与楽の飯 東大寺造仏所炊屋私記 の商品レビュー
あー面白かった! 奈良時代、大仏建立時に起こった大小さまざまな事件の謎を解くミステリー。 この時代特有の用語や言い回しに、はじめはとっつきづらさを感じたけれど、魅力的な登場人物たちのおかげで、すぐに物語の世界に馴染むことができた。 旅行で実際に見た東大寺の大仏の大きさ、迫力、大仏...
あー面白かった! 奈良時代、大仏建立時に起こった大小さまざまな事件の謎を解くミステリー。 この時代特有の用語や言い回しに、はじめはとっつきづらさを感じたけれど、魅力的な登場人物たちのおかげで、すぐに物語の世界に馴染むことができた。 旅行で実際に見た東大寺の大仏の大きさ、迫力、大仏殿の見事さ、そこに至るまでの真っ直ぐで広々とした道…それらがどのようにして作られたのか。 生き生きと描かれる彼らの様子から伝わってくるものがあった。 Amazonのレビューに、「遠い自分の記憶だ」というようなことを書いている人がいて、しっくりくる素敵な表現だなぁと思った。 遠い昔にこれを作り上げた祖先たちが確実にいて、それを今私たちが見ている。 時を超えた繋がりに、しみじみと感動してしまう。 延べ260万人もの人々が働き、すべての完成までには14年ほどかかったという奈良の大仏。 3年の苦しい労役に耐え、故郷に帰ってしまえば、その完成を見ることもできない者がほとんどだったはずだ。 今のように交通機関が発達し、時間とお金が許せば簡単に見にいくことのできる環境は、本当に有り難い!
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奈良時代、大仏造立を舞台とした話。 古代と言って良いのか、とにかく言葉(漢字)が中々馴染めずに はじめは苦労して読み進めた。 しかし宮麻呂の作る料理に食欲が刺激される。勝手な想像だけど現代に比べても、かなり質素、素朴なものであろうと思われるのだけど、思わずかき込みたくなる。田舎料...
奈良時代、大仏造立を舞台とした話。 古代と言って良いのか、とにかく言葉(漢字)が中々馴染めずに はじめは苦労して読み進めた。 しかし宮麻呂の作る料理に食欲が刺激される。勝手な想像だけど現代に比べても、かなり質素、素朴なものであろうと思われるのだけど、思わずかき込みたくなる。田舎料理を求めてしまう。 この時代についてあまり知らず、当時は強制労働的に粗末な扱いで酷使されていたのだと思っていたが、寝食は不都合なく、食は皆の楽しみ憩いとなっていたので、明るい気持ちで読めた。
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澤田さんの作品は、やっぱり面白い。この作品も、以前本屋の店頭で見たことはあったけど、何か堅そうでスルーしていたんだけど、読んでみたら、全然そんなことはなくて、続編が読みたい!
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西條奈加さん曰く、時代背景、舞台設定をもった食ミステリー。 「人はいつか、必ず死ぬ。行基が世を去り、宮麻呂が世を去り――やがて真楯もまたこの世から消えたとしても、自分たちが土を捏ね、棹銅を運んで築き上げた毘盧舎那仏は、千年先までこの地に残るであろう。だとすればこの作事に携わった...
西條奈加さん曰く、時代背景、舞台設定をもった食ミステリー。 「人はいつか、必ず死ぬ。行基が世を去り、宮麻呂が世を去り――やがて真楯もまたこの世から消えたとしても、自分たちが土を捏ね、棹銅を運んで築き上げた毘盧舎那仏は、千年先までこの地に残るであろう。だとすればこの作事に携わった自分たちはみな、あの巨大なる仏の小さな欠片なのだ。」
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登場人物の名前など、描かれている時代柄、読みにくさはあったが、とても引き込まれる内容だった。「大仏も誰かが作ったものなのだ」という、あたり前の事実と、無理やり動員されてきて大仏造立に携わるうちに、次第に心が変化していく人たちの姿と、働き、食べ、いずれ老いていく「生きる」ということ...
登場人物の名前など、描かれている時代柄、読みにくさはあったが、とても引き込まれる内容だった。「大仏も誰かが作ったものなのだ」という、あたり前の事実と、無理やり動員されてきて大仏造立に携わるうちに、次第に心が変化していく人たちの姿と、働き、食べ、いずれ老いていく「生きる」ということと。余韻の残る作品だった。
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コロナ禍になってから、東大寺の大仏殿には定点カメラがおかれ24時間毎日配信されている。軽い気持ちで見始めた配信だが、朝に夕に、法要や鐘の音に祈るにつれて当時この大仏を作った人々に想いを馳せるようになった。そんな人達の苦労と、辛い日々の中での小さな幸せである三食の飯をテーマとした本...
コロナ禍になってから、東大寺の大仏殿には定点カメラがおかれ24時間毎日配信されている。軽い気持ちで見始めた配信だが、朝に夕に、法要や鐘の音に祈るにつれて当時この大仏を作った人々に想いを馳せるようになった。そんな人達の苦労と、辛い日々の中での小さな幸せである三食の飯をテーマとした本。故郷から連れてこられ、暑さ寒さで辛い中に、事故と隣り合わせの肉体労働。その中で美味しいご飯を食べさせてくれることがどんなに助けになっただろう。彼らのおかげで今疫病に苦しむ私達が大仏様に救われている。
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東大寺造仏所で働く人々のために飯を作る炊屋(かしきや)の炊男(かしきおとこ)、宮麻呂。 客である造仏所の働き手たちのために、自ら材料を集めに回り、少しでもうまい飯を提供する。 ぶっきらぼうだが面倒見がよい彼の周りには、多くの人々が集まってくる。 近江の国から仕丁として働きにきた真...
東大寺造仏所で働く人々のために飯を作る炊屋(かしきや)の炊男(かしきおとこ)、宮麻呂。 客である造仏所の働き手たちのために、自ら材料を集めに回り、少しでもうまい飯を提供する。 ぶっきらぼうだが面倒見がよい彼の周りには、多くの人々が集まってくる。 近江の国から仕丁として働きにきた真楯もその一人だ。 真楯は時々宮麻呂の仕事を手伝いながら、次第に宮麻呂の過去を知ることとなる。 その過去には、八十歳を超えた大徳、行基が関わっているらしい。 まず、大仏建立という題材の設定が面白い。 金属を鋳る作事場の熱、大勢の働き手が飯を掻き込む炊屋の賑わい、奴婢小屋のにおい―ーこうした場面に、本当に立ち会っているような気分になる。 東大寺の大仏は二回見に行った。 恥ずかしながら、ただ、でっかいなあ、と思って見ただけだ。 そこに故郷に残した家族を恋しがったり、上役とやりあったり、組織の理不尽に歯噛みをしたりした人々いたなどと想像することもなかった。 そこだけでも、作家の想像力ってすごい、と思う。 きっと今度大仏を見る機会があったら、見る目が変わっているはずだ。 人物は大勢出てくる。 その描き分けは大変なことだろうと思う。 が、この作品ではしっかりなされていて、安心して読める。 写経所のまだ若い経師である黒主は「僕は~です」といった話し方をする。 奈良時代に?と、最初違和感もあったけれど、しかしキャラには合っている。 真楯は宮麻呂に基本的には敬語で話すが、呼びかけは「宮麻呂」というのにも驚いたが、この時代はこんなものなのかもしれないと思ったりもする。
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奈良時代の仏像の造営現場を通して、当時の人々の様子や食べていたものを垣間見ることが出来る。仏像の話なのに、仏教でいうところの仏ではなく、市井の人の中の「仏」を描いているのがいい。
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202112/奈良時代の大仏建立現場が舞台、現場に集められた個性豊かな面々やとても美味しい食事を作る炊き出し担当等が登場人物達。とても面白かった!登場人物達の名前も馴染みのないものだけど、キャラがたっててわかりやすいので気になることなく読み進められた。時代的に身分による差もあり、...
202112/奈良時代の大仏建立現場が舞台、現場に集められた個性豊かな面々やとても美味しい食事を作る炊き出し担当等が登場人物達。とても面白かった!登場人物達の名前も馴染みのないものだけど、キャラがたっててわかりやすいので気になることなく読み進められた。時代的に身分による差もあり、仲間に気の毒な出来事が起きたりもするけど、設定もうまくいかされ人の世の辛さ生きていく大変さと救いが描かれていた。
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食事とは生命維持だけでなく、人と人をつなぎ、仲間、仕事、社会を作り上げるもの。 そして、仏とはあってなく、なくてある その意味が理解できた。 物語の入りは、取っつきにくく読みきれるのか心配だったけど、15ページも進めば物語の世界にどっぷり入れる。
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