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小屋を燃す の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2023/04/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 1分間の最大心拍数は220から年齢を引いた数値。脳の血流を増やすには、少なくともその60%以上の運動強度が必要になる。いくつになっても運動が脳を丈夫にする。著者は、からだを鍛えるためではなく、脳の血流を増やすために歩く。まず間違いないのは、不機嫌そうな人はたいてい歩いていない。よく歩いている人は、動作は機敏、口調は軽い。南木佳士「小屋を燃やす」、2018.3発行、読み応えのあるエッセイ(私小説?)4話です。畔を歩く、小屋を造る、四股を踏む、小屋を燃やす。

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2021/03/18

信州の病院で定年を迎えた医者は、病気の社宅を出て小さな家にすみはじめていた。そこで知り合う同年代の地元の男たち。医者のくせに何も知らないと笑われながら、共に酒を酌み交わす小屋を建てる。釣りに行く。そんな生活と自身の老いや病を描く連作。最後はともに建てた小屋を、自ら壊し廃材を燃やし...

信州の病院で定年を迎えた医者は、病気の社宅を出て小さな家にすみはじめていた。そこで知り合う同年代の地元の男たち。医者のくせに何も知らないと笑われながら、共に酒を酌み交わす小屋を建てる。釣りに行く。そんな生活と自身の老いや病を描く連作。最後はともに建てた小屋を、自ら壊し廃材を燃やし、その火を囲んで又酒を呑む。 老年に向かう自身と仲間たちを静かに書く。しみじみと良い仲間たちだと感じさせられた。

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2019/02/23

内容より) 思い起こされる幼年時代、患者の最期を看取る医療と作家業の両立の無理からの発病…その日その日を生きのびるために、畔を歩き、四股を踏む。たぶん、答えはあらかじめからだのなかに用意されていたのだろう。南木物語の終章。信州の総合病院を定年退職した。同時代の男たちとイワナをつか...

内容より) 思い起こされる幼年時代、患者の最期を看取る医療と作家業の両立の無理からの発病…その日その日を生きのびるために、畔を歩き、四股を踏む。たぶん、答えはあらかじめからだのなかに用意されていたのだろう。南木物語の終章。信州の総合病院を定年退職した。同時代の男たちとイワナをつかみ獲り、小屋を造って集い、語り、そして燃す。生死のあわいをおだやかに見つめる連作短篇集―医師として生死を誠実に見守りつづけた著者にしか描きえぬ、幽明境を異にした者たちとの饗宴。充実の最新作品集

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2018/07/19

南木佳士さんの小説は全て読みたい. 全部同じといえばそうだが,それでいいのだと思う. みんなで建てた小屋を燃やす「小屋を燃す」がいいなぁ. 究極の老人小説といえば良いか. 焼酎もうどんも実にうまそうで,それでいて実に寒そうである.死んでいった人たちへのレクイエムが山々に響く.

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2018/05/02

南木さん、これで筆を折る気なののか?読みながら思うほど、これまでの集大成という印象を受けました。 過去と現在が交錯して描かれます。 過去は、いつもの通りです。母を亡くし祖母に育てられた少年時代、医師となって末期癌患者を見送り続けて陥ったパニック障害、鬱。これまで多くの作品で語っ...

南木さん、これで筆を折る気なののか?読みながら思うほど、これまでの集大成という印象を受けました。 過去と現在が交錯して描かれます。 過去は、いつもの通りです。母を亡くし祖母に育てられた少年時代、医師となって末期癌患者を見送り続けて陥ったパニック障害、鬱。これまで多くの作品で語って来た南木さんの経験です。そして現在は、医師として退職した後の姿です。様々な経歴を持ち、なかなか味わい深い同時代の男たちとの南木さんの山野での交流です。 退職されたからなのか野に居るせいなのか、パニック障害再発を恐れる切迫感がやや薄れ、少し柔らかな弛緩ぶりがうかがえます。 物語が好きな私が読む数少ない私小説の作家さんです。 文庫本『ダイアモンドダスト』のあとがきに「この十年、硬すぎる文体しか持たない男の・・・・」と南木さん自身が書いていたように硬質な文章が持ち味です。でもこの作品では少し文体を変えてきました。目を滑らせるのを許さない何行も続く長い一文。そして、そこに行間を空けて挿入される短文。それが独特のリズムを生みます。練り切った文章ですが、そこに汗臭さを感じさせず、独特の静謐感があります。 話の内容も影響してるのでしょうが、明るさも感じられ、リズムからくる軽さもあり、日差しを受けた冬枯れの里山の林の中を思わせます。 表題作でもある最後の短編「小屋を燃す」は幽明境を異にした者たちとの饗宴であり、不思議な世界に連れて行ってくれました。

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2018/03/16

【遊びは本気でやらなきゃつまらねえ】信州の総合病院を定年退職した。同世代の男たちと魚を釣り、小屋を作って酒を呑む。夕暮れに古い記憶が訪れる…。充実の連作短篇

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