンジー(ウィルの妻)のエピソードは衝撃です。まさに女性である作者にしか描けないストーリーだと思います。それにしても、僕らの憧れだった1970年代のアメリカが、これほどまでに保守的で男性優位、黒人差別、女性蔑視の国だったとは。小説とは言え衝撃です。
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