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教養のグローバル・ヒストリー の商品レビュー

4.4

9件のお客様レビュー

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2023/04/21

 高校世界史の範囲を外れることなく、世界史上に存在した具体的な交易・情報ネットワークを軸とし、グローバルヒストリーの立場からの通史を記している。  語りの枠組みを再構築しつつも、教科書的内容との整合性を保つことに努めているため、あらためて一般的な歴史知識をおさえ直す用途にも向いて...

 高校世界史の範囲を外れることなく、世界史上に存在した具体的な交易・情報ネットワークを軸とし、グローバルヒストリーの立場からの通史を記している。  語りの枠組みを再構築しつつも、教科書的内容との整合性を保つことに努めているため、あらためて一般的な歴史知識をおさえ直す用途にも向いている。

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2022/05/17

世界システム論(グローバルヒストリー)の観点からの通史。ヨーロッパとか中国とかインドとかという個別の通史ではなく、世界全体のネットワークの変遷が解説されている。これが、高等学校の教科書にある内容から組み立てたものとは驚いた。

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2021/07/21

交易やネットワークを中心に世界史をまとめている。地域別ではなく、時代ごとに追っているため、地域間のつながりも流れもわかりやすい。 それにしても、16世紀以降、19世紀以降のヨーロッパの暴力性は何が由来なのかという疑問を持つほど目立つ。

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2020/10/14

足掛け半年ぐらい。 世界史を教える立場になり、自身の知識を高めようと読んだのだが、これは非常に参考になった。 グローバルヒストリーという概念。 私は横の歴史を串刺しするという認識として理解した。 また何回も読んで、参考にしていきたい著作。

Posted byブクログ

2020/03/01

おもしろい。主に物の動きを中心にして世界史を展開していく。この視点は歴史の学び方のひとつの視点としてとても役立つと思う。

Posted byブクログ

2019/10/07

もうこれを世界史の教科書にしたらいいんじゃね、と思うくらい素晴らしい著作だ。 著者自身も後書きに匂わせているが、学校で使われている世界史の教科書は、国史・東洋史(という名の中国史)・西洋史(という名の西欧史)の権威者が、他の領域を犯すことなく記述した内容を寄せ集めただけのものに...

もうこれを世界史の教科書にしたらいいんじゃね、と思うくらい素晴らしい著作だ。 著者自身も後書きに匂わせているが、学校で使われている世界史の教科書は、国史・東洋史(という名の中国史)・西洋史(という名の西欧史)の権威者が、他の領域を犯すことなく記述した内容を寄せ集めただけのものにすぎない。グローバルな視点からどのように世界が変遷していったか、という記述はほとんど皆無である。正しくは世界史じゃなくて、地域史の寄せ集め、というべきものだ。 本書はそうした世界史教育界にあった従来の村社会のような視点を打ち破り、画期的な切り口で歴史の真髄に迫ったものである。 ただし、表現は教科書風のままなので、読みやすさには難点がある。読むのに足掛け半年かかった。

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2019/02/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

海洋ネットワークの担い手としてのポルトガル(これまでと大きく異なった点) ・都市を軍事占領していった点 ・交易ルートを独占的に支配しようとしたこと(都市という点の支配ではなくネットワークの線を支配) ・本国から遠く離れた海域を支配しようとしたこと このように、領域の支配ではなく、海洋ネットワークの支配によって複数の世界を結ぶ海上交易の独占をはかる国家を、海洋帝国と呼ぶ。ポルトガル海洋帝国の出現によって、有史以来の平和な海は、にわかに抗争の時代に入った。(p.151)  ハイチ独立によって人権にもとづく近代思想が黒人奴隷の解放というかたちで結実すると、イギリス国内でも奴隷反対の世論が高まった。奴隷反対運動を展開したのはトーリーの議員ウィルバーフォースである。  この世論をうけてイギリスは、1807年に奴隷貿易廃止という画期的な決定をする。この決定には、砂糖輸入関税引き下げに反対するカリブ海プランターたちへの牽制という背景があったが、その結果カリブ海ではなく(奴隷貿易が続く)ブラジルから安価な砂糖がイギリスに流入し、砂糖価格が下落した。 安価な砂糖の流通は、労働者のカロリー源として定着した砂糖入り紅茶の消費をのばし、中国産の茶の輸入を増大させた。中国貿易拡大への圧力はさらに強まっていく。(pp.245-246) 19世紀後半のアジアでは、近代化した日本・清・タイ、あらたに開国した朝鮮、「帝国」に組み込まれた他の東南アジア諸国とインドといった、複雑な状況が作り出されていた。興味深いのは、これらの状況の異なるアジア諸地域が相互に結びつき、ヨーロッパ中心の不平等なネットワークとは異なる自立した貿易ネットワークを作り出していったことである。近代グローバル・ネットワークにおいて重要な点は、開港場が増えていったことである。(p.286)

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2019/02/04

高校の教科書に書かれていることをベースにして紀元前から現代までのネットワークの世界史を叙述した本。バランスの良い叙述で読みやすく、一気に通読できる。高校の世界史等で何がどう教えられているかもよくわかるので、その意味でも勉強になった。 もっとも本書は、高校の教科書には「こうこう書...

高校の教科書に書かれていることをベースにして紀元前から現代までのネットワークの世界史を叙述した本。バランスの良い叙述で読みやすく、一気に通読できる。高校の世界史等で何がどう教えられているかもよくわかるので、その意味でも勉強になった。 もっとも本書は、高校の教科書には「こうこう書かれている」という話ではない。事実の記載は高校教科書レベルでもそれをネットワークという観点から再構成するのは簡単なことではなく、本書はそれに成功していると思う。 自分が昔書いた論文も掲載されている川勝平太編著『グローバル・ヒストリーに向けて』(藤原書店、2,002年)も参考文献リストに挙げていただき、感謝。

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2019/01/27

ある地域の出来事が他地域へ影響を及ぼしていたというのがよくわかるが、それ以上に興味深かったのは、そもそもは経済ネットワークが存在しそれが政治や技術革新の影響を受けて進展していく、という捉え方。 特に13世紀の大モンゴル以降は動きが大きくなるのと、史実としての馴染みもあるので非常...

ある地域の出来事が他地域へ影響を及ぼしていたというのがよくわかるが、それ以上に興味深かったのは、そもそもは経済ネットワークが存在しそれが政治や技術革新の影響を受けて進展していく、という捉え方。 特に13世紀の大モンゴル以降は動きが大きくなるのと、史実としての馴染みもあるので非常に楽しかった。いわゆる大航海時代からオランダ・イギリス・フランスの台頭、アメリカの登場など改めて流れがよくわかった。 また早い時期からの東南アジアの隆盛や昔からのヨーロッパからみた東洋の魅力、西洋中心の価値観がどうして生まれたのか?などもこの本を通じて認識できた。 歴史を知ってると絵画鑑賞なども一層楽しめる。そういう意味でも価値ある一冊と思う。

Posted byブクログ