4ミリ同盟 の商品レビュー
2024.11.9市立図書館 本棚をぶらぶらしていて、高楼方子さんの本が並んでいるところにきた。この季節なら「11月の扉」を読み返したいけれど、あいにくその余裕はない。⋯と、すぐそばにもっとコンパクトな本があり、1ページ目に目を通すと、ふしぎな展開に続きが気になりひきこまれたので...
2024.11.9市立図書館 本棚をぶらぶらしていて、高楼方子さんの本が並んでいるところにきた。この季節なら「11月の扉」を読み返したいけれど、あいにくその余裕はない。⋯と、すぐそばにもっとコンパクトな本があり、1ページ目に目を通すと、ふしぎな展開に続きが気になりひきこまれたので、借りることにした。 大人ならちょっとの時間で読み終えられる中編で、謎は謎のままだけれど、とてもおもしろく読めた。ちょっとぼんやりした勤め人ポイット氏、ふつうの主婦エビータさん、老いた画家バンボーロさん、それに本の虫らしいおばあさんコロリータさんという四人の中高年にはとある共通項があり(「4ミリ」の意味は読んでのお楽しみ)、それは「(ある島にいかなければ手に入らない)<フラココノ実>を一度も食べたことがないから」らしいのだが… それを経験することで得られる「なにか」も失われる「なにか」も物語を通してあきらかにはされず、そこにさまざまな想像の余地がある物語。読む年代によっても、想像する答えは変わりそう。 四人のこれまでも今回のことにあたっての言動もそれぞれでどこか自分にも身近なものがあるなのがおもしろかった。読み終えて、裏表紙のフラココノ木に4人がぶらさがる絵が印象に残る。 こどもにもふしぎな余韻を残すと思うが、むしろ大人にとって奥行きがあっておもしろい作品かもしれない。
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中高年が登場人物のこの物語、うちの子達が読むより大人の私が読んだ方が楽しめてると思う。 ネタバレになるから書かないけど、「わかる。いるいる」「こういう所私もある」とホッコリにまにましながら読む。 楽しかった⭐︎
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高楼方子さんの作品にはまりつつあり、せっかくなので童話も読んでみました。 児童文学だけど、大人になってから読むとまた違う楽しみがあると思います。 フラココノ実を食べずに大人になった登場人物たちがとても愉快で魅力的。
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『緑の葉がしげる枝えだに、たくさんのブランコのようにぶら下がっているという、ヘリオトロープ色の、小さなリンゴのように愛らしい、やさしく切ない、遠い夢のような味のする』フラココノ実。 なんて美味しそう。素敵な描写にうっとり。 このフラココノ実は、大人になると食べたくなるという。けれ...
『緑の葉がしげる枝えだに、たくさんのブランコのようにぶら下がっているという、ヘリオトロープ色の、小さなリンゴのように愛らしい、やさしく切ない、遠い夢のような味のする』フラココノ実。 なんて美味しそう。素敵な描写にうっとり。 このフラココノ実は、大人になると食べたくなるという。けれど食べると自分の中の「何か」が消えてしまうらしい。 それでも食べたいのは、誰もが食べているのに食べていない自分は「何か」が足りない気がするからと。 その気持ち何となく分かります。 「「何か」を得れば「何か」を失う。見方を変えれば、どっちかの「何か」は持っているのだ。そこいらじゅうの人がなくしてしまった「何か」を大事に持っているほうが貴重、かつ愉快じゃありませんか」というバンボーロさんの言葉にハッとした。 登場人物が、冴えない中年おじさん、(本人曰く)ただの主婦、「何か」が足りないと評価されている画家、本に鼻を突っこんでいるおばあさん。 これは、大人のために書かれた物語だ。 楽しい~。
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高楼方子さんの作品は、「ゆゆのつづき」以来、久しぶりに読みましたが、今作はユニークな中にも、ひっそりと大切なものが潜んでいる、おとぎ話のような面白さを感じました。 「フラココノ実」を食べられない現実に、不安を抱えて生きる、四十代の主人公「ポイット氏」が、同じ仲間三人と協力して、...
高楼方子さんの作品は、「ゆゆのつづき」以来、久しぶりに読みましたが、今作はユニークな中にも、ひっそりと大切なものが潜んでいる、おとぎ話のような面白さを感じました。 「フラココノ実」を食べられない現実に、不安を抱えて生きる、四十代の主人公「ポイット氏」が、同じ仲間三人と協力して、なんとか実を食べようとお互いに協力し手を結んだのが、「4ミリ同盟」。 同じ仲間と書いたが、細かい点での嗜好というか、考え方の違いを強調しているところが、重要なのかなと思いました。フラココノ実や、周りの考え方に惑わされずに、あくまで現実に起こったことを冷静に見つめる、と。児童書だけど、なんだか大人も読めて奥が深いというか、人生を楽しく生きるための方法を教えてくれているようで、興味深かったです。 ただ、ストーリーが簡潔で短かったのが、やや消化不良な感もありましたが、児童書だから、仕方ない部分もあるとは思いました。それでも、個性的な挿し絵の構成や、時折、崩れる文字フォントの自由さ等、何かワクワクさせる要素が多かったのが、また印象に残りました。 これを読んだ子供たちが、どういった感想を持つのかが、すごく気になります。
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かわいい! 内容も表紙もかわいすぎる。 うふふな空気。 いわゆる子供心を持ち続けていられるかってことかしら。
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アレをまだ食べたことのない風変わりな中年と老年の男女4人のお話。 高殿さんの発想がいい。絶妙なとこをついてくる。フラココの実、4ミリ、ヘリオトロープ色だって!すてき。そして、時期が来たら食べずにはいられなくなる、何かが足りない、他に足がついていない、忘れてしまうもの…。ユニークな...
アレをまだ食べたことのない風変わりな中年と老年の男女4人のお話。 高殿さんの発想がいい。絶妙なとこをついてくる。フラココの実、4ミリ、ヘリオトロープ色だって!すてき。そして、時期が来たら食べずにはいられなくなる、何かが足りない、他に足がついていない、忘れてしまうもの…。ユニークなお話の中に底知れぬ深いものが漂う。人生それでいいんだって肯定したくなる。がんばっているみんなが愛おしい。
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ブログに感想書きました。 https://blog.goo.ne.jp/luar_28/e/80d9654814e60dc67f2df24b18be7f06
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大好きな高楼方子さんの作品。ポイット氏の住む地方では、年齢や時期、その人に会ったタイミングで初めて食べることができるようにる、みんなそれを心待ちにしている果実がある。 やさしく切ない、遠い夢のような味のするフラココの実。けれど一度食べると、自分の中の何かが消えてしまうらしい。しか...
大好きな高楼方子さんの作品。ポイット氏の住む地方では、年齢や時期、その人に会ったタイミングで初めて食べることができるようにる、みんなそれを心待ちにしている果実がある。 やさしく切ない、遠い夢のような味のするフラココの実。けれど一度食べると、自分の中の何かが消えてしまうらしい。しかも何が消えてしまうのかは実は誰にも分からない…ポイット氏は何度も食べようとするのだけれど、48歳になった今でも食べることができなくて……
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何かを得れば何かを失う。 皆が失うはずの何かを持ち続けていると、時に疎外感を感じるかもしれないけれど、それを、楽しいと感じる方が楽しく生きられる。 違ってオッケー!逆に楽しもう!のメッセージに愛を感じます。 不思議な設定だけど、しっくりくる、すてきなお話でした。
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