猫の楽園 の商品レビュー
評論社は翻訳児童文学を主に出版している会社で、これも一応子ども向けということになってはいるが、読んでみて、これは子どもにはわかるまいと思った。 最初の「アンジュリーヌ」はサキの「開かれた窓」みたいな味わいで、これはまあ、いいかもしれない。しかし次の「広告の犠牲者」は現代も同じと解...
評論社は翻訳児童文学を主に出版している会社で、これも一応子ども向けということになってはいるが、読んでみて、これは子どもにはわかるまいと思った。 最初の「アンジュリーヌ」はサキの「開かれた窓」みたいな味わいで、これはまあ、いいかもしれない。しかし次の「広告の犠牲者」は現代も同じと解釈できるにせよ、子どもにはよくわからないだろうし、「恋愛結婚」は不倫相手と結婚するために、相手の夫を殺すという話で、子ども向けとは思えない。「猫の楽園」も、猫の姿を借りた寓話であることは言うまでもないが、子どもには猫の話にすぎないだろう。「血」はカインのアベル殺しやキリストの磔刑など聖書の場面を臨場感たっぷりに描き、なかなかの迫力なのだが、聖書を知らなければなんのことかわからない。「オリヴィエ・ベカイユの死」と「コックヴィル村の酒盛り」は長めの話で、個人的には「オリヴィエ・ベカイユ」が一番面白かった。しかし、あまりに苦い後味の作品で子ども向けではない。「コックヴィル村」も酒を飲みまくっていがみ合っていた2つの家が仲直りするって話で、これも子どもにはね…。 子ども向けなので、エロティックなところは極力抑えた翻訳にはなっているが、その雰囲気は伝わる。 まあそもそも子ども向けじゃないんだから、子どもに面白いかどうかで評価するのもおかしいわけで、小説としてはさすが文豪という感じ。 今時の子どもの読書傾向を置いておいても、子どもには理解不能な話が多く、無理に子どもに読ませる必要はない。ヨシタケシンスケの絵がいかにもユーモラスで面白そうに見えるのか「看板に偽りあり」。 まあ、大人になって、人生の悲哀を経験してから読むといいと思う。
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(2024/03/09 2h) 寓話集のようで、楽しい短編集。 初めて読むエミール・ゾラの著作となった。 読んでみたいと思っていたゾラの本であり、猫の癒やされる表紙であり…ということで惹かれて読んだ。 全7 作 長さはバラバラの短編。 好きな順で 「広告の犠牲者」 「猫の...
(2024/03/09 2h) 寓話集のようで、楽しい短編集。 初めて読むエミール・ゾラの著作となった。 読んでみたいと思っていたゾラの本であり、猫の癒やされる表紙であり…ということで惹かれて読んだ。 全7 作 長さはバラバラの短編。 好きな順で 「広告の犠牲者」 「猫の楽園」 「コックヴィル村の酒盛り」 皮肉の効いたストーリー多めで、ゾラの作風がなんとなく分かったような。 つぎは長編に挑戦したい。 「世界ショートセレクション」シリーズの七作目として理論社から出された本。 児童向けなのだろう、字も大きくフリガナが打ってある。内容はヘビー寄りか。 形式からして読みやすく、読書のリハビリとして良かった。 他の作家のものも手を出してみようと気楽に思える。
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エミール・ゾラ(仏) 「オリヴィエ・ベカイユの死」死んだと思われ埋葬された男が復活したが、既に社会から抹殺された男には、帰る家も生きる理由もない。切なすぎる話。
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〇人間を信じている人の眼差しだなあと。悲劇さえも。 「アンジュリーヌ」 ある家族の悲劇がその屋敷を荒れさせていた。 ←不幸が幸福へと変わる瞬間! 「広告の犠牲者」 人生の指針を新聞や広告の宣伝に委ねた青年の話。 ←情報リテラシー…。 「恋愛結婚」 夫の友人に恋した女と友人の...
〇人間を信じている人の眼差しだなあと。悲劇さえも。 「アンジュリーヌ」 ある家族の悲劇がその屋敷を荒れさせていた。 ←不幸が幸福へと変わる瞬間! 「広告の犠牲者」 人生の指針を新聞や広告の宣伝に委ねた青年の話。 ←情報リテラシー…。 「恋愛結婚」 夫の友人に恋した女と友人の妻に恋した男。二人は、夫を友人を手にかけた。 ←愛と憎しみと疑いと後悔のすえ。 「猫の楽園」 「真の幸福、楽園というのは、肉のある部屋に閉じこめられ、打ちすえられることにあるんですよ、ご主人さま」 ←振り返らなかった自由な猫の矜持 「オリヴィエ・ベカイユの死」 ぼくは死んだらしい。体がまったく動かない。妻やまわりの人間の話に焦燥感だけが募る。 ←二度の死。辛い。 「血」 四人の兵士が戦場の中で見た夢。 ←贖われたのか。 「コックヴィル村の西酒盛り」 マエ家とフロッシュ家は不倶戴天の敵同士だった。 いくつもの火種を抱え、不穏な空気が渦巻いている。 漁で暮らす村の海にいくつもの酒樽が浮かぶようになった。 ←酒が破滅ではなく和解を運んでくる話をはじめて見た。
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ヨシタケシンスケさんのイラストのおかげで手に取る気になった海外文学シリーズ。特にこの表紙の猫はたまらない!それにつられて小説自体も面白く読めた。読み終わってからイラストを見直してさらに楽しむ流れ。
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よしたけしんすけさんが挿絵を描かれているということで、なんとなく読み始めた本。 お話としての巧みさや面白さみたいなものは、現代の小説の方がハイレベルなんだろうけど、どのお話もなぜか読み始めると止まらない面白さがあった。 特に、「オリヴィエ・ベカイユの死」は世にも奇妙な物語的なゾワ...
よしたけしんすけさんが挿絵を描かれているということで、なんとなく読み始めた本。 お話としての巧みさや面白さみたいなものは、現代の小説の方がハイレベルなんだろうけど、どのお話もなぜか読み始めると止まらない面白さがあった。 特に、「オリヴィエ・ベカイユの死」は世にも奇妙な物語的なゾワゾワ感と、しがない男の切なさとで、妙に印象に残るお話だった。
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