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向坂逸郎評伝(下巻) の商品レビュー

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2018/09/10

最近、マルクス関連本が数多く出版されているが、そこで向坂氏の著作を参考文献にあげる著者はまずいない。日本のマルクス主義といえば筆頭に挙げられてよさそうだが、そうなっていないのがつねづね不思議でならなかった。 「山川・向坂外伝」、「労農派マルクス主義」、「山川評伝」に続く、石河さ...

最近、マルクス関連本が数多く出版されているが、そこで向坂氏の著作を参考文献にあげる著者はまずいない。日本のマルクス主義といえば筆頭に挙げられてよさそうだが、そうなっていないのがつねづね不思議でならなかった。 「山川・向坂外伝」、「労農派マルクス主義」、「山川評伝」に続く、石河さん20年がかりの大仕事の完結編を読み、運動の歴史をたどることで、おぼろげながらその答えが見えた気がする。 「理論も大衆をとらえるやいなや物質的な力になる」とのマルクスの言葉を実践するように、向坂氏は三池闘争をはじめ労働者運動に裏付けされた理論を展開した。それは「向坂理論」と呼ばれて資本の側を脅かしたが、やがて強烈な巻きかえしにあい排撃された結果が、労働運動・社会主義運動の現状である。 いまやマルクスを実践的に論じる人はいなくなった。向坂逸郎を評価するに値しないほどいまの党・労働組合がだらしなさすぎるということなのか? 「誰が向坂逸郎を殺したか⁈」なんて命題で、労働運動史が書けそうだ。

Posted byブクログ