八月の光 の商品レビュー
20世紀初頭のアメリカ南部を舞台にした小説。 黒人奴隷などの社会的慣習と、キリスト教中心主義の否定など、強制的な近代化の波の中で翻弄されながら、価値観の転換と喪失感が漂う作品でした。 正直いきなり物語から入ってしまったので、解説を先に読めば良かったと後悔。 たぶん6割くらいし...
20世紀初頭のアメリカ南部を舞台にした小説。 黒人奴隷などの社会的慣習と、キリスト教中心主義の否定など、強制的な近代化の波の中で翻弄されながら、価値観の転換と喪失感が漂う作品でした。 正直いきなり物語から入ってしまったので、解説を先に読めば良かったと後悔。 たぶん6割くらいしか理解出来ていないと思う。 そもそも独特な独り言のような、イマジネーションが言語化されたような不思議な文章で、感覚的に読むような小説だったので、より舞台背景を先に頭に入れておく事をおすすめします。 解説や訳者あとがきか素晴らしく、ネタバレが少しあるが、先に読んでも良かったかなと思いました。 でもやっぱりドストエフスキーやトルストイと同じくちょっと長いなぁ〜
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一生忘れられない作品になりました。実験的な作品構造と、思考を強要させられるような表現に驚かされつつ、出来のいい人間ドラマとしても楽しめました。 現代人が直面するアイデンティティの不在に対する問題意識は、クリスマスの苦悩と重なる部分があると思います。
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遠い昔に原著で挑戦したが読破できなかった物語を新訳で挑戦。すごくわかりやすい。翻訳家ってすごい。 物語自体は割りと重い。アイデンティティや孤独をテーマとした話がアメリカ南部を舞台に展開される。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ディープサウスの田舎町を舞台に繰り広げられる、壮絶な物語。一つの事件を様々な登場人物の視点から語ることで、当時のアメリカ南部の宗教的価値観や人種問題を克明に描き出している。 内的独白や葛藤が究極の密度で描写されるため、多少読みにくい部分はあるものの、翻訳がとてもよかった。 この物語のテーマをあえて一言で表すならば、「孤独」。登場人物の誰しもが何らかの孤独・内面的葛藤を抱えており、それら「社会のはぐれ者」の視点から当時の南部の因習を語ることで、作品の深度を高めている。 リーナとバイロンがテネシー州に一緒に行くラストは、希望的に描かれていると感じた。バイロンの内的独白『人間ってたいていのことには耐えられる』(p.606)は、おそらく作中唯一の前向きなメッセージ。ふたりがその後どうなったかは語られないものの、結ばれてほしいなと切に願う。 以下、メモ書きおよび人物像 ⚪︎ジョー・クリスマス 黒人との混血であることを原因に、自己認識に苦しむ姿を描き、読者に対してアイデンティティの倒錯を追体験させる役割を担っている。 ⚪︎ジョアナ・バーデン 先祖から伝わる奴隷制度廃止論を、田舎町で静かに貫いている中年女性。善人として描かれると思いきや、クリスマスと情交に堕ちていく様はとても人間臭く、この女性の人物像をよりリアルなものとしている。 ⚪︎ゲイル・ハイタワー 南北戦争で活躍した先祖に囚われすぎていることが原因で迫害にあってしまった元聖職者。孤独を抱えながらも、人には親切。 ⚪︎リーナ・グローヴ 作者曰く、本作品の主人公。身重だが、まっすぐに未来に向かって進もうとする。暗い本作品において、唯一希望的に描かれている。 ⚪︎バイロン・バンチ 最も普通の人物として描かれている。この人物の内面的葛藤は恋愛から来るものであり、他の人物より一回り軽いように感じる。50キロ離れた町で聖歌隊を指揮する一面も。リーナのことが好きすぎて、リーナの子供の父親と決闘するも惨敗。
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とってもしんどい 読むのに1ヶ月かかった。 それぞれの物語があって、それが1つの事件と絡む構成はカラマーゾフの兄弟のような感じもある
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戦間期のアメリカ南部。黒人や女性を抑圧する社会の空気に縛られつつ抗う。そのあり様は登場人物によって様々で、彼らが織りなす物語に福音書のイメージが重ねられもする。訳者は後書きで読者に再読を勧めているが、確かにそうすることによって汲み出すことができるものは多いように思う。ただ結構長い...
戦間期のアメリカ南部。黒人や女性を抑圧する社会の空気に縛られつつ抗う。そのあり様は登場人物によって様々で、彼らが織りなす物語に福音書のイメージが重ねられもする。訳者は後書きで読者に再読を勧めているが、確かにそうすることによって汲み出すことができるものは多いように思う。ただ結構長い作品なので、実際再読するかと言われると考えてしまう。
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「普通」の人生などないと改めて感じさせる。なかでもクリスマスのアイデンティティの拠ってたつもののなさに一滴混じった悪意の果たすものの大きさ、それがもたらした複雑な生き様、そして悲劇には深く考えさせられるものがあった。人生において繰り返し読むに値する一冊。それにしても米国南部の歴史...
「普通」の人生などないと改めて感じさせる。なかでもクリスマスのアイデンティティの拠ってたつもののなさに一滴混じった悪意の果たすものの大きさ、それがもたらした複雑な生き様、そして悲劇には深く考えさせられるものがあった。人生において繰り返し読むに値する一冊。それにしても米国南部の歴史が抱える深い深い業よ。
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出だしの美しさにピンと来たら、読んで見るべきだ。 映画業界に参入する事で、小説家としての立ち位置が 微妙になった感のある、フォークナー。 だが、月の光がどこへ導くのか。 村上春樹の、ねじまき鳥クロニクルのような、 ある種行き着く先の知れない感じを楽しみたい人にお勧め。 あま...
出だしの美しさにピンと来たら、読んで見るべきだ。 映画業界に参入する事で、小説家としての立ち位置が 微妙になった感のある、フォークナー。 だが、月の光がどこへ導くのか。 村上春樹の、ねじまき鳥クロニクルのような、 ある種行き着く先の知れない感じを楽しみたい人にお勧め。 あまり難しく考えないで読んで、時が来たら意味を調べるのが良いと思う。
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白人と黒人という相反するアイデンティティを抱えてしまったクリスマスはそれぞれの属性を持つ人々を攻撃していく。彼は自分の出自に悩んでたことはもちろんだが、その悩みすら受け入れてくれない近代に馴染めなかった一匹狼の男だ。彼の不気味でこの世全てに悩めない感じはハンターハンターのジャイ...
白人と黒人という相反するアイデンティティを抱えてしまったクリスマスはそれぞれの属性を持つ人々を攻撃していく。彼は自分の出自に悩んでたことはもちろんだが、その悩みすら受け入れてくれない近代に馴染めなかった一匹狼の男だ。彼の不気味でこの世全てに悩めない感じはハンターハンターのジャイロを彷彿とさせていた。 登場人物の多くが過去の出来事や祖先に囚われているのも近代に馴染めないということであろう。また、その状態から救われるためにキリストに救いを求めているのだろう。 小説の描写から、南部の貧乏白人や黒人が暮らしている治安の悪い雰囲気を体感できる。
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フォークナーをこんなに面白く読めたのは初めて。翻訳が素晴らしい。各登場人物のこだわりが凄まじく、おかしくなるほど。執念に近い強い意志で、周囲がなんと思おうと自分の思い通りに行動する。でもその源には、祖先や両親や慣習などの影響力が働いていて、結局のところ、本当に自由には生きられない...
フォークナーをこんなに面白く読めたのは初めて。翻訳が素晴らしい。各登場人物のこだわりが凄まじく、おかしくなるほど。執念に近い強い意志で、周囲がなんと思おうと自分の思い通りに行動する。でもその源には、祖先や両親や慣習などの影響力が働いていて、結局のところ、本当に自由には生きられない。シンプルな考えで動くリーナが一番力強くて明るい。
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