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平岡正明論 の商品レビュー

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2018/09/24

僕の中で平岡正明は、相倉久人と並ぶ60年代以降のモダンジャズ批評の第一人者でありつつ、同氏と異なるのは、レーニン/トロツキーの影響を強く受けた政治思想の表出の度合い、という印象であった。そんな平岡正明の膨大なる批評を網羅的にまとめあげ、彼の思想を丹念に追った大谷能生の渾身の一冊。...

僕の中で平岡正明は、相倉久人と並ぶ60年代以降のモダンジャズ批評の第一人者でありつつ、同氏と異なるのは、レーニン/トロツキーの影響を強く受けた政治思想の表出の度合い、という印象であった。そんな平岡正明の膨大なる批評を網羅的にまとめあげ、彼の思想を丹念に追った大谷能生の渾身の一冊。 ただし、個人的な思いを表明するなら、僕自身は平岡正明のジャズ批評は一切認める気持ちがないのも事実である。過度にモダンジャズに黒人解放とか、政治的な色合いを込めたくなるのは、それは60年代という”政治の季節”を通っている彼らだけで通用する閉鎖的な言説に過ぎない。そもそも音楽という物理的事象に対して、過度な政治性を植え付けようとするのは妄想の類であり、そうした言説は精神病院の中で語られるべきである。 とは言いながら、本書を読みながら平岡正明という人間に心が惹かれるのは、そこに常に大衆/庶民、という軸があるからなのかもしれない。徹底して大衆/庶民文化をその批評対象とした平岡正明の言説からは、やはり下部構造が上部構造を規定するというマルクス資本論の最も有名なテーゼを強く感じるし、生活の土台のないところに文化がないというのは、強く同意できる。

Posted byブクログ