幸福書房の四十年 ピカピカの本屋でなくちゃ! の商品レビュー
移動式本屋さんで出会った1冊。 ピカピカと素敵で、あまりに切ない本だった...。 本の棚より、テントより、本を仕入れて書棚に並べて、書棚を通じてお客さんと会話する。それが何より楽しそうで、本を好きであること以上に、経営する上で重要なことなんだなと感じた。 あと、好みの本屋さ...
移動式本屋さんで出会った1冊。 ピカピカと素敵で、あまりに切ない本だった...。 本の棚より、テントより、本を仕入れて書棚に並べて、書棚を通じてお客さんと会話する。それが何より楽しそうで、本を好きであること以上に、経営する上で重要なことなんだなと感じた。 あと、好みの本屋さんってあると思う。ここの仕入れ担当の人と気が合う!って思うとつい通っちゃったり。そういう場所が減少し続けるのはやはり寂しい。 本屋さん、減らないでほしい。なので私は、一端の本好きとして、1冊でも多く本を読めたらと思う。
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結局行くとこは叶わなかった名店「幸福書店」の店主岩楯さんの40年の回想録です。 とても薄い本ですが、中身はとても暖かく分厚い背中を見ているような本です。 偉そうでも、悲壮でもなく、ただただ本屋で居られて幸せだったという気持ちが伝わってきます。 岩楯さんの人柄が感じられる柔らかな語...
結局行くとこは叶わなかった名店「幸福書店」の店主岩楯さんの40年の回想録です。 とても薄い本ですが、中身はとても暖かく分厚い背中を見ているような本です。 偉そうでも、悲壮でもなく、ただただ本屋で居られて幸せだったという気持ちが伝わってきます。 岩楯さんの人柄が感じられる柔らかな語り口で、本屋をする事の喜びと難しさが伝わってきます。弟夫婦と自分の奥さんと4人で支えてきた幸福書店は2018年に惜しまれつつ閉店しました。 雑誌ではよく見ていましたが、代々木に縁が無かったなあ・・・。どんな棚をを作っていらっしゃったのか見てみたかった。 やはり書店はいつ無くなるか分からない時代なので、有名書店であっても油断せず訪れておきたいものです。 読んでいるうちに胸が詰まってしまいました。悲しい訳ではないのですが、胸打たれてしまいました。
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去年までは、近所の本屋でした。閉店騒動も横目でみる程度でしたけど、こうして改めて店主のこれまでのご苦労と喜び哀しみを読むと、街から良い書店が消えていくのは本当に寂しいものだと思います。 それにしても、閉店セールの時にこの書籍が店頭に並んでいたら、きっともっともっと売れたのではなかろうか。あとがきの日付が2018年1月27日、出版日が3月5日って2月20日の閉店日に間に合ってないじゃん(特別に売ってたのかな?) 左右社から出版のオファーをもらって ”この話は「あやしい」「新手の自費出版詐欺の手口だ」”などと言っているクダリは面白いが、”それより何より、私たちは本屋のプロとして、こんな本が売れるわけがないのを知っている”と謙遜されているけど、いやいや、なかなか面白く、本に対する愛情あふれる好著でした。 今、各地で消えゆこうとしている町の本屋さん。 そうした書店が、どんなふうに本を仕入れて売っているのか、どれくらいの売り上げがあればやっていけるのか、飾らない言葉で淡々と綴った話が、とても読みやすく、あっと言う間に読み終えてしまった。 「本というのは売ることよりも仕入れることの方が楽しいのです。」 という言葉に、本当に本のことが好きなんだなという気持ちが読み取れる。 何度か店内で本を物色したことはあったけど、愛想のない親父さんだなと思っていたが(そもそも本屋の親父に愛想のいい人は少ないが)、けっして書店側から、たとえお得意さんで趣味嗜好を知っていたとしても、声かけたり売り込んだりをしなかったということが書かれている。 昨今、検索で目的の本を見つけたり、書評を辿ってというのも、最短距離でアプローチできるので、それはそれでありがたい話で、便利になった機能は否定しません。でも、書店をブラついて思わぬ本に出会う楽しみは、本当に捨てがたい。店主の態度も、そうした偶然の出会いを尊重し、読者の偏読の抑制にもなっていたのだろうと思うところ。 著者岩楯店主曰く、 「自由に気持ちを広げられるのが本屋という場所なんだから。」 まさに、御意。 高校生の時に、”日本中の本を読むことができる”と思い始めた書店業。 「今になってみると、なんと半分はそんな事が実現し、半分は忙しくて、それどころではなかったのでした。」 と綴る半世紀は、多くのご苦労は当然あったろうが、なんと幸せな日々だろうと羨ましく感じた。取次との契約のどさくさに決めたという「幸福書房」という名の通りの人生だったのではないだろうか。
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幸福書房の40年間の軌跡。お店には行ったことはありません。でもこの本を読んでいるとものすごく閉店が残念で、目がうるうるしてきました。 もしお店をやるとしたらこんな風に愛されて終わりたい…、とやる前から思いました。 これからは南長崎に戻り、ミュージアムとして復元されるトキワ荘の前でブックカフェを自らの手でつくりたいとのこと。 開店したら今度こそ訪れたいです。
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1977年に創業し、2018年に閉店した、とある本屋さんの昔語り。 飛ぶように本が売れた時代から、徐々に売り上げが落ち、閉店を決意するに至る経緯が、淡々と語られる。 私は、取り次ぎと、本社が買い付けて送り込んでくる書籍ばかり検品陳列しているので、自分の目が行き届く面積の売り場に、...
1977年に創業し、2018年に閉店した、とある本屋さんの昔語り。 飛ぶように本が売れた時代から、徐々に売り上げが落ち、閉店を決意するに至る経緯が、淡々と語られる。 私は、取り次ぎと、本社が買い付けて送り込んでくる書籍ばかり検品陳列しているので、自分の目が行き届く面積の売り場に、自分が納得した商品を、お客さんの顔を想像しながら並べるのは、とても楽しいし幸せだろうと思う。 だからこそ、そういうやり方で経営されてきた、町の本屋さんが閉店していくのが、やりきれないほど寂しい。 地元の人たちにも、本好きな人たちにも愛され、何より書店の仕事を愛した、本屋さんの一代記。
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長年、本を売る事にすべてを捧げてきたご主人。 やわらかい語り口の中に垣間見える、本当に本を売る事が、本に触れる事が好きで好きでたまらないという思い。 そんな本屋さんが閉めざるを得ない現実。 同じ本屋として、悲しくて悔しい。 時代の流れという言葉で片付けたくない。 希望を感じられる...
長年、本を売る事にすべてを捧げてきたご主人。 やわらかい語り口の中に垣間見える、本当に本を売る事が、本に触れる事が好きで好きでたまらないという思い。 そんな本屋さんが閉めざるを得ない現実。 同じ本屋として、悲しくて悔しい。 時代の流れという言葉で片付けたくない。 希望を感じられる“今後”に救われる。
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「あなたが今手にとったその本はあなたに向け私が今朝仕入れました。」そういえばトーハンの店売で本を抱えた岩楯さんに何度かお会いしたっけ。もちろんお店でも随分とお世話になった。淋しいもんだ。ホントに。一旦さよならです。お疲れ様でした。
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