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ファーストラヴ の商品レビュー

3.7

336件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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2024/05/17

本書は『ファーストラヴ』と言う甘いタイトルに反して、テーマは重くて深い。 父親を殺害した女子大生・環菜が逮捕された。臨床心理士・由紀がこの事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼される。担当弁護士・伽葉と共に事件の真相や動機に迫る。環菜の幼少期の関係者からの取材によって、本当...

本書は『ファーストラヴ』と言う甘いタイトルに反して、テーマは重くて深い。 父親を殺害した女子大生・環菜が逮捕された。臨床心理士・由紀がこの事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼される。担当弁護士・伽葉と共に事件の真相や動機に迫る。環菜の幼少期の関係者からの取材によって、本当の真相が紐解かれいく。 精神的な性的虐待と毒親について考えさせられる作品。一見、父親との間に問題があるように思えても、その背景には母親との問題が潜んでいることもある。娘が母親との関係性の危うさに気づいていないことも問題である。 環菜だけでなく、由紀や伽葉も幼い時期に辛い過去があり複雑なストーリー展開になっている。終盤につれてそちらの心境も整理されスッキリとしたラストを迎える。 『ファーストラヴ』に込められてた意味を知ると切なくなった。初恋は綺麗な思い出だけでは無いなと。

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2024/04/19
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※このレビューにはネタバレを含みます

この表紙が印象にあり、読みたかった本。 映画化されてたのを映画を観た後、この本だったのか!と気づきました。 北川景子さんがとても役にピッタリだと感じました。観てて違和感なかったです。 1番印象に残ったのは 父からのデッサンモデルを断る為にどうしたらいいか、幼いながらに考え 自分の闘い方を見つけた所。 泣けました。逃げたくても逃げられない日常。 自分だったらどうなんだろう。 母親にも助けてもらえない、家族にしか 分からない日常。 周りからは幸せそうに見えても蓋を開けてみないと分からないなと。 それがずっと頭に残りました。

Posted byブクログ

2024/04/21

第159回直木賞受賞作。 特に何の予備知識もないまま、島本理生さんなら間違いなかろうと借りてきたら、予想に反せず、一気に読み上げてしまった。 主人公はテレビにも出演する臨床心理士。 アナウンサー志望の女子大生が父親を殺害してしまった事件で、ノンフィクションを書くことになってる。奇...

第159回直木賞受賞作。 特に何の予備知識もないまま、島本理生さんなら間違いなかろうと借りてきたら、予想に反せず、一気に読み上げてしまった。 主人公はテレビにも出演する臨床心理士。 アナウンサー志望の女子大生が父親を殺害してしまった事件で、ノンフィクションを書くことになってる。奇しくもその弁護士は、夫の弟。実は大学時代に少なからぬ因縁がある人物だった。 この身辺の人間模様だけでも十分ドラマになるのに、この事件の真相がどうなっていくかのサスペンス的展開もあるもので、そりゃページを捲る手も止まりません。(ちゃんとご飯休憩は入れてますが) かなりデリケートな題材に作者は真摯に向き合っている気がした。温かい気持ちで読み終えることができたのも良かった。

Posted byブクログ

2024/02/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「ファーストラヴ」といわれると、どうしても「初恋」と安易に直訳してしまう。そうすると、表紙の写真からもこれは初恋の物語、それも歪んだ或いは許されない恋の物語なのだろうと受け取った。何故かというと、私のなかでこの島本理生という作家は、そういう恋の物語を描く作家という認識が強かったからなのかもしれない。 読み進めていくと、思い描いていたものとは違う内容に初めは戸惑ってしまった。 そして強く思った。 この小説は、今この時代、この瞬間に読まれるべきものだと。 なんらかの形で大人に搾取されている子ども、自分が傷つけられていることに気付かされないよう洗脳されてきた人たちがいることを、世の中はもっと知るべきだと思った。 この小説には、やはり今までの島本理生さんの小説に共通している(と私は思っている)、“心の傷を抱えている人たちーーートラウマを抱えている人たち”が登場する。主人公の真壁由紀もそのひとりだ。 この小説を読んでいくと「虐待」「毒親」という言葉を明らかに孕んだ表現や、登場人物たちのやりとりがいくつも出てくる。人の感性や思考は環境が作り出すというけれど、その中でも家庭環境は特に自分にとっての当たり前を形成していくもの。父親を殺害した聖山環菜は、自分の環境が当たり前となり人から見捨てられないため、生きていくために自分の本当の意思とは無関係に搾取される行動をとっていったのだと私も思う。 虐待を受けた人は自分が悪いと考え、なんとかその場を乗り越えるために自分の意思とは違う行動や言動をとってしまうという…。この小説は、おそらく多くの人が違和感を感じるであろう状況の説明に加え、何故そんな行動を環菜はとったのかということも説明してくれている。 作者である島本理生さんは、こんな現実がこの世にはあるんだということを、どれだけの思いで紡いでくれたのだろう。考えただけで胸が強く、苦しくなった。この小説の存在で、もしかしたら救われる人もいるかもしれないと感じずにはいられなかった。 この小説にもう少し深く入り込むと、何をもって虐待というのか定義をつけるのは難しいのではないと思った。(法律上の定義はあるけれど)身の危険、生きていくうえでの危機を感じるのなら、それはすでにその人自身が危険にさらされているに違いない。そして、そういった危機を感じとれるように、大人が子どもに教えていかなければならない。自分の身を守る、そして怖い目にあったときに誰かに助けを求められるような人になるためにも。 この物語を読み終えた後、私は不思議と晴れやかな気持ちになっていた。もちろん、これからも訪れる様々な困難を乗り越えねばならないときもあるだろう。けれど、由紀も、迦葉も、そして…環菜も皆自分を守る術を、自分の声に出せなかった思いを、自分の言葉で出すことができたのだから。 この物語はこれで終わりではない。ここから始まる。希望は残っていると思わせる終わり方だった。また、島本理生という作家にやられた。 「ファーストラヴ」というタイトル。 私はこれを「はじめての愛」という意味だと思っている。 自分自身を大事にしよう、愛そうと懸命に生き始めた人たちの物語だと思うから。

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2024/01/27

途中、登場人物がたくさん出てきて複雑で、離脱しそうになった。 でも、最後まで読んで良かったと思える作品。 全部が繫がった。

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2024/02/10

風邪じゃないけど喉のイガイガが治らん ってな事で、島本理生の『ファーストラヴ』 娘の環菜が父親を包丁で殺してしまう事件が起こる。 何故、環菜はが父親を殺してしまったのか、その経緯を探って行く程その闇は深さを増してく……。 恐怖から逃れる為に嘘をついていたんじゃなくて、...

風邪じゃないけど喉のイガイガが治らん ってな事で、島本理生の『ファーストラヴ』 娘の環菜が父親を包丁で殺してしまう事件が起こる。 何故、環菜はが父親を殺してしまったのか、その経緯を探って行く程その闇は深さを増してく……。 恐怖から逃れる為に嘘をついていたんじゃなくて、過去の忌まわしい出来事に逃れる為、生き抜く為に自分と言う人格を一切捨てて生きなくてはならない無情。 環菜は本当の自分?新しい自分を築いていけるのか……。 続編が有るのなら読みたいな。 辛い話です。リアルです。 2019年2冊目

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2024/01/14

島本理生さんが描く推理小説。という感じで、人と社会、家族制度、恋愛の内面に切り込んで行く感じ。 ここまでの心象観察はなかなか凄いなと思う。 そして、この方にしか書けない物語に感じる。その訴えたい事は、社会的な価値も非常に高い。 人にオススメできる。

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2024/01/05

どうしたら良かったのかなんて分からないけど、環菜が由紀にどんな形であれ出会えたことはきっと今後の人生を生きていくひとつの指針になったはず こういう親はいるし、その歪さに気づかないまま育ってしまったから幼少期に受けた傷を傷と認めることができなくてこうなってしまった  愛情がなにか...

どうしたら良かったのかなんて分からないけど、環菜が由紀にどんな形であれ出会えたことはきっと今後の人生を生きていくひとつの指針になったはず こういう親はいるし、その歪さに気づかないまま育ってしまったから幼少期に受けた傷を傷と認めることができなくてこうなってしまった  愛情がなにか分かる?私は、尊重と尊敬と信頼だと思ってる この言葉で頭を殴られたような衝撃を受けた 尊重と尊敬と信頼、わたしはあっただろうか はかれない愛をひとつの指標にそって「これは愛情だ」と感じるために尊敬と尊重と信頼は適切な単位 だけどこの考えに辿り着くまでには誰かに愛された経験が大事だと思うし、由紀は迦葉や我聞と出会ってその考えに至れたけど、環菜は本当の意味で本当に必要な人に愛されてこなかった 本当に家庭環境は成育に関わりすぎる 必要なステップが取られてないと何が常識から外れているのかわからないし、それが普通って思って過ごしてしまうし環菜のように自責思考に陥ってしまう

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2023/12/02

面白い小説に出会えた。 色々と考えさせられることもあったが、重い内容の割にサラッと読破出来た。 主人公がとても魅力的なキャラクターで尚且つ支える周りのキャラクターもとても魅力的だった。全体を通して内容の濃ゆい小説だった。 ナラタージュと同じ作者と知りさすが細かな感情を繊細に文字に...

面白い小説に出会えた。 色々と考えさせられることもあったが、重い内容の割にサラッと読破出来た。 主人公がとても魅力的なキャラクターで尚且つ支える周りのキャラクターもとても魅力的だった。全体を通して内容の濃ゆい小説だった。 ナラタージュと同じ作者と知りさすが細かな感情を繊細に文字におこすことができる方だと納得した。また他の小説も手に取ってみたい。

Posted byブクログ

2023/12/02
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※このレビューにはネタバレを含みます

島本理生さん、勝手にドロドロの恋愛小説って思っていて全然読むことなくいたけど、これはそうじゃなくてミステリーで感動してすごく良かった好きだった! お父さんを刺してしまった女子大生・環菜の発言が裁判でガラっと変わるのがとても気持ちよかった。今の世の中、ズルい大人って多いから小さくて弱いと利用されるばかり、救われるのを願うだけじゃなくて自分で自分を守っていこうって改めて思った。 あと、臨床心理士・由紀の夫、我聞さんの愛情がまっすぐで憧れる、そういう素敵な人の存在も良かったし、『宝塚が好きそう』なお友達の香子ちゃんがいてくれて本当によかったと思う。知らない大人の男性は少女を性的に見ることがあってそのため一時の優しさだったりするけど、同年代の女子の好意は(一方的過ぎることもあるけど)律儀で優しいもの、大切だなぁと思う。

Posted byブクログ