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阿Q正伝 の商品レビュー

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9件のお客様レビュー

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2025/08/16

『故郷』と並び収録されている魯迅の名作『阿Q正伝』は、毛沢東も愛読した寓話だという。当時の中国大衆の姿を皮肉たっぷりに描いた作品で、その鋭い風刺に時代を超えた普遍性を感じた

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2024/11/26

この作品の面白さは、実は意外なところにある。たとえば、魯迅が見事に操る文体の妙だ。文言と白話を行き来する筆さばきには、思わず唸らされる。阿Qの世界を描く素朴な白話と、語り手が顔を出す際の皮肉な文言表現との落差。この対比が、近代中国における「知」の二重構造を見事に映し出している。 ...

この作品の面白さは、実は意外なところにある。たとえば、魯迅が見事に操る文体の妙だ。文言と白話を行き来する筆さばきには、思わず唸らされる。阿Qの世界を描く素朴な白話と、語り手が顔を出す際の皮肉な文言表現との落差。この対比が、近代中国における「知」の二重構造を見事に映し出している。 作品冒頭の未荘の描写を見てみよう。「いつの時代のことやら分からない」という何気ない一節。一見するとただの口語調なのだが、その実、古典的な修辞が巧みに織り込まれている。これは後に続く作家たちには真似のできない、魯迅ならではの技なのだ。 面白いことに、この作品は同時代の日本文学と重ね合わせて読むと、また違った表情を見せてくれる。夏目漱石の『坊っちゃん』を思い浮かべてみてほしい。「清」や「山嵐」といった脇役たちと、『阿Q正伝』に登場する人々との間には、どこか通じるものがある。これは偶然ではないだろう。近代化の波に揺れる東アジアの、ある種の共通風景が浮かび上がってくるのだ。 物語の組み立て方にも、魯迅の知恵が光る。語り手は阿Qの人生を記録しようとしながら、実は多くの部分を意図的に空白のままにしている。これは魯迅お得意の「閃灼式」(フラッシュ的)手法の真骨頂とも言えるのだが、その奥には、近代的な記録というものへの深い疑いの目が隠されている。 とりわけ印象的なのは、阿Qの性的欲望を描く手つきだ。未荘の寡婦や小尼への思いは、決して露骨には描かれない。それは常に、暴力や妄想のイメージとないまぜになって、かすかに示唆されるだけ。これは単なる遠慮や検閲逃れではない。捉えどころのない人間の欲望を描く際の、魯迅なりの美学的な選択なのだ。 革命の描き方にも、従来とは違った読み方ができる。阿Qが革命に加われないのは、彼が「遅れている」からではない。そこには、革命という出来事自体を「物語」にすることの難しさが潜んでいる。当時の知識人たちが革命を「物語」として消費していたことへの、痛烈な皮肉とも読めるわけだ。 作品中、繰り返し言及される阿Qの「禿頭」。これも実は、梁啓超らが説いた「国民身体」という考え方への、密やかな反論として読める。阿Qの身体は、近代的な「国民」として整えられることを、どこまでも拒み続けているのだ。 魯迅がこの作品で成し遂げた革新は、私たちが想像する以上に大胆なものだった。それは「文学革命」の旗手という通り一遍の評価を超えて、文学という営み自体への深い問いかけを含んでいる。百年の時を経た今、私たちがなおもこの作品に心を揺さぶられるのは、阿Qという鏡に映る自分の姿が、あまりにも鮮やかだからなのかもしれない。

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2023/12/07

最初は立派な人物の伝記と思いきや、いい加減で無知でどうしようもない男の話が始まる。皆に馬鹿にされてもある意味強メンタルの持ち主。 最後の方になんかよくわからないうちに終わりを迎えるのだが、背景を知らないと呆気ない印象。 もう少し、ストーリーだけで面白いと良いのだが

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2023/01/02

子供の時、いつもかよっていた本屋の棚にあって気になっていたけど、なかなか読む気になれず今日初めて読んだ。やっぱりあの時読んでおいたらよかったなあと思う。子供の時に読んでいたら、もっと違う大人になっていたかもしれない。 ということは自分も阿Qと同じということか。。。

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2022/12/26

図書館で借りた。 言わずもがなだが、中国の革命期における伝説の小説家。仙台で医学を志したが、志半ばで去り、国民党政府からは反体制のレッテルを貼られ、かたや共産党からは異様に祭り上げられた人物。 その代表作である阿Q正伝に、狂人日記も収録された文庫。 人肉を食べるという恐怖感から...

図書館で借りた。 言わずもがなだが、中国の革命期における伝説の小説家。仙台で医学を志したが、志半ばで去り、国民党政府からは反体制のレッテルを貼られ、かたや共産党からは異様に祭り上げられた人物。 その代表作である阿Q正伝に、狂人日記も収録された文庫。 人肉を食べるという恐怖感から、儒教の虚偽暴露を意図している…ってのは有名な話なので分かったつもりでいるが、私は小説からはそこまで読み取れない。やはりどうも文学的センスは不足しているようだ。 あくまで歴史的史料を読むことができたとして、自分の中で納得したい…。

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2022/11/03

定職も学もなく、日雇いで暮らす「阿Q」。 阿Qの、革命の噂に憧れを抱いた顛末を描きます。 中国社会の病根である儒教を媒介とする封建社会を批判し、当時の中国社会と辛亥革命の失敗を痛烈に描き、民族的決意を促した作品。 デビュー作の「狂人日記」、日本留学の思い出を描いた「藤野先生」など...

定職も学もなく、日雇いで暮らす「阿Q」。 阿Qの、革命の噂に憧れを抱いた顛末を描きます。 中国社会の病根である儒教を媒介とする封建社会を批判し、当時の中国社会と辛亥革命の失敗を痛烈に描き、民族的決意を促した作品。 デビュー作の「狂人日記」、日本留学の思い出を描いた「藤野先生」なども収録。

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2022/03/21

呉下の阿蒙の故事も絡めてあったんだなと、思いながらも「男子3日あわざれば刮目して見るべし」が、阿Qが成長するのではなく、阿Qの立場や財産で世間の阿Qを見る目がどんどん変わっていく所に人間の恐ろしさと、自分への戒めも感じた。自分も阿Qになるかもしれないし、阿Qを見る周りの人になるか...

呉下の阿蒙の故事も絡めてあったんだなと、思いながらも「男子3日あわざれば刮目して見るべし」が、阿Qが成長するのではなく、阿Qの立場や財産で世間の阿Qを見る目がどんどん変わっていく所に人間の恐ろしさと、自分への戒めも感じた。自分も阿Qになるかもしれないし、阿Qを見る周りの人になるかもしれない。昔はワイドショーや写真週刊誌。今はSNSなどで、面白半分に人をつるし上げる。自分だって金持ちや偉い人を見れば、それだけでその人を判断してしまうし、阿Qのように、自分の才能に似つかわしくない金や名誉を求めてしまう。今風に言うと承認欲求だが、しかし結局誰も他人には興味はなく、他人の動向は単なる暇つぶしでしかない。刑場にひかれていく阿Qを見る群衆の目。同じように恐ろしい目で、宮迫やベッキーらを見ている自分たち。身近でも知り合いで出世した人がいたら、何か自分にも利益を得ようとしてしまう自分たち。人間の本能と言ってしまえばそれまでだが、多分知的障害である阿Qから見た私達は、狼よりも、もっと恐ろしい目をしている。充分戒めねば。と思った作品だった。

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2020/03/14

こうした生活や考え方が当然、という時代があったのだなと思うとなんとも言えないような気持ちになる短編が多かった。そこに風刺が反映されていると言われると、当時の歴史や民族性といったところの理解が不足しているのか、難しく感じたのが正直な感想だった。

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2019/11/07

世界史の授業で魯迅が紹介され、興味を持った。 留学先の日本で彼は、祖国中国人が、同じ中国人が処刑されているのに笑って見ている映像を見て違和感を感じ、作家として国民意識の変革に挑むことを決意する。 難解な表現も多く、読み進めるのが大変だったが、革命時の中国を知るきっかけに...

世界史の授業で魯迅が紹介され、興味を持った。 留学先の日本で彼は、祖国中国人が、同じ中国人が処刑されているのに笑って見ている映像を見て違和感を感じ、作家として国民意識の変革に挑むことを決意する。 難解な表現も多く、読み進めるのが大変だったが、革命時の中国を知るきっかけになる1冊。

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