ヴェネツィアの出版人 の商品レビュー
良書の出版を模索し続け、商業印刷の父と呼ばれたアルド・マヌッイオ(1450-1515)について、スペインの作家が書いた小説。 今でこそヴェネツィアは観光の町として世界中の訪問客に優しい。しかし元々は隙あらばの商人に騙される奴が悪い、そんなどこにでもある町だった。きっと今も裏の顔は...
良書の出版を模索し続け、商業印刷の父と呼ばれたアルド・マヌッイオ(1450-1515)について、スペインの作家が書いた小説。 今でこそヴェネツィアは観光の町として世界中の訪問客に優しい。しかし元々は隙あらばの商人に騙される奴が悪い、そんなどこにでもある町だった。きっと今も裏の顔は変わっていないのだろう。読み進めたくなるまでは辛い話が続く。四百頁近い長編なので読み終えるのは結構、大変だった。 変わらない町だから作品中の建物、地名について地図が付いていたら嬉しかったとも思う。今度、ヴェネツィアに行ったら彼の足跡も訪れてみたい。あれっ架空なのかな。
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「海の都の物語」での洗練されたヴェネツィアのイメージはまぁ崩れたな。 しかし塩野七生さんの別の本(ルネッサンスとはなんであったのか、だったかな?)でも出てきたけど、本好きとしては、八つ折り本の発明など、本を身近な存在にしてくれたアルド・マヌツィオに感謝せずにはいられない。やはりこ...
「海の都の物語」での洗練されたヴェネツィアのイメージはまぁ崩れたな。 しかし塩野七生さんの別の本(ルネッサンスとはなんであったのか、だったかな?)でも出てきたけど、本好きとしては、八つ折り本の発明など、本を身近な存在にしてくれたアルド・マヌツィオに感謝せずにはいられない。やはりこのアイディアは、商魂たくましい義父より、本物の本好きだからこさ出せたアイディアだったのだろう。
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実在の人物を取り扱っているけれど、伝記ではなく小説。なのでアルド・マヌツィオの激動の人生がよりドラマチックに描かれている。ボリュームのあるページ数と人物の名前がややこしいのとでちょっと戸惑うけれど、翻訳物としては読みやすい文章なので一気に読むことができた(登場人物の名前をメモしな...
実在の人物を取り扱っているけれど、伝記ではなく小説。なのでアルド・マヌツィオの激動の人生がよりドラマチックに描かれている。ボリュームのあるページ数と人物の名前がややこしいのとでちょっと戸惑うけれど、翻訳物としては読みやすい文章なので一気に読むことができた(登場人物の名前をメモしながら読んだのも良かった) 出版に関する数々の偉業を成し遂げた人物でありながら、学者肌で時代や商業主義に振り回され、女性に心乱されるアルドが人間くさくて愛おしい。他にも彼が愛するしたたかで愛情深い二人の女性や彼のエキセントリックな友人ジョヴァンニ・ピコ・デラ・ミランドラ等の魅力的な人物や、義父アンドレアや聴罪司祭ジロラモ・サヴォナローラ等の悪役と、皆キャラがたっている。話の中に出てくる書物や時代背景等のため、博学でないと楽しめないかと思いきや、その生き生きした人物の描き方により、エンターテイメントとして楽しめた。
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”商業印刷の父”アルド・マヌツィオ(アルドゥス・マヌティウス)の生涯を、彼を取り巻く人々の印象で交響曲のように描いた作品。 少し前に読んだ絵本「カエサルくんと本のおはなし」に出てくるアルドゥス、こんなにも立体的になってまたお会いできるとは。 当然フィクションの部分がおおいにあ...
”商業印刷の父”アルド・マヌツィオ(アルドゥス・マヌティウス)の生涯を、彼を取り巻く人々の印象で交響曲のように描いた作品。 少し前に読んだ絵本「カエサルくんと本のおはなし」に出てくるアルドゥス、こんなにも立体的になってまたお会いできるとは。 当然フィクションの部分がおおいにあるんだけど(ピコデラミランドラのとことか)、それこそ細い塀の上をどっちにも落っこちずに渡り切った感じの本。 p.s. 表紙に、この本をつらぬくテーマである、festina lente(ゆっくり急げ Latin)の寓意である錨に巻き付いたイルカが型押ししてあっておしゃれ!よく見ないと気づかないかも?
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