立憲君主制の現在 の商品レビュー
本の中で紹介された他の国と違って、日本の天皇は歴史はあるけどかなり長いこと権力とは縁遠かったわけなので、歴史的にはけっこう特殊なんじゃないかと思った。第二次大戦後はヨーロッパと同じような立憲君主制だけど。
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なんとなーく、君主制が何かしらの抑止になっているのだと気づいた。 著書のH.G.ウェルズのように、街中で天皇陛下が通るだけで街中が熱狂するのを違和感をもつ(怒りや嫉妬を感じる)のも当たり前の感覚だと思った。 全ては、天皇陛下の人柄ではある「国民の皆様の理解を・・・」そのような態度...
なんとなーく、君主制が何かしらの抑止になっているのだと気づいた。 著書のH.G.ウェルズのように、街中で天皇陛下が通るだけで街中が熱狂するのを違和感をもつ(怒りや嫉妬を感じる)のも当たり前の感覚だと思った。 全ては、天皇陛下の人柄ではある「国民の皆様の理解を・・・」そのような態度では、反対意見を言うのを憚れる。
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どこかで見た書評が気になったので図書館で借りて読了。 タイトルどおり、21世紀の現在にあって君主制を採用している国を概観することができる点は非常に面白く、知らないことも多く楽しめた。イギリス、北欧、ベネルクス、アジア、と地域ごとに分けての概説も特徴をつかみやすく、理解を助ける構成...
どこかで見た書評が気になったので図書館で借りて読了。 タイトルどおり、21世紀の現在にあって君主制を採用している国を概観することができる点は非常に面白く、知らないことも多く楽しめた。イギリス、北欧、ベネルクス、アジア、と地域ごとに分けての概説も特徴をつかみやすく、理解を助ける構成だったと思う。 ただ、著者の専門がイギリス政治外交史・ヨーロッパ国際政治史ということで、全内容の半分近くがイギリス王室に割かれており、ややイギリス偏重の傾向はある。その部分も内容そのものは面白く、イギリスの歴史を王権と議会の関係に焦点を絞っておさらいする形になるのでイギリス史の俯瞰としてはわかりやすい。 副題の「日本人は『象徴天皇』を維持できるか」という煽り文句に関しては、最後の1章が当てられているだけで論考としては不十分かと思う。期待させる副題をつけるほどではないというのが正直なところ。 本書全体を読んで印象に残ったのは、多くの君主が(アラブの石油王に限らず)資産家であるという事実である。封建制度の長から国王という形へという経緯を考えれば大地主であることは当然なので、その上がりで巨大な不労所得があるのも当たり前で、首長としての生活基盤を支えるための資産を自前で賄えるというのも、言われてみればあるべき姿のように思う。翻って日本の皇室は、戦前までは同様に大地主であり資産家であったのだろうが、現在は上がりのとれるような不動産はほとんど所持していないようだ。皇族には戸籍もなければ人権もないということがしばしば言われるが、財産権もないのだなあと改めて驚いた。資産のこと一つ考えても、維持の難しい制度である。
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【236冊目】「王座と王笏などという古代からの飾り物なんかやめにして、共和制にすべきである」という、有名な小説家H.G.ウェルズの引用から始まる本書。英国を中心に、現代でも存続している立憲君主制の国々を概観し、なぜ現代でも立憲君主制が生き残っているのかを筆者なりに解釈する。この年のサントリー学芸賞受賞作品。 筆者は英国(王室)史の研究者であることから、英国での君主制の成立・変遷の解説に本書の大半が割かれている。その際に重要な視座が「英国の歴史において、『王権』と『議会』、そして19世紀に登場する『国民』との間で、統治をめぐる権力と、その正統性の根拠となる源泉が、どのように移行していくかに注意」することとされている。 君主制と聞くと「絶対王政」をイメージする人も多いだろうが、絶対王政ですら「王権神授説」という正統性の根拠を必要とした。王は、ただ王であるというだけで王たり得るわけではない、という視座が必要だということを筆者は述べているのである。 そして、君主制の存立を正当化する根拠として、カール・レーベンシュタインの「君主制」で記された感情的な理由づけと理性的な理由づけを紹介する(本書112頁)。 ◆感情的な理由づけ:(1)宗教的要素(2)国父説(3)正統性 ◆理性的な理由づけ:(1)中立的権力としての君主制(2)国家の象徴的具現化としての君主制 筆者はこれを理論的な枠組みとして、欧州やアジアの現代の君主制も概観していく。 その他にアジアの君主制を分析する際の視座として、インドの政治学者スリーラム・チャウリアの5つの要素をあげている(本書218頁)。 (1)君主が軍隊からの忠誠を維持できている (2)君主が宗教を基盤としたカリスマ性の頂点にある (3)左派(反王政派)を押さえ込めるだけの強力な政治的中道派の存在 (4)国内の経済発展が見られる (5)海外にその国の君主制を必要不可欠と考える強力な同盟者(国)がいる その他にぼくの印象に残ったのは、君主は道徳的な存在であることを国民から期待されており、その期待に沿えなくなったときに国民からの支持を失って君主制は危機に陥るということである。イギリスでは、ダイアナ妃をめぐる一連の騒動が王室に危機をもたらした。 また、王室を持つことの実際的な効能として、政治家や大統領、外交官には持ち得ない「継続性」が強調されていたところにも説得力を感じた。 最後に我が国の天皇制を維持するための提言を筆者はいくつか行っている。女性天皇・女系天皇をめぐる皇室典範改正についての議論について僕自身の意見をここに書くことは控える。 ところで、筆者の「開かれた皇室」に疑問を投げかける姿勢には両手を挙げて賛成。英国の王室を見て強く実感するのは、現代の皇室はもっともっと「開かれ」ることができると思う。皇室グッズもカレンダーぐらいしかないし、宮内庁はインスタのアカウントすら持ってない。「君主制は高みに留まっていなければいなければならないときもあるのです。もし民衆のところに降りて行かれたら、神秘も影響力も失うことになるでしょう」(96頁)という主張にも一理あると思う。しかし、日本の皇室にはまだまだオープンになれる余地があるし、そうしなければ国民からの支持を維持するのは困難だと思う。まして、あの平成天皇の後の御世で国民の支持を維持するのは至難の業だろう。 「コモン・センス」を著したトマス・ペインは、王朝を築いた初代の王など「行動力のあるギャングの親分にすぎない」と喝破した。僕自身、同じようなことを考えた時期はある。しかし、国民からの支持を獲得し、歴史と正当性を帯びた立憲君主制には、たとえギャングの親分から出発したとしても、現代においてはそれを遥かに超える存在の重みがあるように思えるのである。
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本書は、21世紀の今日ではもはや「時代遅れ」と見なされることも多い、国王や女王が君臨する君主制という制度を、いまだに続けている国々の歴史と現状を検討して、「立憲君主制」が民主主義の欠点を補完するメカニズムを解き明かし、現代の日本の天皇制への示唆について考察している。特に、著者の専...
本書は、21世紀の今日ではもはや「時代遅れ」と見なされることも多い、国王や女王が君臨する君主制という制度を、いまだに続けている国々の歴史と現状を検討して、「立憲君主制」が民主主義の欠点を補完するメカニズムを解き明かし、現代の日本の天皇制への示唆について考察している。特に、著者の専門とも関わって、イギリスの立憲君主制の形成過程及びその意義について丁寧に繙かれている。 本書は、我が国の象徴天皇制の行方をはじめ、現代の(立憲)君主制について考える上で必読といえる良書であると感じた。特に、共和制にはない立憲君主制の良さとして、連続性及び継続性があるということを再認識した。
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