君の名前で僕を呼んで の商品レビュー

アンドレ・アシマン(著者),高岡香(訳者)

2018/07/22

福永武彦っぽいと思ったのはなぜだろう？
父親の本棚に『草の花』を見つけて読んだことを思い出す。
ほしいんだけど生涯を供にすることはできないとわかってるからなるべく避けたいと思うとか身を引くとか、気づかないフリをするとか。いろんな対処法はあることを知ってるのは大人だけだ。
たしかに、昔、エリオのように前後不覚で何もわからずに誰かを求めたことはあった。
オリヴァーの事情はわからないけれど、エリオのことが心底羨ましかったんだろう。素晴らしい環境に身を置く美しい少年として生きられたらどんなに良かっただろう。
『嵐が丘』への言及。私がヒースクリフ。あとは、『ボヴァリー夫人』。マダムボヴァリーは私だ、といった作者。
自他の境界を越えてしまうことはできないことを前提としているから美しい台詞ではある。でも、私はそんな言葉には興奮しない。
エリオはオリヴァーのことを思ってはいるけれど、オリヴァーと同じように家族がいるのではないかと思う。自分の感傷を語らずにいられなかったのは何故なのか。
映画を観てみたい。

2020/08/15

映画だけ観た。

映像が美しかった。
あんな避暑地で夏休みを過ごせたらなぁ。
エリオくんを取り巻く全ての文化資本が高くて、
この子は恵まれてるなぁとつくづく思った。

この時代の同性愛は非常に敬遠されてただろうから、
周囲の理解もあって、順調に両思いで、
色々と事が上手く運ぶ点はあまり腑に落ちなかった。

言葉少ななやりとりだけに、なぜ両想いと分かったかもよく分からず。
え？今想いを告げたの？こんな感じでいいの？の連続。

あとオリバーくん、あれ24歳には見えないよ…

色々と いやそれはNGだろ… という連続で自分の閾値がこの映画と噛み合わなかったので、この映画は素敵な避暑地体験としておさめることとする。

エリオくんはヒョロヒョロ坊やだったけど、オリバーくんはモデル並みの細マッチョボディでイケてました。あと短パンがその名の如し短ぇ。

言えることは、どんな形であっても愛は尊く美しいってことかな。

大人になってもあんな夏休みが過ごせるなんてどんな社会の制度？仕事は？とかそっちが気になったわ…

2018/06/05

映画を先に見た。映画館から出てひとりでふわふわ歩きながら、画面の中の異国の夏の色彩の深さに、現実の目の前の街中の昼のひかりが嘘っぱちみたいに見えた。見終えた余韻がすごくて、その足で原作本を買って読んだ。だから、読みながら脳内に浮かぶ景色や色彩やひかりやまなざしやふるまいは、映画の印象が乗っかっていた。今回ばかりは、それがよかった。とても、よかった。

2018/06/03

「死ぬとき僕がさよならを言いたい相手は君だけだ。（中略）僕たちは素晴らしいチャンスをたくさん逃してしまった。まさに昏睡状態だよ。明日僕は昏睡状態に戻る。君も自分の昏睡状態に戻る。」

自分の名前で愛している人を呼ぶという行為以上に愛を伝えられる行為は存在するのかな。全部羨ましかった。

2018/05/21

北イタリアでの一夏とその20年後を描く。 エリオは『まだ』オリヴァーを思い続けていた。 眩しすぎるほどの愛。これほど切なくて、儚くて、美しい愛に、今まで出会ったことがあっただろうか？