死後開封のこと(上) の商品レビュー
この作家の本、日本でもっと翻訳されてほしい..!!読みたい!! Big Little Liesのドラマ版を見て、ここに辿り着きました。 あーあのドラマの雰囲気!この作家の確立されたスタイルを冒頭から感じた。 中年男女の群像劇(主に女性を主人公とする)がまー絶妙にうまい作家です。...
この作家の本、日本でもっと翻訳されてほしい..!!読みたい!! Big Little Liesのドラマ版を見て、ここに辿り着きました。 あーあのドラマの雰囲気!この作家の確立されたスタイルを冒頭から感じた。 中年男女の群像劇(主に女性を主人公とする)がまー絶妙にうまい作家です。 過去にあった男の暴力が女たちを繋ぐというのも共通するかな。 Jackson BrodieシリーズのKate Atkinson が、あの作品で男の暴力の波紋を生きる女たちをすごく強調してアンソロジーとして描いていたことも思い出したんですが... ザリガニの鳴く〜とかにしても、女性の作家さんはすごくそういう女性の社会的傷をしっかり描いてるなあといつも感心します。このモリアーティさんもそうですし。 ところでタイトルは絶対原題の方が良かったなあ。Big Little Liesとも系列が揃うし。 最初は原題がhusbandsでなくhusbandで、secretsでなくsecretであることを不思議に思ってたんですが、読み進めるとなるほど。 言うなれば、水面に投げ込まれた一つの小石が波紋を呼んでいくということなので単数形であってるんですね〜。
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オーストラリアで作品すべてがベストセラーという作家、リアーン・モリアーティ。 読むのは「ささやかで大きな嘘」に続いて、2作目です。 シドニーに住むセシリアは、明るい性格。 3人の可愛い娘を育て、小学校のPTA会長もやっている。 販売のパートにも励み、かなりの売上を得ているやり手...
オーストラリアで作品すべてがベストセラーという作家、リアーン・モリアーティ。 読むのは「ささやかで大きな嘘」に続いて、2作目です。 シドニーに住むセシリアは、明るい性格。 3人の可愛い娘を育て、小学校のPTA会長もやっている。 販売のパートにも励み、かなりの売上を得ているやり手。 何も困ったことなどないように見えるセシリアだったが、実は夫との関係に悩んでいました。 夫は名家の出で優秀で仕事もできる上にハンサム、しかも穏やかな性格。 だが時折急に気分が変わって暗くなり、長年連れ添う妻にもよくわからない行動を取るのだ。 しかも、最近はセックスレス‥ 気にしすぎないほうがいいかと思いつつ悩むセシリア。 そんな夫の留守中、屋根裏で「死後開封のこと」という封筒を見つける。 夫に電話して聞いてみると、冗談めかした返事があったが、出張先から即座に戻ってきた。 なにか重大な秘密があるのか‥? 一方、シドニーの実家に戻ってきたテスも、悩みを抱えている。 そして、小学校の秘書レイチェルは、亡くなった娘のことで今も関係者を疑っています。 そんな3人の女性の人生が交錯した時‥?! どこにでもいそうな女性に降りかかった思いがけない出来事。これまで信じてきたことが壊れていきそうな… そんな興味をひくテーマを、現実味たっぷりに描いていく筆さばきに感嘆します。 警察や探偵が出てくるようなミステリではありませんが、一体どういう事情だったのか、考えさせられます。 そして、どうなる? とにかく面白い!
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表紙の絵のように、三人の女性が入れ替わり主軸となる。普通に過ごす普通の人生。基本的に子供がいて、わらわらばたばたしながらも女を満喫している。話が進むに連れ、この人達同士、じわじわと幅寄せしてきて、お互いの陣地に入り込んでくる。それが自然。最初は登場人物多すぎ!ヤメテ!と思ったが、...
表紙の絵のように、三人の女性が入れ替わり主軸となる。普通に過ごす普通の人生。基本的に子供がいて、わらわらばたばたしながらも女を満喫している。話が進むに連れ、この人達同士、じわじわと幅寄せしてきて、お互いの陣地に入り込んでくる。それが自然。最初は登場人物多すぎ!ヤメテ!と思ったが、意味なく増えない。ちゃんと物語の軸になる人しか出てこない。話の繋ぎ方がリレーバトンのように滑らかで、自分は非常に読みやすかった。専門知識だけひけらかして、だからなんなの?っていうミステリ多い中、この作品は好感持てるなあ。
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リアーン・モリアーティがうまいのは、日常の中に非日常を実にうまく盛り込むことだ。 まず描かれるのは、身近、あるいは自分かと思うような女性。 食事の用意をして、お茶をいれて、家族(こども)を急き立てつつ、メールをしたり、今後の予定(自分の予定、家族の予定)をめまぐるしく算段したり...
リアーン・モリアーティがうまいのは、日常の中に非日常を実にうまく盛り込むことだ。 まず描かれるのは、身近、あるいは自分かと思うような女性。 食事の用意をして、お茶をいれて、家族(こども)を急き立てつつ、メールをしたり、今後の予定(自分の予定、家族の予定)をめまぐるしく算段したりする。 主婦の日常だ。 「あるある」あるいは、「私はここまでうまくできないけど、○○さんならやりそう」と身近な人を思い出して親しみを覚える。そして、彼女の語る日常につり込まれる。 自分と彼女の脳内が「一致する」といっていい。 そこに、非日常が入り込む。 忙しくも当たり前な日常にやってきた、異物。 著者はこれを描くのがうまい。手練れだ。 手練れの作家なのだが、私は男性にはこの作者を薦めない。 「男性って」「女性って」と、ただ性別だけでひとくくりに語るのは浅薄なことだと思う。けれどもやはり多くの男性にこの著者の本は向かないだろう。 あなたの身近にいないだろうか? 「なにを話しているのかわからん!」と怒りたくなる女性が。 話の内容がわからない、なにについて話しているのか、誰についての話なのか、その話はどこにむかっているのか、そもそもさっきと同じ話なのか違うのか・・・・・・ モリアーティは、そういう女性の脳内をうまく描く。 もちろん、そんな女性たちのしゃべりとちがい、主語がある。 主語と述語は合致している。ちゃんと句読点はある。一文ごとに終わりがある。 だから、そんな女性たちのおしゃべりとはちがって、整っている。 整ってはいるが、めまぐるしい。 このめまぐるしさに、多くの男性はいらいらするだろう。 私がこの作者のどこに魅力を感じるかといえば、ユーモアだ。 厳粛であるべき時ところで、「不謹慎な」思いつきが頭にわき起こることがある。 それがとてもリアルに描かれている。 あまりに率直に描かれているので、「不謹慎な!」と怒る向きもあるかもしれないが、吹き出す人も多いだろう。私はこちらだ。 だから、電車内で読むことはおすすめしない。きっともれなく「変な人」になれる。 さらにうまいのは、あなたの目に見えているそれは、はたして真実の姿ですかという問い。 女性の中には、読み終えて、自身の夫が違う目で見てしまう人もいるかもしれない。 奥様、あなたは、どうだろう?
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※このレビューにはネタバレを含みます
3家族、3人の女性が主人公。それぞれの事情を抱えていて家族のこれから、自分のこれからを考えている。そこに過去の出来事が絡んできて色々とつながりが見えてくる。ミステリーではあると同時に家族小説でもある。著者の前作もそうだったけれど女性の人物造形、心理描写がすごくうまい。下巻も楽しみ。
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