その話は今日はやめておきましょう の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
五十万円の押し問答の所からとことん騙されていっちゃうのか…と思ったけど、正気というかちゃんと「疑う」ということを捨てないでよかった。 共有の趣味がある、会話もある、夫婦生活もある、仲の良い夫婦なんだな。 夏希のアメリカ行きも、子供は夏希だけじゃなく睦郎も近くに住んでいるようだからまぁいいんじゃないか。
Posted by
いつか自分にもこんなふうに若者に騙されたりする日が来るんじゃないかとはらはらした。すごく不快な気持ちで読んだ。 一樹は根っからの悪人ではないけど、そこがまた腹立たしいというか、いらいらした。ゆり子は上品で思慮深く、時にしっかりと自分の意見を放つ。 惚れなおした、という夫はどこか頼...
いつか自分にもこんなふうに若者に騙されたりする日が来るんじゃないかとはらはらした。すごく不快な気持ちで読んだ。 一樹は根っからの悪人ではないけど、そこがまた腹立たしいというか、いらいらした。ゆり子は上品で思慮深く、時にしっかりと自分の意見を放つ。 惚れなおした、という夫はどこか頼りないけど、老夫婦の姿としては理想的なのかも。
Posted by
あるところに、荒くれた若者がいました。若者は根っからのクズではないものの、すさんだ生活をしていました。ある日、善良なお爺さんお婆さんと出会い、若者は老夫婦のお手伝いをしていくうちに、素直な心を取り戻していったとさ。めでたしめでたし。とすんなりちゃんちゃんといかないのが井上荒野。も...
あるところに、荒くれた若者がいました。若者は根っからのクズではないものの、すさんだ生活をしていました。ある日、善良なお爺さんお婆さんと出会い、若者は老夫婦のお手伝いをしていくうちに、素直な心を取り戻していったとさ。めでたしめでたし。とすんなりちゃんちゃんといかないのが井上荒野。もうクライマックスがヒヤヒヤ。地面に放置された金魚のように呼吸困難になった。若者でもなければ老人でもない私は、誰に感情移入しているのか?さっぱりわからないが双方の心の機微がうまいのでかなり面白かった。結論:スポーツはやっぱりイイネ!
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
うーん、よかった。今、自分の口角が上がっているのがわかる。あと味悪くないラストでよかったとホッとしたのだ。 上品で健康で金持ちで呑気な老夫婦、おまけに仲がいいとくればもう、申し分のない二人だ。子供達もそれぞれに幸せで。そこにささやかに波風を立てることになる一樹、こちらも本当の悪党ではないからまずいことにはならないのだった。 素敵だったな、ゆり子さん。 この手のワールド、得意だよなぁ荒野さん。 一樹が春子と一緒になって、まっとうな職を得て子供に囲まれて幸せになったんたらいいなぁ。
Posted by
井上荒野さん、すっごく丁寧に描かれる方で読んでると気持ちがほっこりする。 今回は、大楠老夫婦がなんだか影のある?アウトロー的な雰囲気の青年とのやりとりでちょっとハラハラするストーリー。 真実から目を逸らすというか、無かったことにしたいズルさとか、偽善とか、あまり直視したくない人間...
井上荒野さん、すっごく丁寧に描かれる方で読んでると気持ちがほっこりする。 今回は、大楠老夫婦がなんだか影のある?アウトロー的な雰囲気の青年とのやりとりでちょっとハラハラするストーリー。 真実から目を逸らすというか、無かったことにしたいズルさとか、偽善とか、あまり直視したくない人間の嫌な部分を描かれていて座り心地が悪いムズムズする本でした。 でもラストは、人生の年長者、先輩はやはり一枚上手だしみくびってはいけないとビシッとカッコいい作品でした。
Posted by
なかなか面白く、すぐに読んでしまった。 大楠夫婦が一樹に騙されず、果敢に立ち向かっていくところがよかった。ゆり子さん凛々しい。 それにしても一樹の言動が嫌。根っからの悪人ではないとしても普通の人は誰かを殴りたいなんて思わないよ、、
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
面白くてあっという間に読んでしまった。 穏やかな老夫婦のもとに、人を殴るのが気持ちいいというヤバめの若者が家事手伝いに来る段階で、どうか相互に良き影響を与える話であってくれ…と祈った。 実際はどうだろう、若者は詐欺まがいのことをし関係は崩壊するが、老夫婦は困難を解決できたことで自分に自信を取り戻し生活は活性化した。 若者の方も、たまたま気持ちがそっちに振れて悪事をしてしてしまっただけで、多分もうああいうことはしないんじゃないか。 老夫婦、50万円を詐欺られそうになった時に子供に相談しないし若者の身元を調べようともしないし悪手を打ってばかりで、これを回避できたのは本当に運がよかっただけなんだけど、 でもこれは詐欺だという結論を2人で話し合って出せた、その点がすごく良かったな。 きっとこれまでもそうして知恵を絞って支え合ってきたからこの穏やかな老後があるんだろうなと思った。 しかし老夫婦がロードバイクで走る描写、普段電動自転車に乗っている身として肩身狭かったな〜。
Posted by
人生の終盤、老いの現実に揺らぐ夫婦と、身の振り方が定まらず迷える20代半ばの青年との関わり。 どの年代もそれぞれの葛藤がありますね。 会う度に小さくなる私の父母が、肩寄せあってふたりで暮らしていることを想いながら読みました。 穏やかな老後の生活につむじ風がたったくらいの、何...
人生の終盤、老いの現実に揺らぐ夫婦と、身の振り方が定まらず迷える20代半ばの青年との関わり。 どの年代もそれぞれの葛藤がありますね。 会う度に小さくなる私の父母が、肩寄せあってふたりで暮らしていることを想いながら読みました。 穏やかな老後の生活につむじ風がたったくらいの、何気ないストーリーです。それをこんなにも豊かに描きあげているのは素晴らしい。 老夫婦の心の機微、その形容しがたい心の細やかな動きを、身を置く場所、会話、見るもので表現しています。 丁寧な書き筋に、品の良さを感じる作品でした。
Posted by
Eテレのネコメンタリーという番組で、井上荒野さんが出ており、言葉選びにこだわっているという事をおっしゃっていたので読んでみたくなりました。井上さんのご著書は初めて読みます。 上品な老夫婦のもとに、上司を殴ってクビになった青年が現れ、家事手伝いのバイトをすることになる。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
*定年後の誤算。一人の青年の出現で揺らぎはじめる夫婦の日常―* なんともはや。 巧過ぎます。 老夫婦の寄る辺なさ。どちら側にも簡単に揺れてしまう青年の脆さ。 最後は「だまされていることじゃなく、だまされちゃいけないと言うことに気が付いた」老夫婦に軍配が上がってほっとしましたが、「いつでも誰かや何かが、したくないことを俺にさせる」青年は何処にたどり着くのでしょう・・・ なんとも言えない寂しさの残る読後感ではありますが、双方の心の機微が痛いほどに伝わってくる、巧みな表現力に脱帽です。
Posted by