十五の夏(上) の商品レビュー
高校一年生、15歳だった佐藤優がたった1人で東欧の旅をして、そこで出逢い、感じたものを43年の月日を経て振り返った自伝。あまりに早熟な彼の少年時代は今作の前章的な位置付けとなる『先生と私』から十分に読み取れた。そして今作、彼の行く末を決定付ける過程を青春小説のような瑞々しい文体で...
高校一年生、15歳だった佐藤優がたった1人で東欧の旅をして、そこで出逢い、感じたものを43年の月日を経て振り返った自伝。あまりに早熟な彼の少年時代は今作の前章的な位置付けとなる『先生と私』から十分に読み取れた。そして今作、彼の行く末を決定付ける過程を青春小説のような瑞々しい文体で描かれており、尚且つ少年の目から見たる時代と国家、そしてそこに生きる人々を具に見つめる眼差しと記憶にただただ感服するしかない。
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この本を読めば、観光旅行だけの旅はもったいないと思うようになるかもしれませんね。 旅先で出会う人との交流が旅の醍醐味の一つだと実感できます。 「旅の過程にこそ価値がある」スティーブ・ジョブズ 「旅は真の知識の大きな泉である」ディズレーリ 「他国を見ればみるほど、私はいよい...
この本を読めば、観光旅行だけの旅はもったいないと思うようになるかもしれませんね。 旅先で出会う人との交流が旅の醍醐味の一つだと実感できます。 「旅の過程にこそ価値がある」スティーブ・ジョブズ 「旅は真の知識の大きな泉である」ディズレーリ 「他国を見ればみるほど、私はいよいよ私の祖国を愛する」スタール夫人 「旅をすることは、他国に対する間違った認識に気づくことである」クリフトン・ファディマン 先人の残した旅に関する名言ですが、本書でもこうしたエッセンスがちりばめられています。 とはいえ、大昔の旅行談ですので、かなりの脚色が入っているのは間違いありませんが、博覧強記であるのは確かでしょうし、15歳で社会主義国をみてやろうという好奇心と実行力はやはり圧巻です。 旅行代理店の船津さん、ハンガリーで夜学に通って日本語を習得した本屋の青年、文通だけでこれだけ深い友情を育んでいたフィフィとその家族たちなどの出会い、さらに飛行機やレストランで一緒になった人たちは、例外なく一人旅の日本人の若者に好奇心を抱き話しかけてくる・・そうした一期一会のはずの人間関係がどんどん広がっていくが、確かに、そこでの会話が彼の精神の核を形作っていく。 例えば、混雑したレストランで同席したハンガリー人から夕食をおごられたことを知り、支払おうとすると、レストランのフロアーマネージャーが「いつか僕たちが日本に行ったら、その時は君が日本料理をおごってくれ」などというやり取りからも何か得たものはあるはずです。 また、社会主義国の人間が資本主義国の人間と仲良くしているのは当局ににらまれたりトラブルに巻き込まれたりするのに、これほどよくしてくれるのはなぜだと文通相手のフィフィに聞くと「何が許されるのかどうかは両親はよくわかっている。両親はマサルを通じて僕に世界は広いということを伝えようとしている」という答えも、自分の息子の見聞を広めたいと願う親はどこの世界も一緒だということなのでしょう。 筆者の父親は息子を君付けで呼び、あたかも欧米のように、自分の子供ながらも一人の対等な人間として接しているのがよくわかりますが、要所要所ではきちんと物事の道理や善悪について的確なアドバイスをおくっています。 こう考えるとやはり、15歳の社会主義国一人旅を許した(というよりも推奨)親もすごい人ですよね。
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理屈抜き、文句なしにおもしろい。 特に凝った文章でもなければ構成でもないのにこんなに心に響くのはなんなんだろう・・・。 佐藤少年と共に社会主義国を半分旅した。 下巻が超楽しみ。
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読了。 佐藤優の自伝的作品は時系列的に「先生と私」「十五の夏(上)(下)」「私のマルクス」だと思うが、私の場合真逆の順序で読んだため、氏の知の源泉が、斯くも幼い時期にある事に驚きを禁じ得なかった(まあ誇張はあるにせよ)。15歳の子どもを、現在より遥かにクローズドだった東欧~ソ連に...
読了。 佐藤優の自伝的作品は時系列的に「先生と私」「十五の夏(上)(下)」「私のマルクス」だと思うが、私の場合真逆の順序で読んだため、氏の知の源泉が、斯くも幼い時期にある事に驚きを禁じ得なかった(まあ誇張はあるにせよ)。15歳の子どもを、現在より遥かにクローズドだった東欧~ソ連に一人旅させるという、突き抜けて開明的な(笑)両親の影響下、その最も多感な時期に、見たもの・聞いたもの・感じたものから、抽象的・概念的・総合的認識を独自に再構成する能力を磨き上げた鬼才。上巻は旅立ち前~東欧~ソ連入国まで。市井の人々の汗や息遣い、オープンサンドイッチの香りまで感じられそうな、臨場感あふれる筆致は、小説としてもめちゃめちゃ面白い。そして下巻へ続く。
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15歳で社会主義国に一人旅をした時の旅行記ですが、詳細なメモを取っていたのでしょうね。当時の雰囲気が細部にわたって再現されていて、更にそれが15歳の感受性で表現されている素晴らしい本でした。 佐藤優さんの本はたくさん読んでますが、15歳の彼がいる!と思えました。
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2019/01/19 図書館 上だけでも,めちゃくちゃ分厚い一冊. 旅のお供にちょうどよい. 食べ物の描写がすごい! あと,浦和高校愛!! 十五歳にして,このような経験ができた著者が,正直うらやましい. 知の巨人,佐藤優は高校生のころからすごかった!!! これは,ぜひ,現在の高校...
2019/01/19 図書館 上だけでも,めちゃくちゃ分厚い一冊. 旅のお供にちょうどよい. 食べ物の描写がすごい! あと,浦和高校愛!! 十五歳にして,このような経験ができた著者が,正直うらやましい. 知の巨人,佐藤優は高校生のころからすごかった!!! これは,ぜひ,現在の高校生に読んでもらいたい一冊だ.
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15歳の目で見た東欧がそのまま素直に描かれている。行動力、記憶力はもちろん素晴らしいが、15歳が感じ考えたことが正直に記されているのが心に響いた。20歳を過ぎてのことだが自分自身の若い頃にした旅行の記憶が蘇ってきた。
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十五の夏 上 >> 面白かった。高校生になったばかりで、この行動力・判断力、そして内容が、記憶がすごいのか記録がしっかりしているのか、旅行から帰ったばかりの文章のような新鮮さでした。ハンガリーで初めて会ったペンフレンドの“フィフィ”と深い話し合い、たまたま出会った大人...
十五の夏 上 >> 面白かった。高校生になったばかりで、この行動力・判断力、そして内容が、記憶がすごいのか記録がしっかりしているのか、旅行から帰ったばかりの文章のような新鮮さでした。ハンガリーで初めて会ったペンフレンドの“フィフィ”と深い話し合い、たまたま出会った大人との突っ込んだ政治的な話まで出来たのは、英語力があったばかりでなく旅行前から「日ソ友の会」での交流で東欧諸国に強い興味があったからでしょう。そして長じて外交官として活躍する土台になったのだろうと思います。実は私も1968年(あの「プラハの春」の年)に、ソ連、東欧をひとり旅して似たような体験をしています。佐藤優さんは、15歳、英語力抜群、社会・政治に対する考えの深さ、私は、当時30歳、英語は片言、社会については能天気、と全くレベルが違います。比べ物になりませんが私のホームページに「欧浪記」と題して50年前の旅行日記をアップしてありますので、興味のある方に読んでいただけると幸いです。≫ http://ourouki.the-ninja.jp/
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15歳高校生の東欧、ロシア旅行記。読むと、ひとり自分を試す旅に出たくなる。 数十年前の話とあって、いい意味でどの国も適当、そこが羨ましい。
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私も埼玉の県立高校に通っていたので、浦和高校の学力水準は良く知っているが、合格して集まってきた高校生がどの様な雰囲気を作り出すかは別。そんなリアルな浦和高校のイメージを想像したことはなかった。 でも、この本を通して、いや佐藤優氏の描くた浦和高校を私のイメージに被せることで、あ...
私も埼玉の県立高校に通っていたので、浦和高校の学力水準は良く知っているが、合格して集まってきた高校生がどの様な雰囲気を作り出すかは別。そんなリアルな浦和高校のイメージを想像したことはなかった。 でも、この本を通して、いや佐藤優氏の描くた浦和高校を私のイメージに被せることで、あながち遠くないであろうその当時の浦和高校が浮かび上がらせることができた様に思う。 ひとことでいうと、私が高校生の時代に見ていた世界とは違う世界を見ている高校生が多いということだ。この本の著者佐藤優氏もまたそのひとりだ。 それは、部活が終わって家に帰ると、必ずテレビのスイッチを入れて、翌日にはその内容で盛り上がる中学生時代を過ごし、高校に集った仲間たちが作る世界。 そんな世界を基準に世の中を見てきた同じ年齢の私が、15才の佐藤優君が育った環境世界を通して、彼のこの東欧のひとり旅を読むことはなんと、スリリングなことか。 時折でてくる、東欧の国々の歴史の知識や、英語のコミュ二ケーション力、飛行機や時計、車(特に東欧の)に対する知識の量は、私のやっかみから、大人なってからの後づけの知識だと割り引いて読ませていただいたが、それにしても、15才の夏といえば、ちょっと前までチュウボー(中学生)ですよ。言葉も、文化も、そして身の安全も保障されないような、東欧にひとりで旅行に行こうなんて…。 両親の彼への厚い信頼からのプレゼントととは言え、自ら作り上げるペンフレンドと逢うための東欧のひとり旅行の計画、これを周囲の人たちの助力を惹きつけないわけがない。 実際の佐藤優氏の人生もこの“15の夏”以上にスリリングだ。そんな佐藤優氏はこんな15才を経験したから出来上がったとも言えるし、この15才の経験が佐藤優氏の人生を裏付けているとも言える。 上に、違う世界を生きていた佐藤優君と書いていたが、読んでいる私のなかに残っている15才のピュアな志しにも彼と同じく『この世の中を生きていく力を試してみたい』、『既成のものでは意味がない』といったことへの渇望かあった。その余韻は確実にあった。そのことを思い出させられながら一気に読み終えた一冊。
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