トマト缶の黒い真実 の商品レビュー
トマト缶にまつわる真実の話。 世界的な産地はおよそ三カ所。 南欧、中国、アメリカ。 このうち、中国とイタリアに焦点を当てている。 ①中国 元々国内でのトマト加工品の消費はほとんどなかった。余った土地と労働力でトマトの生産と濃縮をして、ほぼ全量を輸出していた。安かったことから、シ...
トマト缶にまつわる真実の話。 世界的な産地はおよそ三カ所。 南欧、中国、アメリカ。 このうち、中国とイタリアに焦点を当てている。 ①中国 元々国内でのトマト加工品の消費はほとんどなかった。余った土地と労働力でトマトの生産と濃縮をして、ほぼ全量を輸出していた。安かったことから、シェアが急速に拡大する。 この濃縮トマト生産は利益率が低かったので、世界の主要メーカーは自社生産をやめて中国の濃縮トマトを加工して自社製品を作るようになっている。中国の3倍濃縮トマトを輸入して水を足し、イタリアの工場で2倍に変えてイタリア産として売られている。世界のイタリア産トマトは実は中国産という実態や、ラベルを変えるだけのOEM生産のため、ブランドが違っても中身は同じだったりする。 また、原材料を中国から輸入し、加工してEU内で販売する場合は税金が高いが、EU内には公式には売ってないことにして脱税をしている。これにより、イタリアの真っ当なトマト農家が価格競争で不利になってしまう。 さらに過剰生産により賞味期限が切れた濃縮トマトもでる。それらは低価格で中東とアフリカに売られる。既に腐敗して黒くなったものに、添加物を足し(材料には記載しない)販売する。それらの国は汚職と賄賂で、検査がないも同然なのでまかり通る。中国の生産現場はもちろん不当な搾取が行われている。 ②イタリア 過去、ファシスト政権時代に労働者を弾圧した。その名残として農業マフィアが今も暗躍している。イタリアのトマト農家に不法労働者を斡旋し、給料もろくに払わずに搾取する。そうやって作られたトマトがイタリア産として流通していく。不法移民と労働者への搾取、地元の農家への不当な競争。 これ以外にもアメリカの生産における効率化や雇用の喪失(効率化と機械化)の話もある。グローバル経済が産んでいる搾取がなんなのか、とてもよくわかる。 これらは当然そのようなトマトを買い付ける大手食品メーカーの責任を問うべきだし、公職の腐敗をやめさせるべきだし、規則を守らないものに厳しく罰則を与えて欲しい。 この本の中では、腐敗トマトはアフリカに、となっているが、日本の国力低下により、日本にも来たらと思うと不安になる。消費者としては、高くても生産者が見えるようなものを買うべきだし、食品メーカーの原産地表示のチェックくらいはしようと思う。
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すごく読みにくい。翻訳物という点は除いて。 理由の第一は章の構成に一貫性がない。章と章のつながりがよくわからない。第二に初めから陰謀論ありき。著者が陰謀論に毒されており、公平性がない。トマトマフィア、中国の不衛生な生産現場、イタリアの輸入時の不正…取材時に第一印象で毒されてしまっ...
すごく読みにくい。翻訳物という点は除いて。 理由の第一は章の構成に一貫性がない。章と章のつながりがよくわからない。第二に初めから陰謀論ありき。著者が陰謀論に毒されており、公平性がない。トマトマフィア、中国の不衛生な生産現場、イタリアの輸入時の不正…取材時に第一印象で毒されてしまったか… 新疆ウイグル自治区でトマト加工品が大生産されている事実は取材を評価できる 読了50分
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トマト缶の原料は、いつも見ている丸いトマトではなく、加工用の濃縮トマトかも知れない。 2倍濃縮というのは、煮詰めて濃縮したのではなく、3倍濃縮に品種改良されたものを薄めたものかも知れない。 原料のトマトは、貧困地域(新疆ウイグル自治区とか)で低賃金労働によって搾取されて栽培された...
トマト缶の原料は、いつも見ている丸いトマトではなく、加工用の濃縮トマトかも知れない。 2倍濃縮というのは、煮詰めて濃縮したのではなく、3倍濃縮に品種改良されたものを薄めたものかも知れない。 原料のトマトは、貧困地域(新疆ウイグル自治区とか)で低賃金労働によって搾取されて栽培されたものかも知れない。 何も気にしなければ、こうしたものを購入している可能性はありますね。需要があれば、供給もある。コーヒーのフェアトレードというのは認知されてきたと思いますが、トマト缶の世界にも同じような話があるのですね。 スーパーで何気なく手に取るトマト缶の値段の差は、こうした背景があるということを知ること、行動を変えるきっかけにしていきたいです。 あと、日本にはないと思うのですが、腐って黒くなってしまった「ブラックインク」と呼ばれるトマトが加工され、主にアフリカ向けに出荷されているそうです。そんなもん売るなよと思うのですが、品質不良でも買う人がいる世界もあるってことですよね。貧困は恐ろしい。
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帯に書いてある「イタリアで出版禁止」の文言を見て、「全世界に向けて蓋を開けたのに肝心の場所で封をするってどうなの?」と一人ツッコミを入れた。トマト缶に限らず食料品の製造工程には生産者や工員の労働環境や添加物など何かしらの問題がついてくる。トマト缶に限って、今(と言っても刊行された...
帯に書いてある「イタリアで出版禁止」の文言を見て、「全世界に向けて蓋を開けたのに肝心の場所で封をするってどうなの?」と一人ツッコミを入れた。トマト缶に限らず食料品の製造工程には生産者や工員の労働環境や添加物など何かしらの問題がついてくる。トマト缶に限って、今(と言っても刊行されたの3年前だけど)言わなきゃいけない「黒い真実」とは? 落ち着いた語り口調だけど調査で訪れた場所や人々の様子を克明に描写してはって、写真が一枚もないのにページをめくる手が止まらなかった。ハインツ社の栄光から全世界に散財する忌まわしき生産過程に至るまでの大博覧会。 思い込みが覆される時ほどゾッとするものはない。自分にそれが訪れたのは「加工用トマト」の存在を知った時だった。(本当に恥ずかしい事だけど知らなかった…)生食用とは別物でググってみたら確かに断面から違う。(トマト加工事業で有名な某日本企業のHPを参照)勿論実害はないのだろうけど、自分の無知さ加減+思っていたのと違う物を食べていたという事実にしばらく脳がフリーズした。 本当の原材料の産地を考えたことがあっただろうか。加工用トマトを知っていてもここで中国が出てくるとは想像できただろうか。中華料理に使われているイメージがなくて中国がトマトの最大輸出国になっているのが謎だったけど、栽培や工場の現場に一大企業、何より広大な畑がウイグル自治区にあることが不気味度をMAXに引き上げた。もはや一つの国家に見えてきて、筆者は決死の(⁉︎)潜入を果たしたわけか。 イタリアへの移民労働者が身を寄せているというゲットーの惨状は心をえぐられる…(イタリアなのにこんな想像を絶する生き地獄があるのかと) ‘18年当時から代わり映えしていなければ、子供も働かざるを得ないウイグルの畑から来た、あるいはイタリアン・マフィアが手を染めたトマト製品を今もどこかで口にしているのだろう。(おかげでイタリアで出版禁止の理由が薄っすら分かった)溢れんばかりの「黒い真実」、蓋を開けたらびっくりだ。
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原産地偽装という事ではなく、それはルールとして表示義務がないのなら、悪い事ではないのだろう。加工食品におけるそんな話は山ほど転がっているから、トマトを一つの例に、色んな食材の話が紹介されるのかと思った。しかしこの本、全てトマト。オールトマト!故に、取材が深い。 最も悪いのは何か...
原産地偽装という事ではなく、それはルールとして表示義務がないのなら、悪い事ではないのだろう。加工食品におけるそんな話は山ほど転がっているから、トマトを一つの例に、色んな食材の話が紹介されるのかと思った。しかしこの本、全てトマト。オールトマト!故に、取材が深い。 最も悪いのは何か。原産地を隠したマーケティング?ウイグル問題?収容者の強制労働?添加物?賄賂?アフリカ人への雇用条件?それとも、新疆からガーナまでの一帯一路の覇権思想?違法なのかはグレーだが、単純に、こんなものは食べたくない。こいつらは良心的ではないし、知識的にも資本的にも弱い者を、狡賢く搾取している。そんな風に感じてしまう。 搾取する奴らから、自衛しなければならない。自衛するには、知ることが重要だ。まだ、まだ。
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ジャン=バティスト・マレは、1987年生まれのフランス人ジャーナリスト。「ル・モンド・ディプロマティーク」、「シャルリー・エブド」、「リュマニテ」などの有名誌に寄稿する新進気鋭のジャーナリストとして、フランス国内で注目を集めている。2014年に発表した、アマゾンの配送センターに臨...
ジャン=バティスト・マレは、1987年生まれのフランス人ジャーナリスト。「ル・モンド・ディプロマティーク」、「シャルリー・エブド」、「リュマニテ」などの有名誌に寄稿する新進気鋭のジャーナリストとして、フランス国内で注目を集めている。2014年に発表した、アマゾンの配送センターに臨時スタッフとして潜入取材したルポルタージュ『アマゾン~世界最良の企業潜入記』(未訳)は、ブラック企業並みの過酷な労働条件を告発した問題作としてベストセラーとなった。 本書は、『アマゾン』に次ぐ第3作で、2014年からの3年に亘る取材を基に2017年に発表され、多くの新聞・雑誌が書評を掲載するとともに、前作に続いてベストセラーとなった。日本語訳は2018年に出版されている。 内容は、19世紀のイタリアで誕生、ファシスト政権下で発展し、アメリカでグローバル化された加工トマト産業の歴史を詳しく紹介しつつ、現在の、中国(新彊ウイグル)・アフリカ・南イタリアの収穫・加工現場の過酷な労働の状況、イタリアのマフィアとトマト缶の関わり、中国産のドラム缶入り濃縮トマトにまつわる秘密などの驚くべき事実を、自らの体験と関係者の証言によって次々と明らかにしていくものである。 読み始めて、まず認識を新たにしたのは、トマトという野菜の位置付けである。私は20年以上前に長期間海外に駐在したが、確かにトマト(加工品)は全世界の様々な料理に使われ、最も幅広く食されている野菜のひとつで(日本での想像を遥かに上回る)、それ故にグローバルなビジネスの対象と成り得たし、そこに目を付けた著者の鋭さに驚く。 そして、読み終えてみると、トマトが典型的なグローバルビジネスの対象であるからこそ、本書で明らかにされたような問題・矛盾を生むことになったし、逆に見れば、それらの問題・矛盾は、グローバル化した資本主義の必然の帰結ともいえ、それは加工トマト産業に限らない事象であることに気付く。 巻末の訳者あとがきには次のように書かれている。「最終章、すべてのパーツがようやくあるべき場所におさまったとき、著者はただ空を見上げて沈黙する。多くの情報を呈示し、わたしたちが今どういう世界にいるのかを教え、警鐘を鳴らしつつも、具体的な解決策は示さない。今後どうすべきかは、読者の熟考、良心、行動に委ねられている。だが、本書に示された真実を知った後は、誰もが深く考え、自らの良心に問いかけ、何らかの行動に移さずにはいられないだろう。それこそが本書の役割なのだ。」 そう、本書はある意味「ディストピア・ノンフィクション」なのだ。資本主義、更に究極的には「自由」を突き詰めた世界がこれである。。。我々はいかなる世界を目指すべきなのかを考えさせてくれる、力作ルポルタージュである。 (2021年8月了)
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オリーブオイルも、イタリアンマフィアのフロント企業のマネーロンダリングの道具となっていることを知っていたので、さもありなんと思った。 しかし、オリーブよりタチが悪いのは、ウイグルも絡んでいること… もう2度とトマトの水煮缶を食べることはないかな…
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魚を他の場所から仕入れて少し生簀で飼ってそこの産地にするのと同じ原理なんだろうが、トマト缶もご多分に漏れないそうだ。 中国で育てて3倍濃縮にしたのをイタリアが輸入し、薄めて2倍にして塩を加えてイタリア産として輸出している。 トマト缶にもランクがあって、トマトの品質ではなく詰め物...
魚を他の場所から仕入れて少し生簀で飼ってそこの産地にするのと同じ原理なんだろうが、トマト缶もご多分に漏れないそうだ。 中国で育てて3倍濃縮にしたのをイタリアが輸入し、薄めて2倍にして塩を加えてイタリア産として輸出している。 トマト缶にもランクがあって、トマトの品質ではなく詰め物が多いとランクが下がり、最低ランクだと30%程度しかトマトが無いらしい。 イタリアの狭い国土でトマトをなんでそんなに輸出できるか疑問だったが、そういうカラクリなのね。 https://seisenudoku.seesaa.net/article/472425957.html
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今巷で売られている、或いは買っていると言った方がいいか、トマト缶は全てがこのルポにあるような代物なのだろうか?貧困国で売られているものだけかもと、ずっと疑念を抱きながら読み終えた。
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